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Kindleストアで『カバンの中身本』を自費出版してみて。良かった点と反省すべき点

8月の前半に、アマゾンの Kindle ストアで「What’s in mybag? 〜『トバログ』のカバンの中身と愛用品〜」という本を自費電子出版をした。

発売から2ヶ月ほど経ち、久しぶりに分析ツールを見ると、なんと約70万PV(冊数にすると3700冊以上)となり、多くの人に手にとってもらえていた。出版社を通さず、個人の出版としてはけっこう大きい数字だと思う。

そして辛辣なレビューコメントなどもいただいている。「良かった点」と「反省すべき点」が見えてきたので、ちょっとだけ note に書いておこう。

なぜ本にしようと思ったのか?

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前回も書いたけれど、僕はカバンの中身が大好きで、自分のカバンの中身もブログで紹介している。でも1つのウェブ記事でモノを全部紹介するのは現実的ではないので、書籍という形でまとめたモノを出版した。

元々「本を作る」という工程や、リトルマガジンや ZINE といった文化には興味があった。雑誌媒体でもライターをしていたこともあり、なんとなくコンテンツの組み方は分かっていたので、0から Indesign(アドビの冊子制作ツール)を勉強し、何十冊もモノやカバンについて取り上げている雑誌や小冊子を読み漁り、形にしていった。

200ページ近い書籍を紙にするのにはものすごいコストが掛かるし、在庫を抱えるリスクもある。そのため、まずは電子書籍として出版しようと思った。

実際どうだったのか?(良かったところ)

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・思ったよりも多くの人に手にとってもらえている
・0からKindle出版までの流れを知ることができた
・このコンテンツが読んでもらえるのか? を知ることができた

思ったよりも多くの人に手にとってもらえている
まずは良かった点から。一番驚いたのは、単純に自費出版するよりも多くの人に届いたという点。僕はとにかく色々な人に手にとってもらいたいと思い、Kindle Unlimited に登録していた(そういうプランがある。詳しい説明は割愛)。

すると初日から5万PVを超え、全てのKindle上の書籍ランキングで13位くらいまでに上昇。発売から2ヶ月が経った今でも毎日2~5000PVが読まれている(冊数にすると10~25冊程度)。

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購入してもらえたのは数百冊だが、Kindle Unlimited で読んでもらえた分を含めると3,700冊程度。もちろんミリオンセラーなどは程遠いが、ブログだって1日5万PVも読まれるのはまれだし、素人作品でもここまで手にとってもらえるのだなあと感じた。

・0からKindle出版までの流れを知ることができた
また企画から構成、デザイン、リーガルチェックやリリースなど、多くの工程が伴うKindle 出版までの流れも知ることができた点も良かった。時間は掛かったけれど、次回からは半分くらいの時間でできそう。

・このコンテンツが読んでもらえるのか? を知ることができた
カバンの中身を題材にした本って、実はあんまり多くない。有名なデザイナーやブロガーが一部出版している程度で、そんなにメジャーなコンテンツではない。

でも僕のように「有名人やモデルだけじゃなく、とにかく他人のカバンの中身が読みたい! 」という人は一定数いるはず。実際、ウェブ上でもあれだけたくさんの記事が上がっているのだから、きっと読みたい人は多いはずだ。

そう見込んで、試しに「トバログのカバンの中身」という切り口で出版したところ、実際には思ったよりも多くの人に手にとってもらえた。

実際どうだったのか?(反省すべきところ)

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・残念ながらあまり高評価はいただけなかった
・ほかのカバンの中身本に似た構成になってしまった
・Kindle Unlimited は良くも悪くも多くの人に届きすぎる

・残念ながらあまり高評価はいただけなかったスクリーンショット 2019-08-08 15.55.30

ここからは反省すべき点。結果的に多くの人には読んでもらえたけど、実際にはそんなに良いレビューはもらえなかった。ここについては僕のコンテンツに対する考えや、実際のコンテンツが浅かったからだろう。

たしかに経験の浅い20代のブロガーのカバンの中身を見せられたところで、これまでさまざまな経験を積んできた先輩たちからすると「浅い」と思われても仕方がない。普段自分のブログを読んでくれている人たちにとっては良いのかもしれないが、一歩外に出ると、その内容だけでは通用しないことを痛感した。

友人やブログの読者が絶賛してくれたからといって、万人に受けるわけではない。いわゆる井の中の蛙大海を知らず。

ただこれに関しては、辛辣なレビューは僕の本だけではない。実際のところ、他の人の「ブログコンテンツを本にしました」的な人の著書のレビューを見ても「自慢にすぎない」とか「つまらない」みたいなコメントも少なからず見かける(この本を叩くためだけに開いたレビューアカウントも散見された)。この辺は主語が自分だけになる冊子に顕著に表れているし、出版社の編集が入ってもそうなってしまうので、わりと難しいジャンルなのだと思う。

例えばスティーブ・ジョブズ氏や孫正義氏の持ち物! とかだったら、きっと多くの人にとって有益な情報となるのだろう。この辺は次回以降の反省としたい。

・ほかのカバンの中身本に似た構成になってしまった

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あとはこれ。似たジャンルのモノ系の本をたくさん読んで、オーソドックスな紹介方法にしつつ、できるだけ他とかぶらないように意識はしたものの、結果的には似た構成になってしまっていた。

オーソドックスな構成にしたのは、カバンの中身を情報としてまとめた本だから。奇をてらったオリジナリティあふれる構成やデザインよりも、分かりやすいデザインの方が読みやすいと思った。しかし結果的には想定と異なる受け取り方をされてしまった。

たしかになんのモノ系本を参考にしなければこの形式にはならなかったと思うので、そう言われても仕方がない。悔しいけれど、これは事実。こちらもしっかりとレビューを受け止め、次回に活かしたい。

・Kindle Unlimited は良くも悪くも多くの人に届きすぎることを知った画像6

Kindle Unlimited に登録すると、コンビニの立ち読みのように多くの人に読んでもらえる反面、読み手に強い印象を持ってもらうのは難しい(買うのと立ち読みでは温度感が異なるのは当たり前だけど)。

例えば「読みやすいように本にまとめてみたよ! 」と公開して、「待ってました! 」と言ってくれる人もいれば、「いや、トバログって誰だよw 知らん人のカバンの中身なんて興味ないわ」という人が大半なわけで。

ある程度拡散をコントロールするのなら、例えば BASE での購読のみにするとか。でも一長一短で「知ってる人だけに届きやすい一方で、数は読まれない」からファンにだけ届くという感じ。逆に Kindle Unlimited での公開は「さまざまな人に届くけど、熱狂しづらい」という感じで、ファンよりも拡散を狙うという感じ。プラットフォームによっても一長一短だ。

プラットフォーム使い分けのアイデアとしては、「自社サービスをもっと世に広めるための広報材料」として本を出すなら Kindle Unlimited に出すのは効果的な気がする。

例えばユニクロの『LifeWear magazine Issue 01 New Form Follows Function(2019 Fall & Winter)』なんかは、無料で Kindle でも出しているので、設計がしっかりしているのだと感じる。

しかしハマらなければ逆にネガティブキャンペーンとなってしまうため、ハイリスクハイリターン。経験を積んでいない素人には難しい。

まとめと今後

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こんな感じで「アマゾンで自費出版してみたよ」という内容の記事を書いてみた。良かった点も反省すべき点もたくさん見えた。

ただ、万人に受ける本を出すのは難しい! 。1つだけできるのは、「自分が読者として熱狂できて、納得のいく本を出す」に尽きると思う。今回は僕にとっての1打席目。今後は上記で得た反省をしっかり受け止めて、また自分が熱狂できるコンテンツを世に送り出していければなあと思う。

この本の詳しい紹介は「トバログの #カバンの中身 が本日発売! iPhone や MacBook、ゲームボーイミクロなど愛用品をシーン別に紹介しました」をどうぞ。


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