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おウチdeパリフォト2023

海外に行きたいが、飼い猫がいる、病弱だなどの理由をつけて何十年行っていない。最近Threadsで一日一美発見という、インターネット上でのアートの発見を投稿している( https://www.threads.net/@tnomura )が、発見すると行きたくはなる。そこで、今開催中のパリフォト2023を自宅で堪能しようと思い立った。


パリフォトとは?

写真に特化した国際的なアートフェア。1997年から年一回11月に開催されている(2023年は11月9日〜12日)。

2023年の会場のグラン・パレ・エフェメールは、シャン・ド・マルス公園にある臨時展示ホール。10,000㎡のホールは2021年にオープンし、2024年に解体される予定。2024年の夏季オリンピックに向けてグラン・パレが改修されている間に展示会に使われる。オリンピックでは競技会場となるようだ。この会場でパリフォトが開催されるのは2023年が最後なのか?なお、公園の北西側にはエッフェル塔が隣接。

今年は189の出展者があり、ギャラリーが154、パブリッシャーが35。アーティスト数はカタログを見る限り1500超か。会場は2棟あるように見える。最初の棟がギャラリーのブースになっている(メイン部門、それに続きデジタル部門)。奥の別棟はざっくり言うと展示、パブリッシャー、その他。別棟の中央部が展示(CURIOSA部門)、パブリッシャー部門、壁側はパートナーなどの団体が開催する展示スペース、トークショーを行うスペースとなっている。

個人的にはギャラリーを回るよりも、企画された展示をみたいので(行かないのに笑)、CURIOSAとパートナー展示が気になるが、メイン部門でもギャラリーによっては38人の女性作家がフィーチャーされてELLES x PARIS PHOTOがあったり、20作家の個展、5組の二人展が開催されている。

フェアマップ

おウチで堪能するための情報

  • ウェブサイト(英語版)
    https://www.parisphoto.com/en-gb.html

  • パリフォトInstagram
    https://www.instagram.com/parisphotofair/

  • カタログ
    https://entreprises.parisphoto.com/cataloguegpen-1/
    ウェブサイトからリンクされている。名前とメールアドレスを登録するとPDFカタログがダウンロードできる。
    ギャラリーの検索はウェブが便利だが、アーティスト名のインデックスはカタログだけ(かな?)。また、ブックサイニングやトークショーの日程などの記載もあるので、行く人はゲットした方がいい。

  • フェアマップ
    https://www.parisphoto.com/content/dam/sitebuilder/ref/paris-photo/documents/2023/Plan Paris Photo 2023.pdf
    上記のマップPDFがダウンロードできる

  • 出展者検索
    https://www.parisphoto.com/en-gb/exhibitor.html#/
    これは便利。出展者を地域別、ギャラリーとパブリッシャーの別、部門別(メイン、デジタル、CURIOSA、ブック)で検索でき、出展者を選ぶと出展作品の抜粋が表示される。

  • ONLINE VIEWING ROOM
    https://parisphoto.onlineviewingroom.com/
    ウェブサイトからリンクされている。オンラインで購入可能な作品のみのサイト。このサイトのメニューについて補足する。
    ARTWORKSをクリックするとメディウム、フォーマット、テーマ(割と恣意的)、金額別に作品が絞れる。
    ARTISTSをクリックするとアーティスト一覧が表示され、さらにアーティスト名クリックでオンラインで購入できる作品一覧が表示される。作品のサイズやエディションなどは各作品をクリック。作品ページのENQUIRE THIS ARTWORKボタンをクリックすると出展ギャラリーにメールで問い合わせできるようになっている(ので、ショッピングサイトになっているわけではないようだ)。

  • パリフォトYouTubeチャンネル
    https://www.youtube.com/channel/UCtwXg1LRpFUp9LFCUfqnWPA
    今は開催前のものしかないけど、前の年のを見るとおそらく翌月にトークショーなどの動画がアップされるような気が。

  • あと、ギャラリーやアーティストのインスタも物によって要チェックだ

おすすめブース

個人的にはELLES x PARIS PHOTOの作家のブース、Solo Show、Duo Showをやっているブース、CURIOSA部門の16個の展示、パートナー展示など見たい。メイン部門、CURIOSA部門別にギャラリー(カッコ内はブース番号)とアーティストを書き、一部は覚え書きしておく。

MAIN SECTOR

STEVENSON(A16):Frida Orupabo、Mame-Diarra Niang(*)
YOSSI MILO(D14):Meghann Riepenhoff(*)
CHRISTIAN BERST ART BRUT(A25):Tom Wilkins(*)(Solo Show)
LA PATINOIRE ROYALE BACH & MIYAKO YOSHINAGA(E04):
   Ken Ohara、Melissa Shook(*)(Duo Show)
SILK ROAD(C18):Malekeh Nayiny、Shadi Ghadirian
MAGNUM(F12):Carolyn Drake、Bieke Depoorter
ANITA BECKERS(A29):Annegret Soltau
193 GALLERY:Hassan Hajjaj

CURIOSA SECTOR

ANNE-LAURE BUFFARD(SC07):Nhu Xuan Hua(*)
ROLF ART(SC04):Vivian Galban: Real Time Exhibition(*)KOMINEK(SC06):Yelena Yemchuk
JÖRG BROCKMANN(SC02):Rebekka Deubner

その他

THE TOKYO TOILET / PARIS(G15)

ブース&アーティスト覚え書き

STEVENSON(A16)

https://www.parisphoto.com/en-gb/exhibitor/gallery-profile.org-f2921ce1-2bd0-4d26-881a-1064d32e777f.html#/
Frida Orupabo
オスロ拠点の社会学者、アーティストである彼女の作品は、人種、家族関係、ジェンダー、セクシュアリティ、暴力、アイデンティティに関連する問題を探求している。昨年の岡山芸術交流にも参加。

Mame-Diarra Niang
『私の仕事は記憶と忘却について。自己とは何か?私は、自己とは、よく整理された記憶と消去からなる領域であると考えるようになった。レテのシリーズでは、存在そのものが忘れられたモニュメントであり、アイデンティティという最も根強い概念さえも目の前で溶けてしまうような場所に私たちを置いている。新たに生まれ変わるために、私たちは自分が何であったかを忘れなければならない』

これに続くシリーズ『Sama Guent Guii』も痺れる。

YOSSI MILO(D14)

https://www.parisphoto.com/en-gb/exhibitor/gallery-profile.org-1ad52067-c63b-48a5-990b-cccc60c7d27e.html#/
Meghann Riepenhoff
『カメラのない写真で時間の満ち欠けをとらえ、環境と人間の関係や、その中での私たちの無常な居場所を考察している。サイアノタイプは、化学的に処理した紙に紫外線を当てるというプロセスで制作される。リーペンホフは紙を川や海の岸辺に置き、風、水、土砂が紙の表面に刻み込まれるのを待つ。また、雨や雪に紙をさらすと、結晶や水滴、万華鏡のような模様が浮かび上がる。』
自然をなぞるというよりも、自然がなぞってるんですよね。いつどこに紙を置くかは作家が決めるけどあまり決定権がないところがいいです。

CHRISTIAN BERST ART BRUT(A25)

https://www.parisphoto.com/en-gb/exhibitor/gallery-profile.org-e4b7d8a8-af25-455f-b1fb-aae614a14e81.html#/
Tom WilkinsのSolo Show、My TV Girls。すごいものを見つけてしまったものだ。以下は、ギャラリーサイトより。設営風景はパリフォトのものだと思われる。
『1978年から1982年にかけてボストンで撮影されたこのシリーズには、必ず女性が登場する。このシリーズの最後には、トム・ウィルキンスが自らを女性に見立てた唯一無二のセルフポートレートが収められている。トム・ウィルキンスとは何者か?これは、セバスチャン・ジラールが911枚の謎めいたポラロイドを入手した2011年以来、彼が答えようとしてきた質問である。』
『トム・ウィルキンスについては、1951年から2007年まで、おそらくボストンに住んでいたということ以外、ほとんど知られていない。』

LA PATINOIRE ROYALE BACH & MIYAKO YOSHINAGA(E04)

https://www.parisphoto.com/en-gb/exhibitor/gallery-profile.org-efc74b33-109c-4dfd-9d9f-1ead662c9022.html#/
Ken Ohara & Melissa Shook Duo Show
小原は1942年生まれ。ショック(シューク?)は1939-2020。同年代でほぼ同時期にアメリカで活動し、二人とも毎日セルフポートレイトを撮っていた。ショックのはいい意味で明け透け、小原のは相当考えているふうに見え、対照的な作風で見ていて飽きない。これらをどんな風に設営するのか楽しみ。二人の作品一覧(ギャラリーサイト)を置いておく。小原の写真集にもなったONEは精緻な作品で凄い。凄いのに全然知らなかった。

ANNE-LAURE BUFFARD(SC07)

Nhu Xuan Hua
パリ拠点のフランス人ベトナム人アーティスト。
写真集「Tropism, Consequences of a displaced Memory(ずれた記憶の結果)」は、作家が生まれる前の家族の写真に新たな形を与えることで、『時間による散逸の影響と継承された記憶の感覚を問うもの。それぞれのイメージについて、写真に写っている親族や物体は、抽象的な線や色に希釈されているように見えるが、実際に消えることはない。』
この、消えてはいないが希釈されている人の痕跡が、記憶の中の人の顔のような感じで、思い出そうとしても描けないイメージを提出しているみたいだ。
パリフォトサイトで紹介されていたのがこの写真。4人の人が輪郭だけになって、後ろの壁紙と前に置いてあるケーキ(壁紙の色と似ている)と溶け合って見える。私に植え付けられるのは、誰だかわからないけど、ケーキの色になっている4人の輪郭の記念写真という記憶。

ROLF ART(SC04)

Vivian Galban: Real Time Exhibition
カメラ・オブスキュラ(かなり大きくてレンズも大きい)を使い来場者のポートレイトを撮影するらしい。以下のビデオは4年前のものなので今もこうなのかはわからないが、多分こうなのかな?見ると、リアルタイム展覧会の意味がわかるね。6秒で撮って、すぐに現像、定着させて、できた写真を次から次へと壁に掲示して行く。印画紙は縦15〜20cmくらいか。すぐにやれるようにカメラと暗室が同じ部屋になっていて、これ体験したいですね!

THE TOKYO TOILET / PARIS(G15)

『ミラノサローネに続き、「THE TOKYO TOILET / PARIS - DAIDO MORIYAMA / MATCH&CO / SKWAT」は、PARIS PHOTO 2023で2度目の海外発表となる。 世界的に著名な写真家、森山大道氏、町口覚氏、SKWATが一堂に会する。』とのこと。
https://www.parisphoto.com/en-gb/program/2023/the-tokyo-toilet.html
面白いのは、このプロジェクトのためにデザインされたトイレットペーパーを使ったインスタレーションが披露されるとか、リサイクル段ボールに森山大道の写真がプリントされるとか、スタンド内を清掃するアートパフォーマンスも連日行われるとか!
SKWATのインスタに投稿があった!これは見たいですね!

パリフォト出展に合わせて写真集が発表されるらしい。パリフォトでは展示ブースの向かい、BOOKSHOP M(SE02)ブース。

以下のサイトにTTTの内容が書いてあった。
https://www.switch-store.net/SHOP/BO0121.html

2023年11月開催の世界最大級の写真フェア「PARIS PHOTO」で発表となった森山大道写真集『THE TOKYO TOILET / DAIDO MORIYAMA / SWITCH』。「SWITCH」の約3年にわたる連載を再編集した本書は、国内外で活躍する建築家やアートディレクター、デザイナーといったクリエイター16名によってリニューアルした渋谷区17カ所の公共トイレを捉えた46枚の写真で構成されている。まったく異なる公共トイレでありながらも、どこか共通したアトモスフィアを漂わせるその写真群は、日常の中に潜む不思議な異空間へと見る人を誘う。森山大道が3年にわたり東京のトイレを撮り続けた記録をここに。
造本設計:町口覚
300mm×300mm上製/96ページ

https://www.switch-store.net/SHOP/BO0121.html



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