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ラオス暴走日記2010 Vol.11 ~帰り道はいつも雨~

※過去日記の転載です

滝を目指して山の奥に分け入っていくが、先ほどの洞窟までの道のりで、既に左足は悲鳴をあげている。

足を引きずりながら細い山道を歩いていくと、小さな滝が現れた。

近くには中国人と思しき集団と、ラオスの富裕層と思しき家族たちがいた。
魚を焼いたり、ビールを飲んだりまったりしている。

日本で見たらなかなか趣深い景色っぽいが、もっと秘境っぽい景観を求めてさらに奥地へと向かう。

完全に登山だなこりゃ...。
道も細く、足への負担はかなり大きいが、こうなったら先へ進むしかない。

それにしても、テロリストのごとき服装で足を引きずりながら山を登る私の姿は、我ながら異様と言わざるを得ない。
周りの人の視線を感じるが、もはや気にするだけ無駄ってもんだ。

頼りない手すりにつかまりながら木の橋を渡り、急勾配をさらに登ってゆくと、遠くに大きな滝が。


目標が見えるというのは何よりも大きなエネルギーになるもんで、

さらなる急勾配を登っていく。

滝は大きく二又に分かれており、大きい方の落差は30mはあるだろう。
メコン川の滝とは違い、日本人好みの雰囲気を持った滝だ。

滝の周りには中国人観光客が目立つ。
どうやらこの時期は中華人民共和国の建国記念日にあたるようで、一週間ほどの休暇が設定されているそうだ。

一応写真を撮ってもらう。

聞けば、外国人に開放されてまだ1ヶ月ほどの観光地とのことなのに、中国人のバイタリティには驚かされる。
ここも半年もしたら立派な観光地として開発されてしまうのかもしれない...。

ま、観光地なんつーものは10分もいると飽きるもんで、早々にバイクに向かって山を降りることに。

またもやバイクで川を渡り、びしょびしょになったブーツの水を抜く。
そして、13:30、モン族の村を目指し、一路山道をゆく。

途中、道のど真ん中で脱穀をしていた。
観光地Vang Viengでも、ちょっと離れると生活の中心は農業なのだ。
笑顔で道を開けてくれた。

そして、20分ほど走っただろうか、いよいよモン族の村が見えてきた。

村は伝統的な高床式住居が中心だが、
ちゃんと電線も通っていたのは意外だった。

こんな村まで外国人が、しかも一人でバイクで訪れるというのはおそらく相当珍しいと思われ、子供たちの好奇の視線を独占しつつ、写真を撮る。

すると、一人の若者が近づいてきて、立ち去るように、と言う。
なるほど、彼らの素朴な生活に、文明の利器を満載した外国人が介入するのは、悪影響以外の何物でもないということだろう。

すまなかった、と謝り、村を後にする。

旅行代理店などで、少数民族を訪ねるツアーというのをよく見かけるが、私が逆の立場なら、見世物じゃねーぞこのやろうってなもんだと常々思っていた。

しかしながら、当然その費用の一部は村人たちへの謝礼へと回されるのだろう。
それは、急速に文明化してゆくラオスの中で、
彼らが商業ベースに乗りにくい伝統的生活を続けつつ、電気などのインフラを享受してゆくには、貴重かつ不可欠な現金収入なのかもしれない。

馬も放し飼い。彼らはいつまでこの静かな生活を守っていけるのだろうか。

危なっかしい橋を渡り、どんどん狭くなっていく山道を走る。

谷底に、小さな家、もしくは小屋と棚田が見える。

どうやって生活しているのか想像もつかない。

そして、途中に牛の群れを発見したので、バイクで追いかけてみた。意外に速い。

牛飼いがいないけど大丈夫なのか...。

てなわけで、ぐるっと山を回って国道13号線に戻り、14:00、プチ冒険タイムも終了。

そして、Vang Viengに戻ると、この秘境を教えてくれたハンバーガーショップの日本人の方々に遭遇したので、礼を言い、写真を撮ってもらった。

店の名前を忘れてしまったが、日本人経営の店はおそらく町に一つしかないと思うので、もしVang Viengに行く方がいたら、ぜひ一度訪れていただければと思う。

冒険で腹が減ったので、Vang Vieng近くのレストランで海鮮炒飯を食べることに。
ずぶ濡れのブーツと靴下を干すが、靴下はメシの間に生乾きになるくらい日差しが強かった。

味は文句なし。

時間は15:00。
普通に行けば17:30くらいにVientianに着くだろう。
つーわけで、首都Vientianまで最後のドライブへ出発。

再び山道を爆走。
行きでカーブの感じはなんとなくつかめていたので、多少飛ばし気味で。

しかし、小一時間ほど走ったころだろうか、どうも雲行きが怪しい。
というか、ぽつりぽつりと雨粒が...。

雨季も終わったはずだし、通り雨だろうとたかをくくっていたら、みるみるうちに土砂降りになってくる。

バックパックにレインカバーをかけ、ウインドブレーカーを着こむが、どう考えても普通に走れるレベルの雨じゃねえ。
つーわけで、民家の軒先でしばしの雨宿り。

現地人でもこの雨はさすがに無理なようで、YAMAHAのDT125に乗ったおっさんも雨宿りしにきた。

正直この雨は予定外だった。
おそらく、雨が上がって出発してもVientianに着くのは6時~7時、既に暗くなってしまっているはずだ。

そうなると、当然ヘッドライトを点けて走る必要があるのだが、一度完全放電したバッテリーにリチャージし、だましだまし走っているこの状況では、ヘッドライトを点けた時点でバッテリーが死に、またもやエンストしてしまう。

こんなところで手詰まりか...?

考えられる手としては、この近くのゲストハウスに一泊し、朝早く起きて出発すれば、午前中にはVientianに到着できるだろう。

明日のフライトは13:50、
万が一のトラブルを考えて今日中にVientianに着いておきたかったが、これこそトラブル。

まあVientianから150km、つまり行程の半分くらいは走れているというのがまだ救いだ。

しかし、バイクの調子も決して良くはない。
いつバッテリーが死ぬかわかったもんじゃない。
果たして無事に帰れるのだろうか...。

To be continued...

#旅日記 #ラオス #海外旅行 #海外バイク旅 #三線旅 #XR250 #旅とわたし

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