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『たまには性の話をしようじゃないか』-「性別が、ない!」人たちとのつきあい方〜実はあなたにも当てはまる20の性別パターンガイド〜(著:新井祥 ぶんか社)を読む。


性に関する話題というのは結構話しづらい。慎重に扱わないとセクハラになる可能性もあるし、取り返しのつかないほど信頼関係を破壊する恐れがあるからだ。しかし、性に関する話題は人間として生きている以上、今のところは無視したまま生活することはできない。だから少しは話をした方がいいのではなかろうかと僕は思うのである。

こういうことを言うと「性の話なんかわざわざするものでもないだろう!」とか言われそうであんまり言ってこなかった。が、性に関する話題はその人のライフスタイルとか思想とかも分かるからすごい興味がある。まぁだからこそ「軽々しくネタにすることじゃない」って言われそうではあるが、たまにはそういう話をしてみよう。

そもそも「性に関する話題」というのは下ネタだけではない。(もちろん妖艶で快楽に満ち、淫靡な背徳の世界に関する興味は精通してからこのかた尽きることはなかったが、、、)例えば自分がどういう生活をしたいのか、どういう考え方を持っているのかという「性格や性質」といった話題、どういった人を好きになるかといった「性的指向」の話題、そして体つきや生殖などの「体の性」についての話題などがある。今回はそれらについて僕が思うことをさらっと話していきたい。

さてこの中で「性格や性質」の話題が僕の一番気になることである。人がどう思い、どう生きるのか、それをどう選択してきたのか。そこにはどんなフィクションにも劣らないドラマがあるからだ。しかし、それは本当に多様性に満ちているので、細かに話すと長いことになる。そこで話題にしやすい男らしさや女らしさといったものをここでは取り上げたい。性差別というものを撤廃しようと言って久しいので、今の若い世代はそういった枠組みに囚われないようになってきている気はするが、性格を表す言葉として、またライフスタイルをある程度規定するものとして「男らしさ」や「女らしさ」といったものは今でも現役で使われている。「男らしさ」と言えば、理性的でありかつある種の豪快さや奔放さ、頼りがいのある人物だということだし、「女らしさ」といえば感情や情緒が豊かでありおしとやかで優しさに溢れる人物だというものだろうか。こう説明するといささか時代遅れのような気がするけれど、今でも「女子力」だの、「草食系」だの、そういった価値観の中から生まれた言葉はたくさんある。青春時代、その枠組みに上手く馴染めなくて悩んでしまったことがある人は結構多いのではないだろうか。そして、その「男らしさ」や「女らしさ」に世間の人はどう折り合いをつけているのかというのもとても気になることなのである。

「性的指向」は扱いの難しい話題だ。大多数である異性愛者であるなら何も気にすることはないだろうだろうが、セクシャルマイノリティであるなら話は別だ。LGBT(レズ、ゲイ、バイ、トランスジェンダーの頭文字を取ったセクシャルマイノリティを指す言葉)に関するニュースやパレードなんかも最近はよく見るようになったものの今でも強い抵抗を持つ人は少なくないし、当事者じゃなければ話題にしてはいけないんだ!みたいな空気もありでなんとも話題にしにくいものである。しかし、いつどこで、セクシャルマイノリティの人に会うかは分からない。もしかしたら今隣にいる友人やパートナーがそうであるかもしれないのだ。意識しすぎるのもうざいだろうが、知識を持っておいても邪魔になるものではないだろう。またLGBTに関するトピックは自分たちの価値観を揺さぶるような話題がたくさんある。特に結婚や家族の形というものについては考えさせられることが多い。(人はなぜ結婚するのかorしたがるのか、近代的な家族観についてとか)知らないままではもったいないものがそこにはある気がするのである。

「体の性」についてもまた話題にしづらい。下手をすればセクハラになるからだ。しかし、これもまた気軽に話題にできるような環境になればいいなと思っている。なぜかというと、体の悩みについて相談しやすくなるからだ。体に関することは不安になってもなかなか口にだすことが難しい。大人になれば自分で病院にいくなり調べるなりしてある程度その不安を和らげることができるが子供はそうはいかない。(最近はITが発達してだいぶ変わっている気もするけれど)また大人であっても身近な人に体の不調や悩みが相談できないというのは結構つらいと思うのだ。だから、精神と身体の健康を維持するためにもカジュアルに話題にできたらいいなと思う。

「性格・性質」、「性的指向」、「体の性」、それと一応「下ネタ」をしっかり分けて話すことができたらいいのになと思う。もちろん全てが複雑に入組んでいる話題もあるだろうからそう簡単にいかないだろうけれど。

長々と性について書いて来たが最後に少しだけそれに関連した書籍を紹介しよう。それは『「性別が、ない!」人たちとのつきあい方〜実はあなたにも当てはまる20の性別パターンガイド〜』だ。この本は題名からもわかるように「男」と「女」だけでは分けきれない性別というものを大まかなに20パターンに分けて理解を深めようというものだ。上で少し触れたLGBTはもちろん、心と体は女(または男)のまま服装は男(または女)という人たちや全く性愛がない「無性」といった人たちなど、あまり意識されてこなかった性別についても書かれている。ひとつの性別に関して4ページ程度でコンパクトにまとまっているので、セクシャルマイノリティに少し興味がではじめたという人は読んでみるといいだろう。また性別ごとのトピックマンガ(?)は何がセクハラになるかとか、その人の悩みがわかるので、性別に悩んでない人も読むことをお勧めする。意外にも「俺(私)もこういう悩みあるわー」とか共感することがあるかもしれない。(ちなみに僕は中性だったり、女装子の気持ちに共感した。かといって自分の体の男性性みたいなものは好きなので、ふしぎである。)

あー長々と書いてしまった。性というのは奥が深い。

以上、とばりのカシオがお相手しました。



読んでくださってありがとうございます。サポートしていただいたものは、読みたい本がいっぱいあるので、基本的に書籍代に当てたいと思っております!