「三方よし」の業務効率化を目指す。

みなさんは、「三方よし」という言葉を聞いたことがありますか?

「三方よし」とは、近江商人の思想を表す言葉です。近江は、現在の滋賀県のことですね。三方とは、売り手と買い手に加えて世間の3つを指します。「売り手よし、買い手よし、世間よし」とも言います。

https://ja.m.wikipedia.org/wiki/%E8%BF%91%E6%B1%9F%E5%95%86%E4%BA%BA

Wikipediaには、

売り手の都合だけで商いをするのではなく、買い手が心の底から満足し、さらに商いを通じて地域社会の発展や福利の増進に貢献しなければならない。

とあります。

私は、業務効率化も三方よしでないといけないと考えています。仕事を効率化させることは、自社の利益だけを考えているように捉えている方も多いかもしれません。実際はそうではなく、真に価値のある効率化は、自社にとっても、顧客にとっても、そして世の中全体にとっても利益のあることなのです。

具体的に、今私が検討していることで説明します。私がこれからやろうとしているのは、勤め先の製品を販売してくれている代理店の事務員(多くは女性)に価格表を読めるように勉強会を開くことです。

代理店には価格表を配布していて、ユーザーごとに掛率が決まっています。なので、本来であれば代理店はその価格表を見て仕入れ値を計算し、客先へ提示する金額を見積もれるはずなのです。しかし、事務員さんたちはどうも価格表を読めないらしく、数千円の価格のものであっても都度見積依頼のFAXを送ってきます。それに対して、私が価格の提示を行っています。

一見、このまま私が対応してあげることが買い手よしになるようにも見えてしまいます。しかし、私はそれはちがうと考えています。なぜなら、依頼のFAXを作っている間に価格表から金額を調べることができるからです。そして、私からの返事を待たずに自分のペースで作業を進めることができます。価格表を読めるようになることは、買い手の業務効率化につながるのです。そうなると、代理店の営業マンも事務員に頼める仕事が増えるでしょう。

加えて、代理店の事務員に価格表が読めるように私が勉強会を開くことは、世間よしにもなります。代理店の事務員の多くは女性です。その女性たちに、同じ事務員の女性である私が勉強会を開きます。勉強会を受けた人の中から、「あのメーカーは女性も内勤だけでなく社外に出向いて仕事をするんだ!」と刺激を受けてくれる人が現れるかもしれません。ひとりが刺激を受けて何か行動を起こせば、その人の影響を受けて新たに行動を起こす人が現れる可能性もあります。こうして、女性の働き方を変えていくムーブメントを小さく始めることができるかもしれないのです。最初は小さくても、その波が徐々に広がれば業界や地域全体に影響を及ぼす大きなムーブメントになります。

目先のことだけを見れば、お客様に頼まれたことを頼まれたとおりにやることが買い手よしだと考えてしまいます。しかし、長い目で見ればそれでは足りないどころか、生産性の上がらない働き方を売り手と買い手の双方はし続けることになってしまいます。生産性の向上が声高に叫ばれる今の時代、生産性の上がらない働き方をし続けることは悪しき習慣以外の何ものでもありません。

お客様から何か依頼を受けたとき、お客様が頼んでいることが本当にお客様の求めていることなのか?お客様のおっしゃっている言葉の向こう側に、本当に求めていることがあるのではないか?そういった視点でお客様とお話することで、三方よしの業務効率化を進めることができます。言葉尻にとらわれず、深く聞き取りができる人になって、三方よしの業務効率化を進めていきたいです。

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