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長女の彼女と長女のわたし

ある年の9月に、「あ〜韓国行きたいな。。単なる旅行で。」と思い立ち、会社のトイレで手を洗っているMさんに声を掛けてみました。「Mさん、韓国行きませんか?」Mさんとは会社の同じフロアで働いていて、たまに女子会などで話をしたりする程度の仲でした。ただ、いつも穏やかで、でもしっかりしていて、ファッションの好みも似ているので、「(勝手に)気が合いそうだな〜」と思っていました。

「いいよ!」ちょっと笑いながら、快諾してくれました。「え、本当に?じゃあ、色々調べて、メールしますね」と言って、お互い席に戻りました。早速、韓国旅行の情報収集に取り掛かりました。私が仕切る、単なる韓国旅行は久しぶりでした。私はK-POPが好きで、同じK-POPを好きな人達と韓国で開催されるコンサートに行っていました。皆、凄腕のヲタクなのでチケットや宿泊先の手配から何から何まで素晴らしい手際でやってくれていたので、熱量の低いヲタクの私は出る幕もなく、ありがたくも特に何もせずに韓国旅行を楽しんでいました。ただ、今回は違います。私が仕切る単なる(コンサート目的ではない)韓国旅行です。私がしっかりせねば!そんな気合いが入り、凄腕ヲタク友達から学んだノウハウを活かし、旅行の日程調整や手配を進めました。

韓国旅行に行く日が近づき、打ち合わせ(特に打ち合わせることもないのに。)という何のご飯会をしました。そこで、初めて二人で食事をし、色々な話しをしました。あの時に、なぜその話をしたのか不思議なのですが、急に聞きたくなったのです。「Mさんは長女じゃないですか?」すると「そうですよ。双子の姉なんですよ」Mさんが双子だということは、知っていました。「なんで長女だと思ったんですか?」「私も長女なんですよ。それで、なんか長女っぽいな〜と」私はヘラヘラしながら、私が感じた長女っぽさ、についてお話ししました。Mさんは、私が旅行日程や宿泊先のことで「どうしますか?これでいいですか?」と聞くと、「いいですよ!すごく良さそうですよね」と言ってくれました。私が尋ねることのほとんどの回答に、良いですよ、と言ってくれるのです。流石に心配になって、「どこか行きたいところとか、食べたいものはないですか?」と尋ねると、控えめに意見を言って、最後には「でも、トモコさんの提案してくれたところに行って、余裕があったらで良いですよ〜」と言ってくれました。余りにも、譲ってくれる。しかも、無理している感じもない。息を吸うように、譲ってくれる。あ、、これはいつもの私と一緒だ、、そんな風に感じました。「いつも、息を吸うように、当たり前のように、譲ってくれますよね。私も割とそうなんです。だから、長女なんじゃないかと思って」と伝えると、ぽつり、ぽつりと子供の時の話をしてくれました。Mさんの双子の妹は生まれた時から身体が弱く、小さかったそうです。その為、身体の弱い妹に譲ることが多かったそうです。双子なのでお揃いの服を色違いで着ることも多く、Mさんが着たいピンク色の服は、いつも妹の方が着ていたそうです。だからと言って、すごく羨んだりもせず、譲ることは当たり前になっていったそうです。

ふと、以前友達と旅行に行って喧嘩になった時のことを思い出しました。私があまりにも、文句を言わない、行きたいところを言わないことに、友達が怒ったのです。「トモコは、なんで何も言わないの!?無理して意見を合わせてくれなくていいよ!!本当のことを言って!!」私は、無理して意見を合わせている訳でもなく、どちらかといえば、本当に友達が提案をしてくれることに賛成だったので、その旨を伝えました。が、信じてはもらえませんでした。

あの時、怒った友達は不安だったんだな、、あまりにも譲られ過ぎて。譲られ過ぎても、不安になるものなんだな、という気持ちを知りました。ただ、私はMさんの気持ちもわかるので、あの時の友達程、不安にはなりませんでした。譲ったり、自分の思ったとおりにならないことは、当たり前のことなので。

初めて、Mさんと行った韓国旅行は本当に穏やかな旅行になりました。旅行中、私が道を間違えても、文句も言わず着いてきてくれて、「本当にすみません。。(しょんぼり)」となり、たまには怒ってくれても、良いよ〜!という気持ちも知りました。

長女のMさんとの旅行で、長女のわたしは、これからは少しのワガママやちょっとした文句くらいは、言ってみようと思うようになりました。文句やワガママって、相手を信用し切ってるから、出来ることだと思うので。怖いけど、頑張ってみよう、、

久しぶりの単なる韓国旅行でしたが、とても楽しく、新たな発見をすることが出来た特別な旅行になりました。

Mさん、道に迷った時、本当はちょっとは怒ってたよね。ごめんなさい!!Mさんもたまには怒って下さいね。










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