<書評> ウェイル & ウォーナー (著) デジタル・ビジネスモデル 次世代企業になるための6つの問い

デジタル戦略の分野は次々と本が出るので、
追いかけるのが大変です。

また1冊、結構いいと思う本がでました。
Peter Weill & Stephanie Woerner
What's Your Digital Business Model?: Six Questions to Help You Build the Next-Generation Enterprise
の翻訳です。

Peter Weill(ピーター・ウェイル) は、MITの教授です。
『ITポートフォリオ戦略論』というITインフラに関する著書が以前に翻訳されていますが、実はネットビジネスの早い段階からの研究者でもあり、未翻訳のPlace to Space: Migrating to Ebusiness Models(2001)というネットビジネスの本は欧米では評判になったものでした。

今回のWhat's Your Digital Business Model?の原書は、今年の5月に出たものでした。
けっこう早く翻訳が出ました。

この本は、「既存企業、それもかなり大きい企業」の立場にたったものです。

上記立場の企業が、自社にふさわしいデジタルビジネスモデルを見出し構築するためのステップを順番をおって示しています。

脅威の判定→デジタルビジネスモデルの探索→自社の強みの同定→モバイルやIoTに自社をどう繋げるか→自社再構築のために必要なケイパビリティは?→必要なリーダーシップは?

という六ステップです。

上記のステップ論とは別の次元の話として、本書ではデジタルビジネスモデルが4つに分類されています。
サプライヤーモデル、オムニチャネルモデル、モジュラー提供モデル、エコシステムドライバーモデル。
そして、この4つのそれぞれは、必要なケイパビリティが異なるとされています。

本書は、上記の6ステップ論と4つのデジタルビジネス モデルを組み合わせることで、実践的指針をえようとするものです。

総じて、MITの先生とは思えない「実践」的側面の強い本です。
(共著者のウォーナー(Stephanie Woerner)さんの貢献かもしれないですが、、。)

結論としては、「既存企業のデジタルシフトの指南書」という分野において
現時点では数少ない参考書と言えます。

あえて、弱点を言うならば、「既存企業のデジタル対応の具体例が少ない」(現実に成功例が少ないから当たりまえかもしれないですが、)ので、話がすこし都合よく展開している印象があります。

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