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#15 がらんどうライター



「あなたなんか、空っぽのがらんどうよ!」

映画『八日目の蝉』に出てくるセリフだ。

作中では子供が産めなくなった夫の愛人に対して妻が吐く言葉なのだが、私は自身にこの言葉をよく投げかけている。


「ライターとしての肩書がない」


私の空っぽにあたる部分はコレだ。

2年前に稼げるブロガーになりたいと意気込んで、ノートパソコンをメルカリで15,000円で購入。しかし3ヶ月ほどでアフェリエイトブログは挫折し、ライターとして地道に稼ごうと方向転換した。

クラウドソーシングからスタートさせた私は、文字単価0.1円以下から仕事を引き受けまくっていた。
書かせてもらえるなら!という精神で、ジャンル問わず書き続けてきた。


金融ライター、美容ライタ、インタビューライター・・・

毎日みるXのプロフィール欄のほとんどに「○○ライター」という自己紹介が記載されている。

私はライターを志して2年が経とうとしている。
しかし私にとって○○ライターの○○の部分が全く埋まらない。

ある日、音声配信を聴いていたら「なんでも書けます!っていうのは何にも書けません、と同じ。つまり何かのジャンルに特化しているライターのほうが印象に残る」という放送が流れた。

私はその配信にギクッとしてしまい、自分には肩書がない、つまり『からっぽのがらんどうライター』ということに気づいたのである。

正直、得意ジャンルについて、全く意識していなかったわけではない。
いろいろな記事を書いているうちに「楽しい」とか「得意かも」というジャンルが出てくるのだと思っていたのだ。

しかし、注意力散漫で、三日坊主で、興味が色々目移りしてしまう・・・そんな性格が災いし、いまだに得意ジャンルといえるものを見つけられないでいる。

まあこんな感じで、ぐだぐだと現状を嘆いていても、空から私の才能が降ってくるわけもない。
自分で色々インプットして、これまた地道にやっていくしかないのである。

とそこで一つの疑問が。

そもそも「がらんどう」ってお寺から派生した言葉だと思っていたけど、本当はどんな意味なんだろう?


私は自分が憑りつかれている「からっぽのがらんどう」の正式な意味を調べてみた。

「がらんどう」・・・広々としてがらんとしている状態、空っぽの状態をいう。漢字で書くと「伽藍堂」となり、寺院のお堂をさす意味になる。

ふうん・・・と、そこであることに気付いた。

がらんどうにはからっぽという意味もある。つまり「からっぽのがらんどう」って言葉は「頭痛が痛い」みたいな表現であることを指す。

ほお、なんだか憑りつかれていた言葉の正体が分かると、少し心が軽くなるもので。
なんなら「からっぽのがらんどう」=「頭痛がイタイよ」みたいな式まで浮かんできた。(ここでつぶやきシローが出てきた方は38歳以上と認定)

そんなくだらないことを考える「がらんどうライター」なんて、いま地球上に私しかいないかも・・・と思うと、この肩書にも愛着が湧いてきた。

「昨日は朗読検定についてリサーチしたから・・・そうだ、今日はカラーセラピーの本を読も」



目移りばかりする「がらんどうライター」の旅はまだまだ続く。























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