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良い文章ってなんだろね。(「第2図書係補佐」著:又吉直樹 幻冬舎よしもと文庫)

どうも坊主です。いやカシオです。

いい文章ってなんだろう?

noteを書くようになってそういうことを殊更に考えるようになった。まぁ、「良い文章」と言っても、文章の種類によって異なるんだけれど。例えばレポートだったらどれだけ与えられた課題について調べられたかとか、小説だったら情景描写や心理描写、レトリックが巧みかどうかとか。僕は今、読書感想文を書いているので「良いレビュー」とはなにか?というのを考えてみようかと思う。

さてレビューにもまた種類がある。それはまず「経済的なレビュー」と「文化的なレビュー」に分けられるように思う。「経済的なレビュー」とは「その商品を買うかどうかの判断に使うもの」だ。家電を購入する時のことを想像してみて欲しい。メーカーのサイトで、購入するつもりの家電の公式データを確認した後、必ずレビューサイトで口コミを確認するだろう。それは公式のデータではわからなかった細かい仕様を確かめたり、自分が見落としている条件なんかを確認するためにしているはずだ。そうして自分の眼鏡にかなう商品を見つけ購入するのだ。このように「自分が必要としているものを吟味するための材料」にするのが「経済的なレビュー」だ。

それではもう一方の「文化的なレビュー」とはなにか。それは「作品を観賞し自分がどう思ったかを書いたもの」だ。これは音楽や小説なんかのレビューを思い出してもらえば解ると思う。そこでは機能的な側面(曲が何分でとか、ページ数が何ページとか)よりも、感情的な側面(曲の後半がエモいとか、あの台詞が好きだとか)が優先される。「買うかどうか」よりも「私はこう思ったけど、君はどう感じたの?」という話をして「盛り上がる」ことが大事なのだ。

しかし、ふたつに分類できるといっても明確な境界線はない。家電や車のレビューでも「製品デザインの変遷」なんかの話をしたりするだろうし、音楽のレビューなんかでも「今聴くべき(買うべき)洋楽!」みたいなものもあるだろう。それは「消費」それ自体に「文化的な側面」と「経済的な側面」があるからだろう。(その辺は正直よくわからないのでまた勉強します)

さていよいよ「良いレビュー」とはなにかということを考えてみよう。僕はこの二つのレビューの特徴を使い分けれているものが「良いレビュー」だと思う。例えば口コミサイトで製品について「自分がどういう意図で購入したのか」「使用期間はどのくらいか」「利点はどうだったか」「購入前に気づけなかった欠点はなにか」「ショップの対応はどうだったか」など機能的な面のレビューを知りたいのに、『企業のデザイン方針が変わった』とか書かれても困るだろう。知りたい情報は「自分にとって役に立つか」なのだから。また音楽や本のSNSで、「どこをどう思ったか」を聞きたいのに「この曲は聞く必要ない」とか「見る価値無し」みたいな文言「だけ」で終わっていても戸惑う。聞きたいのは「価値のあるなし」ではなく、「なぜ君は価値がないと判断したのか」ということなのだから。

とまぁここまで長々と書いてみたけど結局「ケースバイケースってことじゃん?」と思った方が大半だと思う。全くその通り。それでもここまで書いた理由は「しっかりケースを見極めよう」ということなのだ。

最後に少しだけ本の話を。第2図書係補佐はピースの又吉が書いた「本を紹介するコラム」だ。今回の話でいえば「文化的なレビュー」といえるだろうか。とういかこの本と前回の星野源の働く男とかを読んで今回の話を思いついたという感じ。しかしこの本、紹介といっても本の解説はさらっとすませ、ほとんど又吉のおもしろエピソードや、内省的な文章だったりする。久しぶりにパラパラと読み返してみたら面白くてついつい吹き出してしまった。僕ももっと又吉さんみたいに「本の内容に上手く絡ませながらおもしろエピソードを存分にぶち込む」技術が欲しいと思った。一番印象に残ってるのはやっぱり「太宰治」にまつわる不思議な偶然の話。ぜひ読んでいただきたい。

そういえば自分が今書いてる文章と雰囲気が似ていて知らず知らずの内に影響を受けてたんだなと感じた。完全に本の内容を覚えていなくとも自分の血肉になってるんだなと思って嬉しくなった。


読んでくださってありがとうございます。サポートしていただいたものは、読みたい本がいっぱいあるので、基本的に書籍代に当てたいと思っております!