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平成生まれのプロ患者。好きなものは漫才と花札と音楽と絵とイベントの企画とボードゲームと…

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平成生まれのプロ患者。好きなものは漫才と花札と音楽と絵とイベントの企画とボードゲームと白米。たまに小説も書きます。

最近の記事

はしごを掛けてくれる人

自分の内なる可能性に梯子をかけてくれる人というのはいるもので、私の場合は2021年から2年ほど習っていたピアノの先生がそうだった。 どういうわけだか見る目や聞く耳だけが発達した私は、自分のピアノが頭打ちであることを割と早い段階から理解していて、一度はそれでピアノをやめたし、まあ趣味で続けるならそれもよしとまた再開したほどにはいい加減だった。 しかし友人に誘われてアマチュアのコンクールに出ることにした時分、さすがに自分の技術のなさに困り果て、一度聞いただけで圧倒させられたピアニ

    • 矛盾という優位性

      最近、ダンスプラクティスの動画を日に何時間も再生しているのだけど、いつまででも見ていられる。なんであんなに美しいのだろう。 見ていて考えたことがある。AIや科学技術の発展により音楽や絵画などはもはや代替されうるアートになってしまった今、芸術はより身体性あるいはそれを伴うパフォーマンスを求める動きが強まるのではないか。ダンスはそのわかりやすい例であるが、音楽なら演奏するということ、人間の声で歌うということ。アートなら目の前にあり手で触れること。など。機械でどんなに同じ音が出せ

      • 月のかつら

        日本時間の朝5時ごろ、祖母が逝った。ちょうど、わたしが眠りに落ちる頃だったと、あとから知る。享年95と書けば彼女はまぎれもなく大往生で、事実これ以上彼女は生きるつもりもなかっただろうが、私は祖母がもしかしたら本当に120まで生きるのではないかと思っていたから、彼女が息をしない世界にしばらく慣れそうにない。 祖母は家具屋の娘だった。裕福な家に生まれ、「粋」を見て育った。軍人の家に生まれこれに肌の合わなかった祖父がいたく感動したそうだ。 祖母は昔、病弱だった。幼い頃は病弱で、そ

        • 「何者かになる」ということ

          仕事をやめてから早いもので早4ヶ月。海外に来てからはおよそ3ヶ月。語学学校も残り9ヶ月になっていきます。Time flies! あっという間です。 次のキャリアのことを何も考えてはいないんだけど、ひとつだけ決めていることがあって、それは「もう裏方には回らない」ということです。 仕事を辞めるまでの4年とちょっと、エンタメ・クリエイティブ系の仕事をしていて、割と0→1で「ものを作る」ことをやっていました。商品然り、企画然り……。元々人気のある業界で、数字が出ることというのはつ

        はしごを掛けてくれる人

          ジェットコースター・バカンス

          まとまった文章を日本語で書くのは1ヶ月半ぶりでしょうか。脳みそが英語に慣れないのか、このところ疲れが爆発していて、これはマズいなあと思っていたところにちょうどこの曲の存在を思い出しました。 本来はこの曲を置きみやげ(?)に旅立つつもりでしたが(そして曲のアレンジとか諸々に関してはなんと余裕で間に合っていました)、こちらに余裕もなく、そして大量の英語の波にのまれ、まさにジェットコースターにのったような感じで1ヶ月半が過ぎています。 2022年の夏、KinKi Kids様が2

          ジェットコースター・バカンス

          ほんとうのきもち

          2023年春より、日本を離れて暮らしています。 仕事を一切辞め、一旦1年間は語学学校へ。その後は、現地で就職するか、英語で学びを得られる大学に行くか、まだ決めていません。2023年の11月頃に次の進路を決められたらなと思っています。 「海外で暮らすわ」という話を切り出すと、皆応援の言葉とともに「思い切ったね!」と言いました。多分、わたしも同じ立場なら、同じことを言ったと思う。でも、わたし本人としては、それが特に「思い切った」選択には思えませんでした。……、というと、ちょっと

          ほんとうのきもち

          インファント

          3月にアルカフェ店長権を使うことになったので、深雪さんにお声がけしたら、「(前略)30分ぐらいのライブを2人でやるのは可能だろうかと思って。(中略)あと、曲作れますが作りますか?」と返信があった。チームみゆきの曲は名曲が多いし、深雪さんが気分の乗ることがもうないかもしれないとも思って、それはいいですね、と返信した。 そのような会話をしたものの、その後アクションがなかったので、「曲先の認識です!」とジャブうちすると、しばらくしてぽろぽろとメロディが来た。音源をきくと、やっぱり

          インファント

          FUNK to JUNK

          あまりに昔の出来事過ぎて覚えていないのだが、おそらく「TEENAGER」が完成したあとぐらいの出来事だったと思う。深雪さんがまだ音楽づくりに熱心だったころで(本人はコロナのせいだといっていたが)、「パソコンから昔作った曲が出てきた」という理由でチームみゆきのSlackに投げてきた。 チームみゆきで唯一の大人であり仕事がはやいしんぺいさんがいつものごとくすごいスピードでオケを仕上げてくれたが、歌詞はそこそこ時間がかかったように思う。 「FUNK to JUNK」というタイト

          FUNK to JUNK

          それで、さよなら

          note自体も久しぶりだが、この手のポストはもっと久しぶりである。諸々自身に変化があったことは、追々したためていくとして。 久しぶりに作詞をしたのでその話を。日記も含めています。 毎度おなじみ「アルカフェ」で、ひょんなことから1日店長権というものいただいており、いつか使わなければと思いながら2年が経った。そして、この3月を逃すとなかなか権利を使えそうにないということもわかったので、本当に急遽企画を作ることになった。 店主のだんさんとはいつか共作をしたいと思っていたので、以

          それで、さよなら

          アイドルと消費

          KinKi Kids様にハマってから10ヶ月が経過しようとしている。 去年ハマることができたから、25周年というメモリアルイヤーを頭からずっと応援することができている。"偶然"を"奇跡"と思いながら日々を過ごせているだけでありがたい。 25周年を記念したPOPUP STOREにも足を運んだ。デビュー前から今までの写真や、最近の衣装があまりにもラフに飾られている。所狭しと並ぶ展示ではなく、余白だらけの贅沢な空間。「25周年だからできる」と思わせる素敵なストアだった。 ストア

          アイドルと消費

          つよいとは

          昔からずっと持っている感覚があって、それは、生物(性物)として当たり前にある「つよさ」が私にはない、ということだ。 愛情は深いほうだけど、性愛ということにあまり気持ちが傾かないように常にコントロールしている自分がいて、これに関しての「衝動」のようなものを恐怖体験のように思っている。これはアセクシャルだという主張ではなくて、私の理性のブレーキが死ぬほど強いという話だ。 だから、どんなに仲のいい相手でも。そうした「無自覚な(特に)女性性」を目の当たりにする時、喉の奥がギュッと締ま

          つよいとは

          【創作】数字は独身に限る

          この列のマスには3と4しか入らない。そう「わか」ったらあとは簡単だった。今までウンウン唸っていた数分間が嘘のように、他のマスにも数字が入っていく。その瞬間はさながら、宝石箱にひとつひとつ指輪を当てはめていくようだ。脳みそから液体のようなものが分泌されるのを確かに感じて、これを「脳汁」と称するのだと理解する。数独というパズルは特段好きでも嫌いでもないが、それでも目につくたびに取り組んでしまうのは、この液体が脳を破って全身に巡るまさにこの瞬間が快感だからに他ならない。 多くの人

          【創作】数字は独身に限る

          少し先にある世界

          2022年2月12日、ピアノの配信コンサートをした。本来なら、声楽あり・合唱ありな音楽会に、「枯れ木も山の賑わい」で参加する予定だったのだが、ご時世もあって急遽演奏会がなくなって、それじゃあピアノ隊だけでも何かやりましょうよということになった。というか、した。 連弾の1曲目もソロの2曲目も、実は10月ぐらいから練習していて、でも仕事がバタバタしていてまとまって自分自身での練習時間はとれていなかった。ただ、どう考えても今までの演奏の中では一番よく弾けていた。と思う。大きなミス

          少し先にある世界

          おもしろいほうが、おもしろい。

          供養の記事を書こうと思う。昔むかしの、まったくおもしろくない話。 よくある話ではあるけれど、小学5年の頃からクラスの女子に何となく弾かれるようになり、面倒だと思って男子と遊んでいたらそれが加速した。1-2週間単位でクラスの女子の愚痴の矛先が変化し、それについてゆくことも難しく、担任も全く信用できなかった。その地続きに中学生生活もあった。品行方正には程遠いのに、(公立中学校の生徒の平均値と比べれば)能力がアンバランスに高く、馴染めなくて大嫌いだったのに(そしてきちんとそうした

          おもしろいほうが、おもしろい。

          ゴースターン

          ゴースターン (Song:くり/Lyrics:tmrr/Music:Miyuki/Arrange:丸山しんぺい) まぜこぜでイヤなきもち いざこざでズルいことば たじたじでダメそうなモノクロームの午後 むちゃくちゃにつよいカラダ はちゃめちゃにでかいタイド ぐちゃぐちゃなジャンクション渡りきれたらなあ…。 つまり、もしも、えーっと、でも、 やばい、とかく、どうしようもない でもね、だけど、「ホント」なの ステンドグラスでさえ"バイアス"になっちゃうの? なるほどはほど

          ゴースターン

          スーパースター

          Kinki Kidsに突然ハマった。 2021年8月までは、本当に仕事ばかりしていた。朝から晩まで仕事のことを考えていた。いや、実際には、コンクールにも出て、そのためにピアノも練習していたのだから、そんなことはないはずなのだが、でも、今思い出してみても仕事のことしか思い出せない。「つくる」仕事、「調整する」仕事、「人を見守る」仕事をいっぺんにやっていて、心のすべてを尽くしていたら、私の中にはなにもなくなってしまった(脂肪はめちゃくちゃついたというのに)。8月~9月はもともと

          スーパースター