見出し画像

栃木で夢が叶った

8月24日、あるニュース記事が飛び込んできた。

ムネリンこと川﨑宗則(敬称略)が3年ぶりに国内リーグに復帰するかもしれないらしい。
この報道を見たとき、わたしは「ふ、ふ〜〜〜〜〜ん???そんな??可能性が???な、なるほどね〜〜〜〜???」みたいな感じで真に受けないようにした。
そう、この時点では何も決まっていない。復帰か?入団か?など、新聞の見出しというのは往々にして「〜〜、か?」が多いのである。「引退決断、か?」「トレード、か?」「FA権行使、か?」などなど(派生に「〜〜へ」もある)
栃木という土地に何があるのか、正直位置的にどこにあるのかもよくわからない。西日本生まれ西日本育ち、関東弁は据わりが悪い。しかし栃木には彼がいる。
西岡剛である。(その時点では再契約に至ってなかったが)

川﨑宗則!西岡剛!といえば第1回WBC・北京五輪の日本代表選手、世界一の二遊間コンビ。
わたしを二遊間コンビ萌えという未だ抜け出せない深い深い沼に突き落とした張本人たちだ。

彼らは普段は違うチーム同士、日本代表やオールスターに選出されない限り二遊間コンビを組むことはない。そもそも同じ遊撃手であったため、せっかくオールスターに選ばれても北京五輪の08年以降そうそう二遊間コンビを組むところなど見られなかった。
見たのに!!あのときは確かに存在していたのに!!そうこうしているうちに彼らはそれぞれ海を渡り、戻ってきたときはまた別のチームになったり体調が思わしくなくて野球から離れてしまったりNPBを戦力外になった西岡剛はBCリーグ栃木ゴールデンブレーブスに入団していたり川﨑宗則はまた海を渡ったりしていた。

えっ?!?!むねりん、日本のチームでの復帰は目指してない、あくまで台湾をまた目指すって言ってたのに?!よりにもよって栃木に?!?!なぜ彼がいるチームに?!?!どゆこと?!?!
と混乱は収まらず、↑の記事を書いている小西亮記者はこの関連の記事を出すたび「世界一の二遊間コンビが復活か?」という〆を使っていた。まるでそうなることを祈るかのように。

(小西記者……いったい何者なんだ……めちゃくちゃに気持ちがわかる……。)

「餃子が美味しかったら決めようかな〜」などというムネリン節を炸裂させたのも束の間、8月28日には正式に入団が決定。9月7日には入団会見をするという。
さらには4日後の9月1日、それまで家族の健康を鑑みてチームとの再契約を保留していたらしい西岡剛が正式に再契約を決定。

えっ?!?!?!早い早い展開が早い!!!!待て待て待て待て!!!!!!!
同じチームになっとるがな!!!!同じチームに!!!!西岡剛と川崎宗則が!!!!!同じチームに?!!!?!?!!!?!?!!???!?!

さらには7日に予定されていたむねりんの入団会見は急遽2人合同で行われることに。

???????公共の場で2人がしゃべる映像が流れるのいつぶり?????????

ふらみんは混乱した。情緒はめちゃくちゃになった。仕事中だったけどわりと涙が出たしおなかが痛かった。その日どうやって仕事を終えて帰ってきたのかよく覚えていない。気づけば友だちに連絡を取り、栃木まで(東京まで)の新幹線を予約し、宿を取り、試合の前売り券を買っていた。
その時点でいつから試合に出るかなんて情報はなかったが、試合日程と照らし合わせ入団会見後の週末にあたりをつけた。興行的に考えて、知名度・人気抜群の選手を週末の試合に出さないはずがない。ていうかシフト的にたまたま休みだった(3週間に1度のローテーション)のでもう本能が「行くしかねぇ!!!」と完全にゴーサインを出したのだった。

感染症?うるせ〜〜〜〜〜!!!知らね〜〜〜〜〜!!!行くったら行くんじゃ〜〜〜〜〜!!!14年!!!!!!14年待ったんだよこっちは!!!!!!この瞬間を見ずに死ねるか!!!!!!!!!

というわけで途中7日の合同入団会見後にマジでむねりんが出場するのは13日からという情報が開示されたりはしたが、気付けばわたしと友だちは今日小山運動公園野球場の前に立ってかき氷を食べていたのだった。

小山駅から球場までは試合時に臨時バスが出ていたらしいのだが8月末でなぜか終了しており、我々は見知らぬ土地の道を20分ほど歩く羽目になった。途中で何度か「本当にむねりんいるのかな???」とか言い出すわたしに優しく笑いかけてくれたなかちゃんは14年前から変わらず天使だった。
週末は雨だという予報だったが移動時はめちゃくちゃ晴れていたし暑かった。試合中もほとんど雨は降らなかった。わたしは普段の行いが良いので。

果たしてむねりんはいた。ちゃんといた。走ったり守ったり打ったりしていた。野球をやっていた。
最初にグラウンドに現れて、相手チームのシートノックの片付けをしたりウォームアップをしている姿を見ただけで泣けてしまった。
ちゃんといる!!!元気に動いてる!!!!!むねりんが!!!!!!

もうそれだけで本当に本当に嬉しかった。ホークスを退団するに至った原因があまりにもショックだったから。あんなに野球が大好きだった人が、大好きな野球を続けられないほどの状態になってしまうなんてどうして?ひどい、こんなのってない、むねりんから野球を取り上げるようなことをしないでってたくさん泣いたから。

それでも少しずつ回復して、イチローさんと自主トレしたり野球大好きマスクマンが現れたり、台湾で復帰したりという姿はテレビやネットを通して見ていたけど、やはり目の前で本当に生きているという情報量に勝るものはない。
野球をやっている!!むねりんが!!!あのむねりんがまた大好きな野球をやっているんだ!!!という喜びでいっぱいだった。

川﨑宗則と西岡剛がキャッチボールをしていた。YouTubeで数秒しか見たことがなかったのに。いま目の前でそれが行われている。
試合が始まってからは彼らはそれぞれ三塁と一塁で出場していたし打順も2番と4番だったので二遊間1,2番コンビとしての彼らが見られたわけではないけれど。彼らがいたからいまわたしはこの14年いろんなことがあってこうして栃木まで来てしまったんだなと思った。なにもかもがあの頃のままではなく、わたし自身も彼らも14年分変わったこともあるけれど、こうしてなにかを好きだと思ってしまうと居ても立ってもいられず行動してしまう自分のことは14年前から変わってなくてよかったなと思った。

しかし西岡剛がファーストってことはサードゴロは全部ファーストへ投げるわけで、試合で送球と捕球をしているところが見られるというわけなんですね。
ワ゛ーーーーーー推しと推しが送球と捕球をしたーーーーーーー!!!!!!!!って脳内はしっちゃかめっちゃかになってたし、そうしてるうちにむねりんは初打席初球を場外までホームラン打つしでここで一度メンタルがリセットされた感があった。

や、野球してる………てかむねりんのホームランが見られるとかどんだけレアな状況だ?(帰りに調べたら日本でのホームランは2011年以来9年ぶり)

川﨑宗則は球場の誰よりも声が大きくて、ピッチャーやキャッチャーに守備位置からもベンチからもたくさん声をかけてて、あ〜これがいま松田宣浩に引き継がれてるんだなぁと思ったりした。
5回の守備から交代してしまったけど、ベンチ裏から出てきたらベンチの1番前まで行ってずっと声を張り上げていたのもとてもらしくて嬉しかった。

試合はむねりんの先制ホームラン含めて2本のホームランで栃木が勝ち(試合時間の関係で8回までで終了)、むねりんのヒーローインタビューまで聞けた。

なんか……なんなのかね。いまもこれを書きながら鼻水出るほど泣いてしまって一時中断したんだけどとにかく本当に観に来てよかった。テレビやネットの画面越しじゃなく、ちゃんと自分の目で見て耳で聞いてよかった。メディアに切り取られた一瞬じゃなくて、実物を見られてよかった。
彼がいま、とても楽しく野球ができていることをこの目で確認できてよかった。

あの二遊間コンビが復活するかも?ということに惹かれて観に行ったけど、最終的には「むねりんがまた大好きな野球を楽しんでやってくれてる」という事実を確認できたことに胸がいっぱいになって最後もやっぱり泣いてしまった。よかった〜〜〜〜って言いながら泣いた。本当によかった。こんな日が来てくれてよかった。

2018年の3月26日、あまりにもやりきれなくて野球の神様なんていないと思ったしもう2度と彼らが同じチームでプレーしたりましてや二遊間コンビを組むところなんて見られないんだ、記憶の中でしかあの二遊間コンビにはもう会えないんだと嘆いて悲しくて仕方なかった。

本人が「引退」だと明言していない以上はいつかまた戻ってきてくれるんじゃないかなという希望は持ちたかったけど、ファンのそういう期待や希望が本人にとって重荷になってしまう可能性がある以上口にするべきではないとも思っていた。
いつか、忘れてしまったころでも構わないから…また楽しそうに野球をしているところだけでも見せてほしい…とそっと願っていたことが今日叶った。叶ってしまった。それが本当に本当に嬉しかった。

その夢を叶えてくれるきっかけになったのが、あの二遊間コンビの相棒である西岡剛だったのだからもう言葉もない。なんと表現したらいいのかがわからない。いまもまた泣きすぎて苦しい。

むねりんは中学生のころ、初めてイチローさんを知ったとき「光を見た」と感じたらしい。わたしにとって、今日グラウンドにいた川﨑宗則こそが光だった。

2年前のわたしの夢を叶えてくれてありがとう。

読んでくれてありがとうございます!\\\\٩( 'Θ' )و //// いただいたサポートでおいしい雪苺娘かモンブランを食べます!