小池知事の「駅弁・空弁・なだ万」も、無駄に豪華な無症状者専用の宿泊療養施設も、スタンドプレーに過ぎません

 行政の施策は、しっかり見ていないと、「無用の長物」であっても、それと気がつかずにスルーしてしまう場合があります。為政者によるもっともらしい説明に言いくるめられたり、やらないよりやったほうがいいという「よりまし」論によって納得させられてしまうのです。結果、行政を見る目が曇り、税金の使い道として適切かどうかという正常な判断ができなくなります。

 オミクロン株の猛威に晒される都政において、こうしたトンデモ事例が散見されていることにお気づきでしょうか。ズバリそれは、ホテルでの宿泊療養施設での駅弁・空弁の提供と無症状者専用の施設です。まず前者。1月14日、小池知事は定例会見の場で、宿泊療養施設の利用者に週1回程度、有名駅弁などを提供すると発表しました。ゆくゆくは、なだ万の弁当も。。。

 発表した小池知事はドヤ顔でしたが、完全にズレています。今こんなことを行政が税金をかけて行う必要があるのか、意味がまったく分からない。そりゃ美味しい駅弁を食べた利用者はご満悦かも知れませんが、全員に行き渡るわけではなく、財政的に余裕のある東京都だから可能なだけ。小池知事の人気取り、スタンドプレー以外の何物でもありません。こんな「どうでもいい」施策を実現するために、いったどれだけの人員と労力、時間を費やしたのか。担当した職員の徒労感が手に取るように分かります。

 さらに都は、25日に有楽町駅前に無症状者を対象とした専用の宿泊療養施設を開設しました。それに先立ち、小池知事は同施設を視察し、メディアのカメラに収っていました。ベッドとデスクを備えた個室、共用部分にはテレビの視聴スペースやトレーニングルームまで備え付けられています。ある都庁幹部は「トレーニングルームはいらないでしょ」と、あまりの過剰サービスぶりに呆れていました。

 駅弁同様、無症状者専用施設の設置もまた、小池知事のメディア露出の機会をひねり出すとともに、無症状者向けの対策として「やってる」感を演出するためのスタンドプレーに過ぎません。なにしろ有楽町の施設は350室、自宅療養者が3万人を突破する中、「焼け石に水」に終わらなければいいのですが。

 今更ながらでイヤになっちゃいますが、小池知事は、いったい何のために、誰のために都民の税金を使っているのでしょうか。贅沢な弁当や小ぎれいな施設をこれ見よがしに用意して、コロナ対策頑張ってますとPRするより、もっとやるべき事があるはずです。



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