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[ナカミチの考察(VOL.14)] Blackboxシリーズ – 小さいけれど大きな仕事をしてくれるアクセサリー

さて、前回までは過去に投稿した記事をリライトしたものでしたが、これからは新たに起こした記事になります。
今回は、ナカミチのブラックボックスシリーズを取り上げます。


*はじめに


ブラックボックスの定義は、内部を全く理解していなくても、機能と使い方を知っていれば利用できる装置ということです。ナカミチの「ブラックボックス」シリーズはまさにそれ。そして、その外観もまさに黒い箱。ネーミングも洒落が効いてますね。

*ラインナップ


・PS-100(ブラックボックスシリーズ用電源)

PS-100

48シリーズ、LXシリーズを除くサイレントメカ搭載機※を所有されている方は背面パネルでリモート端子(DIN8ピン)の隣にピン数が異なるDINジャック(4ピン)を目にされたことがあるかと思います。これを使うことで、PS-100を使わずブラックボックスシリーズへ電源供給することが出来るのです。余談ですが、私は過去に生録会(屋内)で682ZXにマイクミキサ(MX-100)でマイク3本(L+R+アンビエント)を接続して録音した経験があります。
※68シリーズ、58シリーズ、DRAGON、ZX-7、ZX-9、700ZXL、700ZXL、1000ZXL、1000ZXLリミテッド

・LA-100(ラインアンプ)

 カタログには掲載があるのですが、残念ながらご縁が無くて未入手のモデルです。

・EC-100(チャンネルデバイダ)

EC-100

カーオーディオ用にもチャンネルデバイダとして、2WAY用、3WAY用が存在しましたが、こちらはホームオーディオ用です。クロスオーバー周波数の設定範囲は広いので、2台カスケードに接続することで3WAYにも対応可能だと思います。

・SF-100(サブソニックフィルタ)

SF-100

サブソニックフィルタはアクセサリとして、パッシブでRCAジャック-RCAプラグの商品も存在していましたが(電源不要)、このSF-100は減衰量が大きく高性能です。

・MB-150(MC型カートリッジ用ヘッドアンプ)

MB-150

ナカミチのプリアンプ、プリメインアンプには大抵優秀なフォノイコライザーとMC用アンプが内蔵されていましたが、一部に非搭載のモデルもありましたので、それらで使用します。

・MX-100(マイクミキサー)

MX-100

1000ZXLや正立型のデッキである500、600/600IIやポータブル機の550にはマイク入力とマイクフェーダーが内蔵されていましたが、ほとんどのカセットデッキはマイクをダイレクトで入力する機構は内蔵されていませんでした。このアクセサリを使用することで宅録が可能になる訳です。

・BA-100(ブリッジアダプター)

BA-100

 リミテッド

MA-100リミテッド

・BA-150(ブリッジアダプター)

BA-150

ステレオアンプのチャンネルにそれぞれ正相、逆相信号をそれぞれ入力し、アンプ出力を倍増させるBTL接続という方式があります。ブリッジアダプタとは入力信号から逆相信号を生成機能を有するものです。近年のアンプですと、パワーアンプ内部に入力信号を反転させる機能が内蔵されていて、スイッチで通常モードとBTLモードに切り替えるモデルも存在します。
ちなみにブリッジアダプタを使用すると、ナカミチのパワーアンプにおける定格出力は以下の様になります。

モデル名 通常出力  BTL接続
PA-70   200W    650W 
PA-70CE  225W    700W
PA-50   125W    400W
PA-50CE  150W    450W

またリミテッドモデルはBA-150が1筐体に2CH対応に対して、モノラル構成の1chのみ。チャンネルセパレーションの向上を狙ったモデル化と思います。RCAジャックも通常モデルに対して金メッキで高品質なものが使用されています。

*番外編


ブラックボックスシリーズのカタログに記載がないので、同シリーズに分類されないのですが、MCトランスのMCB-100というモデルが存在ます。通常のブラックボックスシリーズは外部電源を必要とするのですが、こちらは電源不要です。かなり小型のケースに無理に押し込んだ感じで、RCAジャックの取付ピッチもギリギリですし、一番問題なのは、アース端子が極小サイズで通常のY型端子が固定できない点です。

・MCB-100

MCB-100

*スペック


PS-100 スペック
■パワーサプライ
■出力電圧 ±10V
■定格出力電流 ±200mA
■消費電力 20W
■重量 1.6kg
■寸法 W190×H60×D99mm

SF-100 スペック
■サブソニックフィルタ
■10Hz:-50dB,-40dB(低域ブースト時)
■低域ブースト 30Hz:+5dB
■周波数帯域  40-100,000Hz +0.5dB -0.5dB(出力1V時)
■高調波歪率 0.005%(20-20kHz 出力1V時)
■混変調歪率
■SN比 -110dB(IHF-A)
■消費電力 0.5W(25mA)
■重量 1.2kg
■寸法 W190×H60×D103mm

LA-100 スペック
■ラインアンプ
■高調波歪率 0.005%(20-20kHz 出力1V時)
■周波数帯域 10-75,000Hz +0dB -0.5dB
■SN比 -100dB(ゲイン18dB時)
■基準レベル 0dB:1V
       6dB:0.5V
       12dB:0.25V
       18dB:0.126V
■入力インピーダンス 50KΩ
■出力レベル/出力インピーダンス 1V/560Ω
■消費電力 1W(50mA)
■重量 1.2kg
■寸法 W190×H60×D103mm

BA-150 スペック
■ブリッジアダプタ
■基準入力レベル 1V
■入力インピーダンス 10KΩ
■基準出力レベル 1V
■出力インピーダンス 500Ω
■最大入力レベル 4V
■最大出力レベル 4V
■位相対称性 1度以内(5Hz-50KHz)
■消費電力 0.5W(25mA)
■重量 1.1kg
■寸法 W190×H60×D97mm

MB-150 スペック
■MCブースターアンプ
■高調波歪率 0.005%(20-20kHz 出力0.3V時)
■周波数帯域 20-100,000Hz +0dB -1dB(38dBゲイン時)
       10-100,000Hz +0dB -0.5dB(22dBゲイン時)
■SN比 -158dB(RIAA+IHF-A)
■基準出力レベル/出力インピーダンス 5mV/5.6Ω
■基準入力レベル/入力インピーダンス 0.4mV/56Ω(22dBゲイン時)
                   63μV/56Ω(38dBゲイン時)
■最大入力レベル 200mV(22dBゲイン時)
30mV(38dBゲイン時)
■消費電力 2W(100mA)
■重量 1.3kg
■寸法 W190×H60×D100mm

EC-100 スペック
■クロスオーバーネットワーク
■減衰量 12dB/oct
■クロスオーバー周波数 66,68,78,95,120,170,250,320,370,440,530,660,880Hz,1.4K,2.4K,3.9K,5.4K,7K,7.4KHz
■高調波歪率 0.005%(20-20kHz)
■SN比 -110dB(IHF-A)
■基準入力レベル/入力インピーダンス 1V/50KΩ
■基準出力レベル/出力インピーダンス 1V/560Ω
■最大入力レベル 4V
■消費電力 2W(100mA)
■重量 1.1kg
■寸法 W190×H60×D100mm

MX-100 スペック
■マイクロフォンミキサ
■高調波歪率 0.05%(10kHz 入力1V/出力1V時)
■入力感度 0.2mV
■出力レベル/出力インピーダンス 100mV/560Ω
■入力インピーダンス 10KΩ
■最大入力レベル 1V(+74dB)
■消費電力 1W(50mA)
■重量 1.2kg
■寸法 W190×H60×D110mm

MB-150 スペック
■MC型カートリッジ用ヘッドアンプ
■入力インピーダンス 56Ω
■利得 22dB、38dB切替
■出力レベル
■周波数帯域  20-100,000Hz +0dB -1dB(+38dB時) 10-100,000Hz +0dB -0.5dB(+22dB時)
■高調波歪率 0.005%(20-20kHz 出力0.3V)
■混変調歪率
■SN比 -158dB(RIAA+IHF-A)
■チャンネルセパレーション
■消費電力 2W
■電源 AC100V 50/60Hz
■重量 1.3kg
■寸法 W190×H60×D103mm
■発売  1977年

*まとめ


蒐集を始めて、初めてブラックボックスシリーズを入手し、現物を手にしたときは思わず笑ってしまいました。ブラックボックスシリーズの余りに素っ気ない、スチールケースに艶消しブラックの塗装、白のシルク文字と工作好きの人間なら秋葉原で入手した部品で全て完成出来てしまうのではないかと思わせる作りに。でも実際にもしこれを作るとしたら、加工の楽なアルミケースを使うと思いますね。

2023.12.16


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