地方自治体の意思決定システムを広報の視点で考える 「内容よりも取材先を選んだ理屈が重要?」

のっけから普通のタイトルですみません。なんか考えます。

さて、この記事では、主に私が所属している新潟県庁において、日々どのようなことが起こっているか、そこにどのような意思決定のプロセスがあって、決裁権者は何を基準に判断しているか、そのあたりを書いていこうと思っている。

今、私が所属しているのは知事政策局 広報広聴課で、県民の皆様や県外の方々に向け、さまざまな情報発信をしていくセクションだ。

私はその中で、主に県外に向けて情報を発信していくウェブサイトの立ち上げと記事作成、SNSでの拡散などの業務に従事している。

5月末からは、県外向けに新潟の魅力を発信していくポータルサイト、"新潟のつかいかた"もオープンしたばかりだ。

その業務の中で、私が最も戸惑い、忖度しようにも意味が分からなすぎて忖度できないこと、それは、取材先の選定にあたっては、"理屈"をつけろ、というもの。

"理屈"という言葉が行政で使われる場合、一般的な意味とは少し異なる。
誤解を恐れず一言で言えば、声の大きい方からのクレームがあった場合、どう言い訳をするか、ということ。

例えばこういうことだ。
「新潟のソウルフード、イタリアン」という記事を作るとして、「みかづき」ではなく「フレンド」を取材する場合、それがなぜ「みかづき」ではなく「フレンド」にしたのか、合理的に説明がつくようにしておけ、ということだ。

まあ、みかづきとフレンドくらい拮抗していてそれぞれにこだわりのあるファンが多いのであれば私も納得がいくのだが、例えば、「新潟市の隠れたソウルフード、麻婆麺」と話は変わってくる。
なぜ「まるしん」なのか、「たまる屋」や「かなみ屋」ではないのか、というかそもそも新潟市だけでいいのか、それを真剣に考えて、かつ文書にして紙をクリップボードに挟み、決裁という名のハンコスタンプラリーに回さなければならない。
呼ばれたら説明しなければならないのだが、どうやってこの店を選んだのか、みたいなことを聞かれても、いや、逆になぜその店じゃダメなんですか、と聞いてみたい。

県内向けならいざ知らず、県外の方に対して情報発信する際、「なぜこの店じゃなくてこの店を選んだのか」というのを真剣に考える必要がどこまであるのか、はなはだ疑問だ。

情報を見る人には全く関係ないことだと思うし、このサイトで言えば県外の方におもしろいと思ってもらえるところが最優先だし、何よりその説明資料を作成する人的コストは税金である、ということを忘れてはならない。

さらに言えば、ウェブサイトの担当であり記事を作る側である私が、そういったことを考えて理屈をつける役目として適正だろうか。私に求められるのは、自分が担当しているサイトがどれだけターゲットにリーチし、行動変容を起こさせたか、ということこそがKPIになるべきではないか。
いや、ご所望ならやりますけどもね。

また、毎回そのようなネガティブなことを考えざるを得ないとしたら、毎回無難な店が取り上げられ、結果として"刺さらない=誰も見てくれない"という、極めてお役所的な記事になってしまったりするのではないか。

加えて、店などの選定は、県外所在の編集のプロによる視点で選んでいるし、さらに言えば、そもそも業務委託にあたっては、県外への情報発信を行うのに最適な、県外に所在する編集力と写真、記事のクオリティは日本でも指折りの業者を正式なプロポーザルという形で、各社の提案の中から審査員の合意のもと選定したはずである。忘れたのかな?いや、紙はとってあるはず。

仮に、他の店からクレームが来たのなら、県としては、上記のような意図を持って業者選定を行い、公正な審査を経て決定したもので、その視点で店も業者が首都圏目線で選定している、ときっぱりと言えばいいのではないか。

もう一つデメリットがあって、せっかく受託業者がプロの視点で挙げた候補に、役所側の都合で意見を言うのも、なんか違うような。
失礼だし、良好な関係構築なんて絶対構築できない。

というか、それならそうおっしゃる方が全て責任持って取材先決めますか?とも聞いてみたい。
どんなラインナップになるのか楽しみ。

前の知事も局長も、プラスの広報はどんどんやれ、と言っていると聞いたのだが、肝心のその下の意思決定プロセスにそんな理屈がまかり通ってると、取材先が決まるものも決まらず、クオリティチェックにかける時間も減り、ズルズル後伸ばしになってしまう。

もうある程度力技を行使するか、うまくかいくぐるか、そんなことばかりに税金が投入されているはずの我々の業務時間をついやしてるのって、どうなんすかね?

まとめとして、声の大きい方から降ってくるクレームや質問などへあらかじめ忖度しておく。これは我々の中では当たり前です。

さて、あとは明日以降で続きを書こう...

ご意見ある方はぜひ。
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#新潟県 #地域活性化 #働き方改革 #行政

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