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#11 ”生鮮品”である音声コンテンツを”缶詰”にして保存する。

音声コンテンツの賞味期限は「当日」だと考えています。

配信日を過ぎると流れてしまいます。僕自身、どれだけ好きなパーソナリティの放送であっても、3ヶ月前の配信をさかのぼって聞こうとは思いません。

そこで音声のテキスト化です。”波及効果アリ”だと思っています。最近僕はnoteのメンバーシップ機能を使い、テキスト発信を開始しました(この「40歳の自由研究」です)。テキストは、音声と比べるとアーカイブ(=昔のコンテンツ)になりずらい、缶詰的に保存が効く媒体だと思っています。

文字から”声が聞こえる”

「声」を聞いたことのある書き手の文章を読むと、その声質や口調を想像できます。テキストに生命が宿るように思います。

たとえば、目の前にけんすうさんが書いた『物語思考』という本があります。けんすうさんはVoicyなどで音声発信もされており、僕も2度ほど直接、話をさせてもらう機会がありました。そのため僕の中にけんすうさんの声は、しっかりインストールされています。

その声を思い出しながら『物語思考』を手にすると、例えば裏表紙に書かれた「がんばってね」という文字ひとつからも、けんすうさんのやや高めで優しい声が聞こえてきます。

テキストに感情を乗せて、自分のパーソナルな部分を表現し、読者を引き込むのは本当に難しいです。僕は新聞やブログで、20年近くテキストを生業にしてきた経験から、テキストだけで人を引きつけ、ライターに興味を持ってもらうことは、無理じゃないかなとすら考えています。

テキストコンテンツは多くの場合、ドライであり、情報だけを求める人が多いですから。良し悪しではなくて、そういうものです。ただし、音声は単なる情報発信の媒体というだけでなく、自分の意見、つまり「オピニオン」を表現するのに適した場だと思っています。

文章では難しいオピニオンも

オピニオンの取り扱いは、僕にとって相当に神経を使うものでした。元々新聞記者だった僕は、ファクト(事実)を正確に伝えるという、ある意味でオピニオンが排除される世界で働いていました。

したがって意見を書く時はコラムのような形で別原稿にするのが、新聞業界の定石でした。このある種の習性を引き継いでか、ブログでもファクトやハウツーを中心に、なるべく自分の意見や"自分語り"は排除して発信をしてきました。

ところが、音声発信を始めてから、そう単純に切り分けられるものではないなと感じています。「情報の価値」が薄れている時代背景もあるとは思いますが、自分の考えや意見、思想を伝えることが楽しいと感じるようになりましたね。だからこそ僕自身、続けられているのでしょう。

ただ、オピニオン(意見)を隠さない放送は、音声だからこそ成り立つともいえます。テキストではニュアンスまで伝えるのが難しい。音声ならば声の強弱をつけたりもできるし、例えばAの主張をしてBで保険を打つ、といった冗長的な内容も、わりとすっきりと伝わるように思います。

「スピーカー付き」のコンテンツです。尖った文章や、どっちつかずのモッサリとした内容でも、書き手の声を聞いたことがある読者にとっては摂取しやすいコンテンツに化ける−、そんな”浄化作用”が働くのだと思います。

音声発信をしている人は、コンテンツの二次活用という意味でも、声の後押しを得られるという意味でも、「音声のテキスト化」にチャレンジしてみてはいかがでしょうか?

※「音声をテキストにする」の手順だと、OpenAIの文字起こしAI「Whisper」が便利です。精度も高いです。僕は、その「Whisper」が搭載された「Texter(テキスター)」というアプリを利用しています。

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