9/10 台風の夜から

 台風の夜は、うまく眠れなかった。

 外の風の音がすごかった。ときどき、近くでブリキのバケツが転がっているみたいな音がした。「風に煽られて飛んじゃって、窓にぶつかったらガラス割れちゃうよー!」と心配になった。

 風の音に、雨の音。真っ暗な中にいると、余計に大きな音に聞こえて。全然寝つけずにいた。そんな中でも、窓とは逆の隣では旦那さんがいつも通りいびきをかいて寝ていた。台風の音も気にならず寝られるのがうらやましい、とか、さすがの旦那さんのいびきも、台風の前にはうるさ効果が半減だな、とか、そんなことを思っていた。

 台風の音がすごくて眠れなかったはずなのに、途中から、『台風の音』について考え始めたせいで、最初とは違う理由で眠れなくなってしまった。「台風って、要は強風でしょう? 空気のかたまりが空気のかたまりに勢いよくぶつかると、今外で聞こえてるような音がするの?」とか、「大気同士がぶつかる音じゃなくて、あくまで風が建物とか木にぶつかる音? だったら、建物とかが一切ないだだっ広い空間があったら、そこで強風が吹いていても、自分の耳に風がぶつかる音以外はしないのかな?」とか、「空気がぶつかる音って、空気砲ふたつ用意して2台を向き合わせて撃ったら聞こえるかしら」とか。最初はそんなふうに真面目に(?)風の音について考えていたのに。途中で、何故か『フエラムネ』を思いついてしまってから、いろいろおかしなことになってしまった。「フエラムネって、口で吹かなくても、うまいこと風が通れば音がなるのかな?」「ということは、例えば扇風機の前にセットすればピーピーいう扇風機ができるのだろうか」「今日みたいな風の強い日に、フエラムネをどこかに固定しておけば、ピーピーいってうるさい!?」「そういえばパインアメって鳴るんだっけ?」等々……。外の風の音と、変な方向に走り出した好奇心のせいで、少なくとも最後にスマホで時間を確認した朝5時前まで、寝られなかった。

 そんな台風の日が一昨日のことで。そこから、しっかり睡眠リズムが狂ってしまった。夜寝られず、昼間がっつりぐっすり昼寝する2日間を過ごしている。今日はディズニーでも行こうか、なんて話をしていたのに、眠いし暑そうだしで断念した。日中に天気アプリを確認したら、体感温度43度の表示で、行かなくてよかった、と思った。溶け負ける。そんなわけで、家でじっくり体を休める夏休みを過ごしている。

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