見出し画像

都庁、女性蔑視の底流

 数年前、私が選挙管理委員会事務局長をやっていた頃です。懇意の新聞記者から思いがけない言葉を投げかけられたことがあります。「サワさん、少しは女性の噂があってもいいんじゃないですか」冗談交じりだったとはいえ、その記者は、浮いた話のひとつもあったほうが都庁幹部職員として箔が付くといった主旨で、堅物の?私にやんわりと助言してくれたのだと思います。ということは、この記者さん、歴代の局長を取材する中で、愛人自慢やら性豪伝説やらを散々きかされてきたのではないかと推察されるわけです。

 確かに、「あの局長はあの若い女性職員と関係がある。だから重用されている」とか、「局長車に乗っているあの女性はあの部署の誰々だ」みたいな実態不明の噂話が庁内で飛び交うことがありました。これ、昭和の話ではありません、平成の終わり頃の話です。男女平等、ジェンダーフリーを標榜する都庁にも、未だに「男は甲斐性」的な価値観が残存しているということでしょう。脂ぎった中年管理職と若い女性職員の組み合わせイメージは、都庁にも都職員一人ひとりの意識に、思いのほか深くしみこんでいるようなのです。

 実際問題、男性幹部職員の武勇伝もさることながら、女性の側にも上層部にそうやって取り入って甘い汁を吸おうとした職員がいたことも事実です。ちなみに、うまく誰かの「女」になってイイ思いをした女性職員であっても、パトロン幹部が退職などするとたちまちお払い箱になります。もちろん、男か女かを問わず、上司にコバンザメのようにくっついて利益を得ようとする輩はどこにでもいるわけで、男性職員が幹部の太鼓持ちになってヨイショしまくって出世したものの、その幹部が退職すると同時に閑職に追いやられるなんてケースもあります。悲しいかな、これが人間集団のサガです。つまり男も女もどっちもどっちということです。

 そういえば、平成の前半頃まで、各局の局長秘書には必ず容姿端麗な若い女性職員が配属されていました。(現在は外部に委託する方式になっています。)仕事の関係で他局に打ち合わせに行ったついでに、秘書席をのぞき見して、フムフムなんてこと、40~50歳代の男性職員なら身に覚えがあるのでは。。。女性蔑視の風潮は、昭和のお茶くみ、ちゃん付けの呼び方、仕事始めの振り袖出勤の時代から、形を変えながらも面々と続いています。ジェンダーフリーを言うは易し行うは難し・・・・組織風土が塗り代わるまでの道は未だ半ばだと言わざるを得ません。



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?