J2第5節 ~アビスパ福岡vsアルビレックス新潟~ マッチレビュー【アビスパの開幕戦勝利!勝利も嬉しいけど課題も…?】

1.挨拶

どうもハラショーです。
イチロー現役引退により平成の一時代が終わろうとしてますね。

彼のプロとしてあり続ける姿勢はアビスパの選手も見てきたと思います。競技は違えど彼のようなアスリートになって欲しいと願っております。

そして私はイチロー関係のツイートがバズってしまうという史上初の体験をしました。通知が止まらなさすぎて笑うしかなかったです。一応宣伝はしましたが見てくれるでしょうか…?

蛇足は置いといて試合の分析やっていきますね!

2.初めに

前回の分析同様5レーンをちょっと用いてフォーメーションを見ていきます。今回縦線引くだけですが、分からない用語があればなるべく答えるつもりですが調べてもらった方がいい回答を見れると思います。

3.スタメン


前節とフォーメーションは一緒です。

福岡は433,アルビレックス新潟は442です。

前節スタメンだった石原がベンチ、怪我で離脱していた三國君がレギュラーに戻ってきました。それ以外は一緒です。

4.アビスパ福岡とアルビレックス新潟の狙い

前後半のレビューを見る前に90分見てのお互いの狙いをざっくりと話します。

アビスパ福岡の狙い

攻撃面では
・ボール保持時は相手の守備に対してミスマッチを作るorヤンドンヒョンを起点に味方の攻めるスペースを作り出す。
・カウンター時は新潟の両サイドバックが上がったスペースに石津と松田を走らせて仕留める。

守備面では
・FWに入るパスカットを狙う。新潟の放ってくるロングボールを拾うor拾えなければシュートコースに入って枠に飛ばさせないor正面を狙わせてセランテスに取らせる。

アルビレックス新潟の狙い

攻撃面では
・ボランチのカウエを中心にパスを組み立ててつつアンカー脇のスペースにサイドハーフを置いて3ボランチの泣き所を突く。かつ両サイドバックを高い位置に保たせて相手を押し込む。
・左サイドからは渡邊泰輝のロングスローと大武峻の高さをシンプルに活かして放り込む。

守備面では
・44でブロックを作り、奪えたらSHとFWにボールを渡すorカウエを経由する。あまり囲んで奪いにいくシーンはなかったはず。守備は2点問題点を見つけましたので後述で説明します。

この構図に見えました。

5.前半の展開(アビスパの攻撃)

前節は石原肩上げの3313ビルドアップを用いていましたが今節は輪湖肩上げ。實藤肩上げ、両方上げの3種類のビルドアップを用いていました。

まずは輪湖肩上げver


次は實藤肩上げver


最後は両方上げver

ビルドアップ時はこの3パターンを用いてビルドアップを行っていました。これらのビルドアップのメリットを紹介していきます。

輪湖片上げver
・石津をFWとして使うことが出来る。
・FW2枚に対しDF3枚いるのでビルドアップの出口が作れる。

實藤片上げver
・松田をFWとして使うことが出来る。
・FW2枚に対しDF3枚いるのでビルドアップの出口が作れる。

両方上げver
・新潟の守備4枚に5人をぶつけられるので相手の守備陣にマークを迷わせることが出来る。
・ミスマッチをなくすためにボランチが喰らいつけば前川、田邉がフリーになる。サイドハーフが喰らいつけば相手の攻撃力を削ることが出来る。

等々…

これらを巧みに用いて新潟の守備陣に勝負を仕掛けてきました。

ここで気づいた方がいると思いますが、両方上げverだけでいいのでは?何故わざわざ片上げも用いたか?

理由は先述以外にもあります。

ヤンドンヒョンが1人ぶつかってきただけでは取られないから
→ボランチが取りに来る。
→前川、田邉がフリーになる機会が増える。
→他の新潟の選手が取りに来る。
→他のアビスパの選手がフリーになる。

守備の人数が1人増えるためカウンターを受けにくくなる

これらの理由があるかと。

前節に篠原の左足使えない問題を指摘しましたが今回三國君が入ったことでビルドアップのバリエーションがより増えました。篠原も左足を使う必要が減ったことでドリブルで持って上がる余裕、守備で潰す余裕が出来て良かったと思います。特に前半9分の三國→輪湖の鋭い左足のパスはご飯がすすむレベルです。ぜひDAZNで振り返ってみてください。

そしてヤンドンヒョンが下がってくると前川が上がってくる。
これを繰り返したことで相手のDFがヤンドンヒョンを潰しにかかるシーンは少ないように見えました。ヤンドンヒョンがしっかりキープできたのもCB大武らとのマッチアップを減らすことに成功したからと見ています。

6.前半の展開(アビスパの守備)

守備時は451でサイドハーフが横並びになる守備で新潟に対抗。序盤は大武、新井の両CBからFWめがけて鋭いパスは飛んできてたものの中盤を5人で守っているため数的優位を活かしてセカンドボールを拾えていました。

433の弱点とも言えるアンカー脇のスペースもインサイドハーフの前川と田邉が下がって埋めていたので使われることは少なかったと思います。

ただその弊害も一応ありまして、中盤がアンカースペースを埋めに行ったことにより、カウエと加藤大がフリーでボールを持つ機会が増えてしまっいました。試合の中でカウエが1番パス数が多かったことからもわかりますね。

たまにカウエと加藤大封じなのか。4321で守るシーンも見かけました。

このようにボランチの近くに田邉と前川を配置し、出し手に圧力をかけています。

そして決定機にはならなかったもののボールを奪ってからSBの裏を石津、松田が突く形は3,4回ほど見られました。

先述の新潟の弱点の1つである、SBが高い位置を取る割にSB裏を取られるリスクの管理不足はファビオは見てたと思います。奪った後にすぐ攻撃に繋げられていたところは岡山戦と比べると改善していると思います。

DAZNのハーフタイムでも両チームの平均ポジションが出てましたが新潟の両SBの位置取りとCBの位置から見てもスペースがあったことがわかりますね。

7.後半の展開(アビスパの攻撃)


もう1つの新潟の守備の弱点でもある加藤大動いた後のスペース問題。ブロックは作るものの出てきた選手のスペースを埋める意識というのはチーム内ではあまりないように見えました。そのスペースにヤンドンヒョンが入り込み田邉からパスをもらう、そこからドリブルで運んで松田にパス、松田がシュートを打つも正面になる。というシーンがありました。

低い位置でブロック作ってる時はあまりスペースがなくアビスパも攻めあぐねていましたが、高い位置からプレスをかけてきた時はこのように中盤にスペースが出来ていたためうまい具合に相手をいなすことが出来てました。田邉や鈴木惇からのサイドチェンジも442を採用する新潟にはわりと効いていたと思います。

アビスパはシンプルに裏を狙う回数を増やすため、前川を下げてミコルタを投入します。その際442へと変更。

その後守備の問題で石津と松田の位置を逆転し、城後投入後は田邉アンカーの4141に変更。

ミコルタのプレイですがガンガン裏に抜けるタイプかなと思ったら意外とキープが上手いタイプでした。これにより運動量の落ちてきた時間帯にDF、中盤の押し上げる時間が作れたのは非常に有難かったと思います。

そして待望の先制点。ヤンドンヒョンの巧みな駆け引きから!
その駆け引きの詳細は以下のツイートに載せております。

https://twitter.com/toarumurabito/status/1109620905833984000?s=19

最後は疲れた石津を木戸に変えて試合終了です。

8.後半の展開(アビスパの守備)

後半もアビスパはインサイドハーフのスペースを消しつつ、この試合ではインサイドハーフをやっていた前川と田邉ですが前川がヤンドンヒョンの空けた前のスペースに入ることが多かった分田邉がやや下がり目の位置に構えるシーンが増えました。(4141と4231の中間的な感じ)

ただ左サイドで前でかなり仕掛けていた石津の守備対応が遅れてきていたことと中盤の運動量の低下から、左サイドから59分にカウエ→戸嶋へダイアゴナルパス→中で受けた田中達也フリー、62分頃には右から左へ展開されレオナルドシュート→こぼれ球に田中達也(オフサイド判定)と左からチャンスを作られ始めました。CBと鈴木惇の間のスペースもこの辺りで使われ始めていました。

それを受けてか石津と松田を入れ替えて左サイドを対応させることでサイドの守備を強化し対応。

その後アルビレックスは矢野貴章を投入し、輪湖にぶつけるように空中戦勝負を仕掛けてきました。ただロングパスの精度を欠いていたのか輪湖がヘディングでクリアするシーンの方が多かったですかね。高精度のロングパスがここに飛んできてたら起点を作られてた可能性…

新潟は手を緩めることなく足を少し気にしていた加藤大(65分頃)に変えて渡邉新太を投入し勝負に出るもアビスパの体を張った守備でゴールを割らせず勝利。

とにかく縦に速く攻撃出来ていた岡山と比べると、判定に助けられていた部分があるとはいえ守りやすかったかと思います。

10.両監督の交代の意図

福岡 ファビオペッキア監督

65 前川→ミコルタ
前線の枚数を増やしつつ、アンカー脇のスペースを消すためダブルボランチ化するため。

77 鈴木惇→城後
田邉をアンカーに置いて、城後インサイドハーフにおいて4141に変換するため。

90 石津→木戸
後半の途中から石津はバテてきていたため。

新潟 片渕監督

63 田中→シルビーニョ
助っ人2トップに変更し、新たな質的優位。ただ田中達也を継続された方が怖かった。

77 高木→矢野貴章
SHに配置し170センチ前後の輪湖に空中戦勝負をぶつけるため。

86 加藤大→渡邉新太
65分あたりで足を気にしていた加藤を下げる且つ得点を狙いに行くため。

11.アビスパ福岡のポジ要素と課題

アビスパの勝因に関しては運もあったなという印象です。
ただ5試合の中では1番内容が良くてやりたいサッカーもある程度見せてたと思います。

ポジ要素

1.ヤンドンヒョンが2試合連続で結果を出した。
→ポストプレイ〇、決定力〇(シュート5本中4本枠内、枠外のヘディングもわりといいところ)
2.三國が左CBとして存在感を出していた。
3.アンカー脇のスペースをインサイドハーフが埋める動きがあった。

課題

1.アンカーの惇が持ち場を離れるシーンは減ったものの、まだ離れるシーンはある。アンカーは動かない!コレダイジ!
2.三國が左CBとして存在感を出した一方で、左CBが務まる選手が今のところ不在。三國が世代別代表に引っ張られるor怪我するとまた岡山戦と同様の課題が浮き彫りになる。


12.最後に

いかがでしたか?

初勝利を手にしたアビスパですがまだまだ課題もあります。次は白米解禁かと思われたが白米禁止を続けるジェフ千葉。チームがゴタゴタはしてますが選手の質はJ2上位クラス。油断は禁物です。

だけど今週はサポーターは喜んで選手の健闘を讃えましょう!(๑•̀ㅂ•́)و✧

以上