新妻東一

在ベトナム・メディアコーディネーター。旅行会社経営。ベトナムと日本の近現代史、特に仏領…

新妻東一

在ベトナム・メディアコーディネーター。旅行会社経営。ベトナムと日本の近現代史、特に仏領インドシナ、仏印進駐時代の美術・文化交流史、鉄道史に興味あり。

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  • ベトナム・エンタメ通信

    日本ベトナム友好協会機関紙「日本とベトナム」に掲載された記事をウェブに再録。

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自己紹介 氏名:新妻東一(にいづまとういち) 生年月日:1962年5月19日 出身地:日本国東京都 経歴:1988年、東京外国語大学外国語学部インドシナ語学科ベトナム語専攻卒。1986年、三進交易株式会社(貿易業)入社。2004年、同社ベトナム駐在所長。2010年、三進ベトナム株式会社(旅行業)をハノイに設立。テレビの取材コーディネート、ウェブ記事のライティングも手掛ける。 資格:旅行業取扱主任者資格 ベトナム語のビジネス会話通訳・ビジネス文書翻訳。ベトナムの近現代史、鉄道

    • Vingroup「選択と集中」か、それとも「終わりの始まり」か

       ベトナム最大の私企業ビングループが12月3日同社の量販小売チェーンVinmartを”Chin-su”ブランドの調味料、"OMACHI"ブランドの即席麺で有名なマサングループに売却すると発表した。  Vinmartは2014年に設立後、現在ベトナム50省市に2600以上ものスーパー、コンビニ店舗を展開する、ベトナム最大のスーパーマーケットチェーンだ。順調だったはずの事業の売却は急だった。続けて、同グループのオンラインショップ"Adayroi"はグループ企業に吸収させ、家電量

      • 持続的な観光開発は可能か?ハザン省を訪れて

         この11月ハザン省を訪れた。ハザン省観光局の旅行業者向け招待旅行だ。ハザン省はその省都であるハザン市まで車で6〜7時間かかる。日本の旅行客は3泊4日から長くて1週間の短期間のツアーが多い。移動だけで片道一日かかるハザン省への旅行はどうしても避けられる。世界160カ国からの訪問客のあるハザン省への日本人旅行客は第100位以下だという。ハザン省にとって日本人旅行客の誘致は焦眉の課題だ。  ハザン省は棚田や山並みの自然の美しさに加え、モン、ザオ、ロロなどといった少数民族が多く暮

        • 自動化・ロボット化が進むベトナム製造工場

           先日、ハイフォンのある自動車工場を訪ねた。ボディ組立工場に入ると、何十台ものロボットがラインに並んだ自動車のボディに溶接をし、火花をあげている。人間はとみれば、ロボットをコントロールするパネルの前に何人かいる程度だ。ドアやシートを取り付けるラインには多少人間が作業をしていたが、工場に人影は少ない。  数年前にもベトナムの乳業メーカーの工場も見学した。牛乳をテトラパックに封入し、箱詰めする過程はすべてオートメーションであり、工場内の荷物の運び込みも無人フォークリフトが担って

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          ベトナムでの「歴史問題」

           先日、日本語教師をしている高齢の日本人女性から相談を受けた。ベトナム人学生に「1945年9月、ベトナムは日本から独立した」と教えたら、学生から、「先生それは違う、ベトナムはフランスから独立したんだ」といいはって聞かない、ホーチミンのベトナム独立宣言の日本語版が手に入らないか?自分も勉強しなおしたい、というものだった。  1945年9月2日、ホーチミンが読み上げた「独立宣言」には次のようにある。「1940年の秋からわが国は日本の領土となり、もはやフランスの領土ではない。日本

          ベトナムでの「歴史問題」

          ベトナム「国産」車、販売開始!ビンファスト

           7月28日、ベトナム自動車メーカー「ビンファスト」がセダンとSUV二車種の納車を開始したと報じられた。  同社は2017年に投資金額15億米ドルでハイフォンに創立されたばかりの自動車メーカーだ。ベトナム最大のコングロマリット・ビングループ傘下の企業である。  ビングループは2006年、ニャチャンにリゾート施設を、ハノイにレジデンス・ショッピング・オフィスの複合ビルを建設したのを皮切りに、マンション開発、病院、薬局、学校、小売、農業、都市鉄道から道路建設、果ては自動車、ス

          ベトナム「国産」車、販売開始!ビンファスト

          東南アジアで最も高い超高層ビル、ランドマーク81

           ホーチミン市に昨年7月、ランドマーク81というビルが建設され、この5月から展望台がオープンとなった。同ビルはベトナムはもちろん、東南アジアで最も高く、その高さは461.2m。ランドマーク81が完成するまではマレーシアのペトロナスタワーが東南アジアで最も高いビルであった。世界でも12番目の高さだという。日本で一番高い「ビル」は「あべのハルカス」でその高さが300mだから、それよりも160mも高い。  ランドマーク81は地下1階から地上3階までがショッピングセンター、4階が住

          東南アジアで最も高い超高層ビル、ランドマーク81

          35(バー・ムイ・ラム)はスケベのこと?!〜ベトナムの数字と習慣

           ベトナムに暮らしていると、数字にまつわる習慣、符丁に気がつく。  たとえば、35(バー・ムイ・ラム)。「スケベ」の意味だ。なぜ35が「スケベ」なのか?私も多くのベトナム人に理由をきいてみた。  ある人は35歳という年齢は人生の中で一番「スケベ」になる年齢だからと答えた。ある人は、35は中国カルタでヤギを示す数字であり、ヤギは絶倫の象徴であるから、という説明だった。確かにベトナムでヤギのオスは交配時に射精後もすぐに別のメスと交わることができるとされているうえ、ヤギの睾丸を

          35(バー・ムイ・ラム)はスケベのこと?!〜ベトナムの数字と習慣

          SNS時代、ベトナムでも性犯罪に対して世論厳しく

           3月初旬、ハノイの高級マンションのエレベーター内で20歳の女子学生が中年の男に抱き寄せられ、無理やりキスをされた。防犯カメラにはその一部始終が記録されており、動画がニュースやネット上で報じられ、話題となった。その後、その男は罰金20万ベトナムドン(約千円)の行政処罰を受けたと報じられた。「強制わいせつ」に対してベトナムでは刑事罰に問うことができず、「他人の人格、名誉侵害」という行政罰に過ぎないとあって、性犯罪に対してあまりにも刑罰が軽すぎるとの議論がネット上で沸騰した。

          SNS時代、ベトナムでも性犯罪に対して世論厳しく

          ハノイにおける米朝首脳会談、その後

           さる2月27、28日、ハノイで米朝首脳会談が行われた。結果はトランプ大統領が席をけり会談は物別れに終わったが、ベトナム・ハノイでの歓迎ぶりはただならぬものがあった。  2回目の米朝会談が行われるとの観測に加え、開催候補地がベトナムだという噂が流れたのが1月中旬。1回目の会談の開催候補地のひとつがハノイだという噂があったものの、「噂は本当なのだろうか、結局シンガポールに決定、今回も噂だけで終わるのでは?」と思っていた。  連日のようにメディア各支局と連絡をとりあい情報交換

          ハノイにおける米朝首脳会談、その後

          ベトナムでうつ病による自殺が4万人を超える?

           昨年末、あるベトナムのネットニュースが次のような表題の記事を掲載した。「現代社会の覆面の殺し屋〜うつ病」  同記事によれば、ベトナムでは年間4万人以上ものうつ病による自殺者が発生しているとバクマイ病院・精神衛生研究所が発表したと報じた。  日本は自殺大国として知られる。警察庁の自殺統計によれば平成29年度の自殺者数は21,400名、それがベトナムで4万人とはにわかには信じがたい数字だ。  記事を読み進むと、うつ病による自殺と思われる4万件のうち、実際に自殺が成功したケ

          ベトナムでうつ病による自殺が4万人を超える?

          急速に少子高齢化するベトナムはこれからも人材供給源たり得るのか

           平均年齢46歳の日本からベトナムを訪れた人々はベトナムの人口の若さに驚く。ベトナムの平均年齢は30歳。若くて当たり前なのだが、しかし、ベトナムも急速に高齢化している。  ベトナムはすでに65歳以上の高齢者が人口の7%に達しており、国連機関が採用している基準によると「高齢化社会」に分類される。その高齢者人口が14%に達すると「高齢社会」とされる。  フランスは65歳以上人口が全体の7%から14%に達するまでに1世紀ほどかかっているが、日本は四半世紀、ベトナムほかタイなどの

          急速に少子高齢化するベトナムはこれからも人材供給源たり得るのか

          年々華やかになるハノイのクリスマス、ハロウィン

           30年前の1988年12月、仕事ではじめてベトナムを訪れた際、ホーチミン市でクリスマスパーティに誘われた。当時のホーチミン市はまだクリスマスの飾りも控えめだったように記憶する。一方ハノイではクリスマスだからといって特になにもなかったように思う。  現在は12月ともなると、ハノイでもショッピングモールやデパート、学校、保育園やマンションの入口などにもクリスマスツリーが飾りつけられる。  クリスマスのみならず、最近では2月のバレンタインデーや10月末のハロウィンなども華々し

          年々華やかになるハノイのクリスマス、ハロウィン

          「承認せずとも禁止せず」ベトナムの同性婚とLGBT問題

           自民党の杉田水脈議員がLGBTは「生産性がない」と論じたことが、ネット上で批判され炎上、自民党本部には5千名を超える人々の抗議デモにまで発展した。  ではベトナムではLGBTをめぐる問題はどのように扱われているだろうか。  ベトナムの映画やお芝居では喜劇役者の女装し、オネエ言葉で笑いをとったりというのは以前からあった。タイニン省では旧正月(テト)ともなると町の広場で「おかまちゃんショー」が開催され、女装したニューハーフが芝居やコントが披露される。  同性愛の男性カップ

          「承認せずとも禁止せず」ベトナムの同性婚とLGBT問題

          ベトナムにおける宗教と社会〜「神様の教会」をめぐって

           今年6月、ベトナム中部のクアンビン省ドンホイで53歳の女性が28歳の実の息子に刺殺されるという事件が発生した。この息子が突如、家にあった祈祷台(日本でいう仏壇にあたる)を破壊しはじめ、母親と先祖信仰について口論となった末のことだったために社会に衝撃を与えた。  被害者の息子は「神様の教会世界福音宣教教会」という新興宗教団体に参加していた。「神様の教会」は日本では馴染みがないが、韓国の安商洪が1964年に興したキリスト教系新興宗教で、現在では175カ国、280万人の信者がい

          ベトナムにおける宗教と社会〜「神様の教会」をめぐって

          スマホでバイクタクシーも呼び出せる、Grab Taxi

           日本では規制もあって普及しないスマホ・アプリでタクシーを呼び出すサービスはベトナムでは爆発的に普及しすでに人々の間で日常的に使用されている。  様々なサービスが乱立しはじめているが、ベトナムでもっとも広く使用されているのがGrab Taxiである。  このサービスはマレーシアの人がシンガポールで起業してはじまったサービスだが、ベトナムをはじめ東南アジア各国で普及している。米国のUBER社もベトナム市場で健闘を見せていたが、昨年Grab Taxiに事業を売却して撤退した。

          スマホでバイクタクシーも呼び出せる、Grab Taxi