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最後の手記


整理をしていたら母の手記が見つかった。



-原文

今回具体的に死と向き合ってみて

やはり一瞬一瞬を味わうことに勝る幸せはないのだ、と改めてはっきり認識しました。

ただ生きて、幼少期から心動かされてきたこと-おいしいものとの出会いや素敵な音楽、美しいと思ったこと、家族との時間-それが自分を作ってきたんだな、と。

その一瞬一瞬を忘れずに自分の命をまっとうしたい。


大晦日。昨年の今頃に母を赤十字へ連れていった。痛いのは嫌だと言い張って治療を拒否した理由ワケを今頃になって察する。いつまでたっても五十を過ぎた子供のわたしを慮ってか。もしそうだとしたら、、、一年がんばった母の願いを叶えられたのだろうか。もっとやさしく、甘えさせてあげれたかも知れない。この歳で涙は枯れていたと思い込んでいたが、今晩は枕を濡らそうと思う。



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