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わたしの頭の中の100人

こういう人は多いと思うけれど、わたしは自分の中に自分が100人ぐらいいる。毎日、100人が一斉に頭の中で喋りだすので、表出している「わたし」は気が抜けない。一度に同じことを考えているときはまだマシで、100人中80人が別のことを考えているときはたいへんだ。同じことを考えているときだって、100人中20人と同じ意見を出してくれない。100人が100人「そうだ!」と叫ぶときは、本当に頭にきたときと、体調が悪いときぐらいだろう。

久しぶりに38℃の熱を出した。100人が一斉に声を上げなくなったかわりに、斧で毎分突き刺されるような痛みを感じた。眠れなくなり、しかたなく処方されている薬とは別に頭痛薬を飲んだ。

ここ最近、100人の議論がじょうずに進まない話があった。何ヶ月か悩んでいたと思う。きっと100人の思う意見を取り出して、整理して考えればうまくいくんだろうけれど、今思えばそんな力はどこにも残っていなかった。

4日間まったく仕事もせず寝てばかりいたら、昨日、突然50人ぐらいが騒ぎ出した。びっくりした。一人、また一人と眠りから覚めてわあわあと意見を言う。思わず笑ってしまう。ああ、話したくてしかたなかったんだね、君たち。

風邪は完治していないけれど、今朝おきたらついぞ100人目が目覚めて、やっぱり頭の中は騒がしい。ずっと悩んでいたことを目前にして、また泣いたり笑ったりしている。しょうがないから100人の意見をきいてあげるよ、風邪がぶり返さない程度に。

Photo by Aswin on Unsplash

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