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中学生に職場体験される側の観点

私がアルバイトをする飲食店に職場体験の中学生がやってきた。

普段中学生とはなかなか接する機会がない。ましてや住む土地が変わって以来、このあたりの学生と話すことなんて皆無だった。

出勤時に挨拶をすると、ころんとした女の子が照れくさそうにはにかんで返してくれた。かわいい。

背の高いもう1人の男の子にも挨拶すると、緊張した様子でぶっきらぼうに「よろしくお願いします」と言った。かわいい!

何を取ってしてもかわいらしい。100点満点かわいい。顔が綻ぶ。

どうやら私の精神はすでにおばちゃんの域に達してしまったようです。あぁ、こうやって人は老いていくのね。

おばちゃん視点は置いておいても、とっても素直でいい子たちだった。

伝えた仕事は一生懸命やってくれるし、「あの…あそこの方の注文お願いします」ってはにかんで教えてくれる(かわいい)。私たちもすごく助かった。

バイト代は出ないけれど、お昼ご飯をおいしく食べて帰ってくれていると嬉しい。

職場体験というのは地域によって実施状況は違うようだけど、私の地元、愛知でも行っていた。

前職である動物病院では、診察や手術を見学したり細々とした仕事を手伝ってもらったり。

職業柄、気分が悪くなる子もいた。不登校気味の子が1日だけ頑張って来てくれたこともあった。いつも親にくっついて来る患者さんのうちの子どももいた。

当たり前だけど、来る子は1人1人性格も成長の度合いも全然違って、みんな違ってみんないい、だった。

私は10年務めていたので、就職間もない頃に来た中学生が数年後にやってきて「今年成人式なんです〜」なんて感慨深いこともあった。

中学生はまだ夢を抱くには早く、自分が仕事をする姿もあまりイメージできないのが実際のところではないだろうか。

私の中学時代にはペットショップで体験した記憶はあるものの、正直詳細まで覚えていない。

高校時代にも職場体験があって、そのときにはパン屋さんに行った。やはりそのとき方が自分が社会人に近づいている実感があり、鮮明に覚えている。

例えばこんなことがあった。

体験初日、お客様に「いらっしゃいませ!」と大きな声で言ったら、お店の方から「あれ、アルバイトしてる?」と聞かれた。

私は少しためらった後、小さな声で「…してます」と答えた。私の高校ではアルバイトは禁止だったのだ。

引きつった顔の私に、お店の人はこう言った。「自然に声が出てるもんね!こういう子が来てくれると助かるわ。学生さんはアルバイトした方がいいと思う」。思わぬ肯定的な言葉だった。

学校という狭い世界の価値観は必ずしも絶対ではないのだな、と漠然と感じた瞬間だった。

私のように、もしかしたら業務以外の部分でも、社会で働く大人と話すことで何か感じられることがあるかもしれない。学校の外に出てみるのは意味がないわけではないだろう。

おばちゃんとしては、子どもたちには恥ずかしがらずに将来の仕事に夢を持っていてもらいたい。そのためには、私たち大人が生き生きと働かなければならない。

子どもたちに「この仕事はこんな仕事なんだよ」と教えたり見せていると、アルバイトでもちょっと背筋が伸びる。迎え入れる社会人にとっても身の引き締まる、ありがたい機会なのだ。

どうかこれからも悩みながら楽しみながら、いろんなことを感じてゆっくり大人になっておくれ、中学生。

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