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大手予備校英語科講師が教える 高い英語力を着実に身につける方法

「読む」「書く」「聞く」「話す」をまとめて「4技能」と呼ぶことが少し前まで流行っていました。私はこの中で「読む」を先行して学んでいくのが最も効率的だと考えています。

このように考えているのは私だけではなく,例えば東京大学名誉教授の菅原克也先生は『英語と日本語のあいだ』(講談社現代新書)で次のように主張しています。

日常生活が英語でいとなまれる場に身を置くならばともかく,日本で英語という外国語を身につけてゆくには,日本にいながら効果をあげる学習方法を第一に考えなくてはならない。それは,まずきちんと文法を学び,読む力を蓄え,聞く力を養うことである。

また,杏林大学准教授の北村一真先生は『英語の読み方』(中公新書)で英語を「読む」能力の重要性を次のように指摘します。

現代を生きる多くの日本人にとって,「ネットで普通に使われているような英語を問題なく読めるかどうか」が「聞く力」「話す力」を自力で高めていける人と,そうではない人との大きな分水嶺となる,という事実です。

この記事では,英語を「読む」力を鍛えるための勉強法を以下の観点から解説します。


1.英文読解[解釈]本はどう取り組みべきか

英文読解[解釈]系の学習参考書・問題集に取り組む前に,英文法の知識を頭に入れておいたほうがいいでしょう。そのためには『英文法基礎10題ドリル』(駿台文庫)が最適です。

「本書の使い方」に従ってどんどん解き進めてください。1単元で複数問ミスがあれば,そこはあなたの弱点である可能性が高いです。手持ちの英文法書(≠英文法問題集)で該当箇所を調べ,理解を深めてください。お持ちでないのであれば『ジーニアス総合英語』がおすすめです。

英文法の知識をざっくりと身につけたら,いよいよ英文読解[解釈]系の学習参考書・問題集に取り組みましょう。基本的には好きなものに取り組んだらいいのですが,(これはちょっと簡単かも……)と感じるくらいのものがあなたにとってベストの教材です。この選び方は英文読解[解釈]に限らず,あらゆる勉強で有効なので覚えておいて損はありません。

先ほど「基本的には好きなものに取り組んだらいい」と言ったのですが,書店に並んでいるものの中にはとんでもない「地雷」があります。けっして触れてはいけない悪書です。その本で勉強しても英語を読めるようにならないばかりか頭が悪くなると言ってもいいものがあります。

その具体的な名前は出しませんが,その代わりに「この中から選べば安心・安全ですよ」というリストを下に示します。

<初級者向け>
英文読解入門10題ドリル
仲本の「壁」を突破する英文法完全速習講義

<中級者向け>
基礎からの英文解釈クラシック
基礎英文のテオリア

<上級者向け>
大学受験のための英文熟考[改訂版]上・下
新版 富田の英文読解100の原則 上・下

今回はそれぞれ2冊ずつにしておきましたが,他にも良書はたくさんあります。拙著『世界が広がる英文読解』(岩波ジュニア新書)の巻末に詳細なブックガイドがありますので,そちらも参照してください。

さて,テキストを決めたら正しい学習法で継続的に取り組めば必ず力が付きます。基本的にはそれぞれの本の「使用法」に従えば読解力が鍛えられるのですが,ひとつだけ付け加えておきます。

絶対に和訳を紙に書き出すこと!!!

これは絶対に絶対に絶対に,です。頭の中で訳すだけでは駄目です。それでは正確な答え合わせができません。絶対に絶対に絶対に,紙とペンを使って自分の思考を目で見える形にして,それを客観的に自己採点してください。

ただ,残念ながら正確な自己採点ができる人はあまり多くありません。本当は間違っているのに「このくらいの違いはオッケーでしょ」と流してしまったり,全然オッケーなのに「ああ,ここも駄目。ここも違う。間違いだらけで私は駄目だ……」と落ち込んでしまったり……。可能であれば,信頼できる先生に添削をお願いするようにしてください。

身近にそんな先生がいなければ私が見させていただきます(有料ですが)。詳しくは下の記事をご確認ください。

2.読んでいるだけでは読めるようにならない

英文読解[解釈]系の学習参考書・問題集に取り組めばどんな英文もスラスラ読めるようになる……といいのですが,実際にはこれだけでは厳しいです。読んでいるだけでは成長に限界があります。

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