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ラオス暴走日記2010 Vol.5 ~メコン川の離島散策~

※過去日記の転載です

2010年9月26日

ボロいママチャリをこぎ、Don Khone最南端と思われる砂州に到着。

小屋の人に話しかけてみると、イルカを見に行くか?みたいなことを聞かれる。
ここにはイラワジイルカという淡水のイルカが棲息してらしいのだ。

せっかくなので見に行くことに。
水遊びをする子どもたちがかわいい。

雨期で増水しているようで、国境を越え、カンボジア側に入って見るそうだ。

うーん、どうやらいるっぽい。
ちょっとだけ黒っぽいのが見えるんだが、まあこのザマだ。

これは失敗か、ということで、イルカを見に来たのにカンボジアのネコと遊ぶ。

どうやらさっきからブンブンいっている芝刈り機ようなボートのエンジン音がイルカを遠ざけているようだ。

つーわけで、手漕ぎでイルカポイントへ向かうことにする。
すると、たしかにいるいる。

全身は見えなかったが、4、5匹の群れを目撃できた。
こんなにはっきり見えるのは運がいいらしいので、一応満足としよう。

兄ちゃんに成功報酬でビールおごってくれよ、と言われたので、じゃあいっしょに飲もうぜ、と交渉成立。

帰りは木を避けながらのリアル・ジャングルクルーズ。

兄ちゃんは英語が多少しゃべれたので、ラオス語を色々教えてもらう。
ラオス語の女性の口説き方も教えてもらったが、どこで使えってんだ。

ビールを飲んでいると、ポリタンクから怪しい酒が。
ラオ・ラーオというラオスの焼酎だ。

ラオス語で乾杯。

 「ノック・トォー!」

なかなかきつい酒だ。与論の有泉の比じゃねーや。
キルギスで飲まされた密造ウォッカに匹敵するかもしれん。

というわけで、日も落ちてきたので、急いでチャリを返しに戻るが、ちょっと走るごとにチェーンが外れる。
直しても直しても外れる。

仕方ないのでチャリをかついで戻ると、途中で溝にはまったトラック発見。

いや、これ、もう完全に夜だろ。

チェーンが外れるぜこのポンコツはよ、と日本語でレンタルショップに捨て台詞を残し、コーン島を後に。

橋を渡り、宿のあるデット島を徒歩で縦断。
ヘッドライト持ってきてよかった。

ネコも捕まえちゃうもんね。

いやー、ほんとに暗闇。
しかも聞いたことのない動物とか虫の音もするし。

すわ、前方から謎の光が、と思ったら、

牛の眼だった。

万が一猛獣でも出てきたら戦わなくては、と思い、ポケットのバタフライナイフを握りしめずんずん歩く。
歩く。歩くけど、こんな遠かったっけ...?

途中で1人白人を追い越した際、フアデットはこっちか?と聞くが、とりあえず僕のヘッドライトがまぶしかったらしく、眼をかばいながら、そうだ、と答える。

まあ冷静に考えると、自然界にはあり得ない強さの光を前には、どんな猛獣だって逃げてしまうだろうな。

そう考えるとちょっとテンションも上がり、さらにずんずん歩く。

19:30、ようやく宿に到着。
行きと同じ1時間だったが、体感的には4倍くらいの時間だった。

この、もしかしたらこれはヤバいんじゃねーか、とか、判断誤ると死ぬかもしれん、みたいな感覚って、日本で普通に生活していたら、まあ感じることはないだろう。

電車に乗る時は言うに及ばず、会社のエレベーターですら、

 「駆け込み乗車は危険ですのでお止めください」

なんつってホザきやがる。

こういうシステムが、生きているというそのこと自体の価値を不当に薄めてしまう、そんな風に私は感じる。

だからこそ、私は旅に出るとつい無茶してしまうのかもしれない。
生きているってことは、死んでしまう危険を排除した上で成り立っていて、かつその判断は私自身の責任であるという、至極当たり前のことを確認したいのではなかろうか。

ま、そんなめんどくせーことは置いといて、メシだメシ。

野菜炒めとフライドポテト、それにスチームドライス。
うーん、これぞ文明。

そして、ビールのつまみに揚げ春巻き、ヨー・チューン。
カンボジアではチャー・ヨーと呼ばれる代物だ。

日本の餃子は醤油、ラー油、酢で食べるが、こいつは魚醤、チリソース、酢で食べる。

うまいので調子に乗って三線も弾いてみる。

我ながらつまんなそうな顔だが、写真写りが悪いだけなのでご容赦を。

どうやらこの宿は家族経営のようで、レストランが家族の食堂も兼ねているようだ。

英語ではなくラオス語で話しかけると、とたんに彼らの顔がゆるむ。

僕らだって日本で英語でベラベラしゃべりかけるよりは、へたくそながらも日本語でしゃべられた方がうれしいもんな。

車座になって食べているのは、ラープ・ペット、アヒルのラープらしい。

ラオスの人々は、うるち米ではなくもち米を好む。
現地語でカオ・ニャオと呼ばれるもち米は、ティップ・カオと呼ばれる籠に入っており、手で一口サイズにして食べるのだ。

食べてみろ、という言葉に甘え、彼らのカオ・ニャオを分けてもらい、手で食べてみる。
うめー!とまではいかないが、なかなかおもしろい味だ。
小豆無しの赤飯におかずの汁をつけて手づかみで食う、みたいな感覚で、そこに香草や魚醤の香りがエスニックな彩りを添える。

この後、一緒にサッカー観戦をし、シュートが外れると、今のは惜しかったな、などと話し、ちょっとしたホームステイ気分を味わう。

うーん、こんな南の果てまで来た甲斐があった、と酔った頭でしみじみ思う。

こういう出会いがあるから旅はやめられない。

というわけで、いい気分で就寝。

2010年9月27日

6:00起床。

朝飯はまたもやフー。

安くてうまいんだから連日食ってもいいじゃん。

そして、これは宿の看板娘です。
めっちゃかわいかったんだが、写真がいまいちなのは、僕のカメラの腕に問題があったか。
笑った時の八重歯がキュートでした。

てなわけで、今日はこの島でゆっくりすることにしたので、宿にあった日本語の小説を読むことに。

あったのは、下記の4冊。

・『流れよ我が涙』と警官は言った」 フィリップ・K・ディック
・『モーターサイクルダイヤリーズ』 エルネスト・チェ・ゲバラ
・『体は全部知っている』 吉本ばなな
・『小豆色のテーブル』 赤川次郎

まあ前者の2冊はいいとして、というか、ディックは私が最も敬愛する作家なので、ここで出会えたことを運命とすら思ったが、吉本ばななと赤川次郎はこういう機会がなかったら間違いなく読まない作家だろう。

読んだ感想?
まあ、吉本ばななと赤川次郎を読むことはもうなさそうだな笑
でもまあ、こういう出会いも大切だよね。

あ、トカゲだ。

大学の文芸の授業で、生徒が一人一人課題図書を設定し、それについて討議するというものがあったが、一番最初に発表した生徒の課題図書が吉本ばななの『とかげ』で、この俗物が!と思ったのを思い出した。

オレも若かった。

ディックは相変わらずよかった。好き。
あなたの本だけは一生手放しません。

つーわけで、読書に昼寝も飽きたので、ちと町をぶらぶら。

そして、美味しそうなカレーの香りにつられ、いつの間にかインド料理屋に。

このカレー、マジでうまかった。
私の職場神保町はカレーの激戦区なのだが、このレベルのインドカレーを食べさせる店はそうそうないと思う。
マンダラとガチで闘えるんじゃねーか。

とか思って、チキンティッカも食ってたら、
またもやネコがおねだりに。

しかたねーな、分けてやるよ。
しかしこんな辛いのよく食えるな...。

そして、トイレに立ったその隙に...。
コラっ!オレのチキンをネコババしやがった!!

むんずと捕まえて、チキンはなんとか取り戻す。
間接キスの末、骨にたっぷりと肉を残してくれてやった。
今はやせっぽちだけど、うまく立ち回って大きく育てよ。
てなことを思ったかどうかははなはだ疑問です。

腹もいっぱいになり、宿に戻りまたもやハンモックで読書をしていると、あっという間に日が暮れてゆく。

ハンモックと三線って、いい組み合わせだよな。

夕暮れのメコンをバックに三線を弾いていると、パチり、というシャッター音が。

振り向くと、日本人とおぼしきバックパッカーが僕の姿を撮っていた。
まあそりゃ撮るわな。変な光景だもんね。

後ほど食堂に行くと、先ほどの日本人ともう一人の連れの2人が。
一応、「Where are you from?」と聞くと、
想像通り「Japan」という答えが。

聞けば、世界一周を目指す21歳の学芸大の学生と、ト○タの仕事を主にやっていたデザイナーが、偶然ラオスで出会ったという二人組だった。

ま、こんなマイナーな場所だし、たまには日本人と一緒っつーのもいいかと思い、いっしょにメシを食べに行くことに。

なぜか、昼に行ったカレー屋に再訪する。
ま、うまかったからな。

昼間はカレーを頼んだので、今度はマサラを頼んでみたが、何が違ったのかは最後まで分からずじまい。

久々の日本語で、色々な話をしたが、21歳の彼と話していると、ああ、オレも年を取ったんだなぁと実感した。

なんか上から目線になっちゃうんだなー、悲しいことに。
自分が21の時に28のおっさんの話を聞いてどう思ってたんだろうか。

でも、少しでも彼の心に僕の言葉が伝わってたらそれでいいか。

てなわけで、ラオス最南端での旅の折り返しは、まったり過ぎていく。

昼間のネコも発見したが、だいぶおねむ。

昼間の罰だ、カレーにつけて食ってやる。

ま、そんな感じで、私の旅はついに折り返しを迎えるのです。

そして、いよいよ明日はこの旅行最大のトラブルが...。

To be continued...

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