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「私を育ててくれたふるさとへの恩返し」(株式会社インバウンドプラットフォーム 王伸 代表取締役社長の学校視察紹介レポート)

 このコーナーでは、昨年度多額の寄附をいただいた方を学校現場にお招きし、実際の活用状況をご覧いただいた様子を紹介します。
 第2回は、戸田市出身で、株式会社インバウンドプラットフォーム王伸代表取締役社長です。


王伸代表取締役社長の紹介

 株式会社インバウンドプラットフォームの王伸代表取締役社長は、大学卒業後、税理士法人や株式会社エアトリでの経験を経て、2018年に現職に就任されています。

 株式会社インバウンドプラットフォーム様は、「また来たい、日本」をミッションとして、Wi-Fiレンタルサービスやキャンピングカーレンタルサービスなど、訪日旅行客への様々なサービスを展開されています。王伸代表取締役社長は、コロナ危機での事業転換にも積極的に取り組み、コロナ前の水準に回復させるなど、同社の成長をけん引している方です。

▼株式会社インバウンドプラットフォームのホームページはこちら

 王伸代表取締役社長は、戸田市のご出身ですが、戸田第一小学校、戸田中学校で学ばれていらっしゃいました。このため、ふるさとの後輩への応援を込めて、「生まれ育った戸田市に恩返しをしたい」ということで、「戸田市未来の学び応援プロジェクト」の趣旨にご賛同いただき、昨年度は50万円もの多額の寄附をいただきました
 また、今回の未来の学び応援プロジェクトの他にも、多言語翻訳機「e-talk5」を50台も無償で貸与いただいており、日本語指導が必要な児童生徒が増加傾向にある本市として、大変心強いご支援をいただいております。
 この場を借りて、温かいご支援に心から感謝申し上げます。

喜沢小学校での視察の様子

 今回は、来年度の実施に向けて令和5年度の提案を行っている喜沢小学校を視察していただきました。

▼喜沢小学校の提案プロジェクトに関する記事はこちらをご覧ください

未来の学び応援プロジェクト等についてのプレゼンテーション

 まず、喜沢小学校の手塚校長先生から「一人一人の多様なWell-beingを実現する~すべての児童が「学校生活が楽しい」「学びが楽しい」と言える学校を目指して~」といったテーマで、同校の取組について説明をいただきました。

 全国的に不登校が増加傾向であること、また同校では外国にルーツがある児童が多いことなどといった現状を踏まえ、多様な児童が在籍していることを前提とした教育に取り組んでいます

手塚校長先生から多層型支援システムについて説明

 「誰一人取り残されない学校」を目指す上で、着目した構想が今回の未来の学び応援プロジェクトでも提案している「多層型支援システム」になります。これらのシステムに基づく支援をOODAループの手法を踏まえながら実践しています。また、校内全体で行うRTIミーティングや必要に応じて関係する教員で行うサポートミーティング(週1回15分)により児童の実態把握をし、改善策の検討、次の実践につなげています。実際に単元テストの成績が上がるなど、成果も出始めていることを紹介いただきました。

 この多層型支援システムを起点に、支援や指導法を継続的に改善していく上で、産官学との連携や先進校へ視察に行くことの必要性を痛感し、今回の未来の学び応援プロジェクトを提案されています。

 その後、戸田市教育委員会からは、本市の教育改革のうち、日本語指導の状況、戸田市未来の学び応援プロジェクトの概要や各校の進捗状況をご説明させていただきました。

市教委から未来の学び応援プロジェクトの進捗状況について説明
市教委から本市における日本語指導の状況について説明

王様からは、以下のようなご質問をいただきました。(→は学校側の回答)
指導とその後のフォローは同じ先生が行っているのか。(→基本は担任だが、担任が抱えてしまう場合もあるので、15分のサポートミーティングなどで関係者が議論しており、他の教職員が関わることもある。)
多層的支援システムの評価はどのように行っているのか。(→学習系はテストが主だが、意欲についてはアンケートを毎月とっている。また、授業等で先生がほめているかについても、well-beingアンケートというものを活用し、客観的な把握に努めている。)

授業視察の様子

 今回の視察では3つの授業と「ぱれっとルーム」の見学にご案内しました。

 最初に御案内したのが、個別最適な学びを体現している、5年生の算数の授業でした。

 教科書を参照しながら、自分のペースで勉強を進める子供もいれば、先生の指導を受けながら進めている子供もいます。また、教室を離れ、別の教室に設置されている課題に取り組んでいる子供もいます。さらに、算数ではなく国語に取り組んでいる子供もいます。

 王代表取締役社長は、この様子をご覧いただき、自身が学ばれていたときの一斉指導とは異なる、個別最適な学びの授業に大変驚かれていらっしゃいました。

5年生の算数の授業を視察している様子
別教室で掲示された課題に取り組む様子

 次に訪れたのが、4年生の国語の授業で、自然災害をテーマにどのように備えると良いのか、テーマを決めて調べる活動を行っていました。

 調べる際にも、書籍を参照しながらパソコンでまとめていく子供もいれば、パソコンで調べた上で、そのままパソコンにまとめていく子供もいます。
 画一的な方法によらず、それぞれの子供達に合った調べ方で、調べるといったところにも、個別最適に学ぶ様子が伺えました

4年生の国語の授業を視察している様子

 最後に訪れた授業が2年生の「特別活動(多様性理解授業)」です。
 株式会社インバウンドプラットフォーム様よりご提供いただいたe-talkを実際に活用した授業が展開されていました。

 子供たちが用意した日本語での質問をe-talkで中国語に変換し、中国出身の方に質問をし、その質問に対しての中国語の回答をもらい、e-talkで日本語に変換してもらっていました。
 使用する言語が異なっていても、翻訳機のおかげでコミュニケーションが取れる喜びを子どもたちは実感している様子でした。

 最後の振り返りでは、以下のようなコメントが子供達から出ていました。
・他の国の人とも仲良くなれそう。
・言葉が分からなくても、手助けがあるから伝わってすごいなと思った。
・使えると(相手の話していることの)意味が分かって友達になれそう。
・日本語も中国語もわかるようになって楽しくなった。
・言葉が分かるっていいな。

 王伸代表取締役社長は、ご提供いただいたe-talkが各授業で生かされ、外国籍の児童が先生からの指示を理解できること、他の子供達とコミュニケーションをとる上で大変役に立っている様子を目の当たりにされ、大変感激されていらっしゃいました。

2年生の特別活動(多様性理解授業)を視察している様子
e-talkを使用しコミュニケーションをとっている様子

 授業視察を終えた後、ぱれっとルームにも立ち寄っていただきました
 教室に行きたくてもいけない児童が安心できる居場所、気持ちが落ち着かない児童のクールダウンのための居場所等として、喜沢小では毎日10~20名くらいの子供達が利用しているそうです。

ぱれっとルームを視察している様子

本プロジェクトにご寄付いただいた王伸様の想い

 私は小学校の時に中国から戸田市に転入し、戸田第一小、戸田中学校を卒業した正真正銘の「とだっ子」です。
 卒業後、私を育ててくれた戸田市に何かしか恩返ししたいという気持ちがあり、昨年度、このクラウドファンディングに寄附させていただくとともに、高性能翻訳機を無償で戸田市の学校に貸与させていただきました。

 今回、その高性能翻訳機がこのようにフル活用され、子供達の言語理解だけでなく多様性理解教育にも生かされている姿を拝見させていただき、大変な感銘を受けました。
 また、授業の形が、自分が受けていたような先生の話を聞くだけの活動から大きく姿を変えていることに驚きました。昨年も別の学校の視察に同行させていただきましたが、複数の学校でさまざまな学びの変革が起こっているところに戸田市の凄さを感じました。

 今後とも、そうした先進的な教育を進める私のふるさとに、微力ながら恩返ししていきたいと思います!


 王伸様、この度はとだっ子たちの学びの様子を御視察いただき、ありがとうございました!
 戸田市のすばらしい先輩から後輩達へのエールとして、この度のご寄附を、戸田市における「未来の学び」の実現に活用させていただいています。

 「未来の学び応援プロジェクト」では、「戸田市から日本の教育を変える」をコンセプトに、様々な機会で夢のある学校改革の様子を発信しています。
 わたしたちの思いに共感いただき、「面白そう」「応援したい!」という方がいらっしゃいましたら、SNS等での本取組の拡散や、ご寄附といった形でご支援をいただけますと幸いです。

寄附はこちらから(ふるさとチョイス)


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