花の道

Ma ville natale


知っている人は知っているでしょう。

私の生まれ育った街の中の、一番好きな場所です。

久しぶりに来た。
相変わらずの、田舎とメルヘンの絶妙な融合。
到着して、まず体いっぱいに空気を吸い込む。
太陽の匂い。本日はお日柄もよく。

5月。新緑をつけた桜の木。
足元には綺麗に並んだ春の花々。
先日行った公園とは違い、手入れされきってない感じが、また良い。
パンジー、スミレ、後はよくわからない。
白いの、赤いの。
私の感性なんて、そんなものです。取り合えず綺麗だ。
みんな生きてるわ。
ああ、これこれ。この感じ。

懐かしい気持ち。思い出しちゃうなあ。
なにかあるたびに、この場所に来ていました。
小学生の時、お母さんと、よくこの辺りを散歩しました。
高校生の時、悲しいことがあった日に、帰りは最寄駅で降りずにここまできて、川沿いを歩きながらぼーっとしていました。
そして、4年前、大大大好きなこの街を出て
一人東京で暮らす決意をしました。
そんな感じで、この場所には、いろんなステージの私が刻み付けられています。
今でもたまにこの場所に来て、自分自身に帰る。
この振り返りの瞬間が、本当に大切だなあと思う。

いつものようにお散歩しながら
(ここが私のアナザースカイ!)
と、脳内で呟いてみて、ハッとした。

アナザーじゃない。
本拠地だ。

時が経って、おばさんになっても
私はこの場所に来ることをやめないだろうな。
世界中で一番
「私」が詰まっている場所だから。
私の心の柔らかい部分、少しデリケートな部分を
預けていた場所だから。

いつか、大切な人と一緒にここを歩きたいなあ。
そして、私の子供時代の話をして
その人の幼少期にも耳を傾けて
その後はふざけ合いながら川沿いを歩いて、
うちまで帰りたいな。きっと楽しい。


…あなたには、思い出の場所はありますか?