仮面ライダーギーツ総括~色眼鏡が全く役に立たなかった作品~

はじめに

 仮面ライダーギーツが最終回を迎えたので総括することにした。

武部P作品に対する先入観と払拭

 仮面ライダーギーツといえば、久々に武部Pがメインを張っていらした。武部Pは仮面ライダーキバ、仮面ライダーオーズ、特命戦隊ゴーバスターズ、仮面ライダー鎧武、手裏剣戦隊ニンニンジャーをメインでプロデュースなさっている。その中で武部P作品の特色というものが私の中で出来上がっていた。
・レギュラー登場人物が消滅する
・コラボが多い
・老兵は去るのみというテーマ
 しかし仮面ライダーギーツでは払拭されたのでそれぞれ説明する。

レギュラー登場人物が消滅する→消滅してない

 武部P作品といえば
 キバ:音也
 オーズ:アンク
 ゴーバスターズ:陣さんと初期メンバー3人の親
 鎧武:戒斗
 ニンニンジャー:好天
と、レギュラー登場人物が死亡または消滅している。仮面ライダーギーツも最終回一つ前で英寿がツムリに撃たれてしまう・・・
 と思いきや案の定英寿の肉体は消滅したものの神様化して生存、最終決戦後も存在は忘れられたものの普通に生きていた。
 したがって、仮面ライダーギーツで消滅したキャラが、ミツメと桜井両親とレターと面接官と消防士とアカリと道長の親友ぐらいとなった。いずれもレギュラーというよりゲストみたいなものであるため、レギュラー登場人物が消滅するという先入観が見事に裏切られた。

コラボが多い→冬映画のみ

 武部P作品といえばコラボが多いという印象もあった。キバこそ特にコラボ回はなかったが、オーズは1000回記念と夏映画の暴れん坊将軍コラボが、ゴーバスターズではギャバンとのコラボがあった。
 しかし最もコラボが顕著だったのが仮面ライダー鎧武である。本編が盛り上がっている最中に劇場版キカイダーREBOOTとのコラボが挟まれたり、終盤になってサッカーとのコラボが挟まれたりしていて、本筋が見づらかったという印象が私の中であった。
 続く手裏剣戦隊ニンニンジャーは基本的に1,2話完結であり第1話からテコ入れする気満々な作品だったため、コラボで本筋が見づらかったというわけではなかったが、カクレン・ハリケンコラボや世界忍者戦ジライヤコラボ、マジレンジャーコラボなどがあった。
 そこで仮面ライダーギーツもコラボが多いだろう・・・と思いきや、仮面ライダーリバイスと共演した冬映画のスシローコラボのみだった。それもどちらかというと空気階段回や声優回など(2話完結だったため本筋が見づらいというわけではなかったが)コラボの多かったリバイス側の特色のような気もしている。
 そんなわけでギーツはコラボが多いかと思いきや、全然ないということで先入観が裏切られた。

 老兵は去るのみというテーマ→老兵が帰ってきた

 武部P作品といえば世代交代が描かれていることが多い。ゴーバスターズでは初期メンバーの親や陣さんが去り彼らの志を初期メンバーが受け継ぐ結末になり、鎧武でも光実が絋汰の志を受け継ぐことになった。最も顕著だったのがニンニンジャーである。世界忍者戦ジライヤとのコラボ回では前線に立とうとするジライヤ/山地闘破がニンニンジャーの説得で一線を退いた。一方最終回ではラストニンジャという伊賀崎好天が築いた伝説をニンニンジャー6人が塗り替え、世代交代が図られた。
 そして仮面ライダーギーツで仮面ライダーケイロウ/丹波一徹なる老人が永遠の若さを求めてデザイアグランプリにエントリーした。この丹波一徹がデザイアグランプリに優勝してピッコロ大魔王みたいに若返りして英寿に立ちはだかるのかと思いきや、桜井景和にライダーの力を譲り退いた。ここでも老兵は去るのみというテーマが語られた
・・・かと思いきや、「劇場版仮面ライダーギーツ 4人のエースと黒狐」で再登場していた。どのように再登場していたかについては映画のネタバレになるので詳細は伏せておくが、少なくとも老兵は去るのみというテーマを覆した内容だった。
 仮面ライダーギーツで老兵は去るのみというテーマも覆され、先入観が裏切られた。

仮面ライダーギーツの独自色

 これまで武部P作品にあった先入観と払拭についてつづったが、では仮面ライダーギーツの特色って何だ?ということについてつづることとする。

バトルロワイヤルものの皮を被った王道ヒーロー作品

 仮面ライダーギーツ、当初は「仮面ライダーが自らの願いをかけて世界平和を守るというゲームで競う」という設定だったためか、個人的には仮面ライダー龍騎を思い出した。確かに黎明編と邂逅編ではバトルロワイヤルものの様相を示していた感があった。
 しかし、謀略編で先述の丹波一徹により仮面ライダータイクーンが復活してからは、作風に変化が生じ始める。
 願いは違えどギーツとタイクーンとナーゴとバッファが共闘し始めたのである。これって戦隊もの・・・とまでは言わないとしても王道ヒーローものなんじゃね?と思い始めた。
 以後は4人全員の共闘回数こそそんなにないものの、母親に会いたいという願いを持ちつつも王道ヒーローとして戦う浮世英寿を軸として、ヒーローものとしては素直な作劇が展開されていたという感触が個人的にはあった。比較対象が同期の桜でありパターン破りの連続だったドンブラザーズやキングオージャーというのも好対照を示していた。
 根底に流れる考えは「幸せの総量が決まっている(ので一番被害の少なかったTV版最終回ラストでも神崎優衣が犠牲になった)」とされた龍騎と違い、「願った分だけ幸せが訪れる」というヒーローものとしては王道なテーマとなっている感があった。

ペース配分に気を遣いまくった作品

 仮面ライダー作品、というより一年ある作品だと中だるみという問題がまとわりついていた。
 昭和ライダーではビデオがまだ十分に普及していなかったためか、ターニングポイント回がいくつかある以外、見ても見なくても良い通常回が大半を占めていた感があった。例外は仮面ライダーストロンガーのデルザー軍団編ぐらいである。
 平成1期から平成2期前半までは前後編で一まとめという構成にすることにより、中だるみを半減させた。とはいえ作品によってはあってもなくてもいい話が出てきたため、完全にたるみを防いでいるというわけではなかった。
 その後平成2期後半から「前後編にするとどちらか見ないと話がわからなくなる」という見解が出てきたためか、1話完結の話が多くなる。しかし(予算の都合上?)怪人の種類も少なくなったため、同じ敵と何話も戦い続けるという展開が続き、終盤はずっとラスボスと戦い続けているという意味でたるみが発生していた。
 令和ライダーではゼロワンが平成2期のパターンを踏襲しようとしていたがコロナ禍で話数短縮がなされたためか変則的な構成となった。
 続くセイバーでは全体的にはペースこそ維持されていたものの、第一部終了の頃ぐらいに同じ敵とずっと戦うという意味でたるみが発生していた。
 リバイスでは撮影リソースも回復しつつあったということで平成1期から平成2期前半までの前後編構成に戻そうとした。しかし大二絡みの話の軌道修正によりペースが維持できなくなり(というところを反転アンチに付け込まれた感があった)、終盤こそ元の前後編構成に戻りはしたがやや変則的になった。

 ここで仮面ライダーギーツ。数話を一まとめにして「黎明」「邂逅」「謀略」「乖離」「慟哭」「慕情」「創世」とすることにより、話にメリハリがついてたるみがほぼなかったという感触を持った。個人的感想だが、黎明のツカミと締めは良かった感あるし、邂逅ではデザイアグランプリの基本的な内容がわかったし、謀略では景和と祢音の復活と道長の退場が描かれたし、乖離ではデザスターの犯人捜しが焦点となったし、慟哭ではジャマトグランプリが緊迫感あったし、慕情では英寿と母親の決着が描かれたし、創世は景和の闇落ちやスエル陣営、厄介サポーター組との対決が印象的だった。
 これらの展開が短すぎず長すぎない話数で展開されており、個人的には非常に見やすかった。
 願わくば同じパターンにはできないかもしれないが、続くガッチャードのほうもペース配分に気を遣っていただければというのが正直な感想である。それほどギーツのペース配分は良かったと思う。

終わりに

 以上、仮面ライダーギーツを総括してみた。個人的には登場人物のキャラも好きで箱推しになった話とかも書きたかったが、めちゃくちゃ長くなりそうなのでこの辺で締めることとする。
 最後に、スタッフ・キャストの皆様、楽しい作品を本当にありがとうございました!

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