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和田毅の581日

和田毅が一軍のマウンドに帰ってきた。実に1年半、細かく日数を数えると581日ぶり。最後にヤフオクドームのマウンドに上がったのは2年前。

初回は三者凡退の順調な立ち上がり。2回は中日打線の中軸に連打を喰らいコントロールもあまり定まっていないように見えたけれど、なんとか最低限1失点で抑える。
するとその裏松田、内川のソロホームラン×2で逆転に成功。
というかこの2011年日本一メンバーであるふたりが「和田さんのために」という想いを乗せてホームランを打ってくれただけで泣ける。

3回はプレートの立ち位置を変更してさくっと終わらせたけど、4回にビジエドにソロホームランを打たれ同点に追いつかれる。5回、ピンチを背負いながらもなんとか無失点でお役御免。

5回78球2失点。勝ち負けつかず。まあ一発病は今に始まったことではないし、先発としての役割は十分に果たしてくださった。球速も最速144キロが出た。

戻ってきてくれた…本当に良かった…。

和田さんは今までそんなに大きなケガをしたこともなくて、まあメジャー1年目でトミー・ジョン手術が必要になって登板できなくなっちゃったことはあったんだけど、あのころは海の向こうだったのでまあまあ諦めがついた。

しかし去年は左肩痛ということで、日本では初めて1年間一軍登板なしとなってしまったわけだ。
去年の5月ごろ、二軍で投げる予定が取りやめになって以降、特にこれといった情報が入らなくなった。これはなかなかに堪えた。日本にいるのに、なにをしているのかわからない。6月頭には前半戦絶望というニュースが出た。それ以降は、ほとんどなにもなく。
どうしているのかな、回復が順調だったらいいな。そんなことを考えつつも、チームのメインは一軍の試合。
さらには野手の推しである松田も、同じ6月頭ごろに4年ぶり、かつケガ以外では2010年以来のスタメン落ちとなり、自分の好きな選手たちが明らかに引退というターミナルへ向かっているということから目がそむけられなくなった。

松田は夏に熱男の面目躍如とばかりに活躍したけれど、シーズン前にはむねりんが退団になったし、夏以降の次々と訪れる各選手の引退報道に胸がきりきりした。
特に和田さんとともに先発四本柱、Wエースとして活躍した巨人・杉内の引退は、本人への愛着もあったし周りのノイズが濃くなったのも相まってつらかった。

周りのノイズというのは、まとめサイトとかヤフコメとかの「和田はどうしてるんだ」「和田ももうそろそろ…」みたいなやつだ。

松坂世代は去年の時点で38歳。松坂大輔は中日で復活を遂げたけど、杉内以外にもたくさんの松坂世代が引退した。やめてもおかしくない年齢には違いない。本人がまだ続けたいと思っていても、球団から求められるかどうかはわからない。

ホークスも日本シリーズ直後に功労者といえるベテランが何人か戦力外通告を受けたけれど、和田さんは含まれていなかったからまず安心した。けれど本人がどうしたいかだ。引退するしかないと本人が決めてしまってはもう止められない。

けどちゃんと契約更改された。年俸は大幅ダウンだったけど、それでも球団に求められたし、本人も続けたいと思ってくださったのがわたしは嬉しかった。
「引退しようと思った」と和田さん本人の口から聞いたときは血の気が引いた。それでもあがこうと、また戻ろうとしてくれたことが嬉しかった。

やっぱりわたしがこの世でいちばん好きな野球選手は和田毅だ。推しを推せるってなんてしあわせなんだろう。

2003年の日本シリーズ第7戦、お父さんが野球を見たいと言ってチャンネルをかえたとき、マウンドに立っていた和田毅のことが忘れられない。なんてかっこいいお顔の人がこの世にいるんだと驚いた。

お父さんが野球を好きだったおかげで和田毅と出会うことができた。当時の王監督や尾花コーチが9回まで和田さんを続投させてくれたおかげで投げているところを見ることができた。福岡のファンが、秋山幸二の引退試合であたたかく祝福しているのを見たおかげで和田さんは福岡ダイエーホークスを逆指名してくれた。
福岡という土地に球団を誘致してくれたダイエーに感謝だし、もう南海ホークスという球団が前身にあったことにも感謝したいし、もはやこの世にプロ野球という娯楽があってよかったと感謝したい。
和田さんを取り巻く生きとし生けるもの、森羅万象に感謝を捧げたい気持ちになる。

そうでなければわたしはこんなにもしあわせな気持ちを知らずに生きるところだった。和田さんに、ホークスに出会わなければきっともっとどうしようもない、暗くてみじめでしょうもない日々を送ることになっていたと思う。

だからまだまだ和田さんの活躍をこの目に焼き付けたい。おかえりというのは白星を上げてからいったほうがいいのかもしれないけれど、戻ろうと決意して戻ってきてくれたことだけでおかえりといいたい。

わたしには和田さんがどのように苦しい道を歩いてきたのかを正確に推し量ることはできない。以前「毎年、開幕前にちゃんと140キロ投げられるだろうかと不安になる」とおっしゃっていたことを忘れることはできない。
でも、戻ってきてくれたことだけでこんなにもしあわせな気持ちになれるファンがいます。

わたしに推しを推せる幸福を教えてくれてありがとう。次の登板も、白星も、楽しみにしています。

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