見出し画像

【対談】「友情から生まれる僕らのWill」  (坂田卓也×戸田裕昭)<後編>

戸田が公私共に大好きな坂田卓也さんとの対談、後編は「志」。明確な志を持つ二人も、その背景に挫折やチャレンジがありました。

論理的な思考、情熱的な気持ち。それぞれの強みを生かして未来へ向かう。そんな二人の対談後編です!(全2回。聞き手・文章:チーム戸田)

<後編>「志」=========================================

■ 「志」実現に向かうチャレンジ

坂田:戸田さんの志は「地球国をつくる」ことでしょう?その表現にいろいろありますよね。

国って、いろいろと整えないといけないことがある。地球国は「世界を再構築する」というシステムの話をしていますよね。目標の目指し方は「プロの経営者」と似ている気がする。

戸田:うん。志への向かい方は、僕も「山登り型」のほう。でも今は、下を見ると「けっこう登ったな」と思うんだけど、上を見ればまだまだ頂上は遠くにあって、一合目にいるような感じ。同じだね。

ー そうした志実現に向かうプロセスにおいて、チャレンジするってどういうことですか??サカタクさんは、パフォーマンスを発揮できるようにするとおっしゃっていましたが??

坂田:僕はアウトプットを出すことだと思っています。ただ、気をつけたいのはアウトプットとアウトカムとは違うということ。

アウトプットは、要するに「打席に立って成果物を出す」こと。成功するか失敗するかはまた別の論理の話だし、それはタイミングや運も含まれる。

でも、アウトプットを出すこと自体は、きちんと解決できる話。つまり、方程式があるということ。事業に関して社内でふさわしい人に話して、社外の関係者を巻き込んで、ちゃんと我々のステークホルダーに説明をする。そのステップを踏めば、アウトプット自体は出せる。

今のところ、いろいろな事業がポジティブに進んでいる。だけどこの先どうなるか分からない。リーマンショックのようなものがきて影響を受けてしまうビジネスもあるかもしれない。

そういう時でも、「打席に立ち続けていた」ということは自分自身にとって、最大のノウハウとして残る。自分のなかで整理できるようなノウハウが体系立てていられる状況にするには、経験が僕にとって一番必要。

戸田:なるほどね。

坂田:人間って生まれた瞬間に好き嫌いは言える。この「好き嫌いが言える」ということと「評価」だけは、教育されなくてもできる。

大企業には、これだけができるようになっている人もいる。そういうのは人間の特性で、訓練がいらない。

だから、ちゃんと打席に立って「なぜこれはダメなのか。なぜこれはいけると思ったのか」と、説明をしないと傲慢でしかない。ちゃんとやっている人はアウトプットが出せる。

戸田:うん。事業をやるのではなくて、それを紹介することや繋げることが目的になっている人がいる。手段が目的化しているんだよね。

坂田:そうそうそう。本質を見ないで、目的と手段がいったりきたりする。評論家気質で、これは好きとか嫌いとかそういう話になると進まない。 僕らは、汗をかいて、最後まで折れないでやり続けていきたい。

戸田:そう、教育も同じだと思う。大学にいくことも目的ではないのに、卒業してから「大学は意味がなかった」っていう。だから、よく授業でも話すのが、ちゃんとすべてに目的をもっていこうということ。

いつでも「目的」を問う

坂田:最近の学生ってどうですか??僕は剣道に注力していて、大学の授業はほとんど行かずにいた。でも、”折れないハートで諦めずに頑張り続けた”ということが、”理不尽なことにも耐えて、自分の精神を保つことができる”ということに繋がった。

でも今の1−3年目くらいの社員によくあるのが、こちらが熱く語っても、「目的に合わないので、その話はけっこうです」といったような、なんだかクールでドライな反応なのよね。

僕らは、時代の変わり目にいる感じがしますが、そういうことを教育としてどう伝えているんですか??

戸田さん自身は、どちらかというと、自分自身が変わっていくっていう良さがあるじゃないですか。

戸田:なんだろう・・・人によって違うな。

坂田:なるほど。

戸田:「最近の子」ってくくるのも申し訳ないけど、大人社会が優しすぎるというのは感じるよね。たいして怒られない。自分は悪くないのに怒られる、なんて理不尽なこともない。

時代だから仕方ないのかな、と思う気持ちもあるけど、一方で熱い子は熱くて、大学辞めてこれをやりたい!っていう子もいる。

坂田:あぁ、そんな格差はありそうな気がしますね。すごくわかる。自分で調べてネットワーキングして、動いていく子もいるんですよね。

戸田:そう。頑張る気持ちに火をつけてもすぐ消えちゃう子もいるし、僕の授業にくるような熱いタイプの子もいる。何かやりたい、燃えたい、っていうね。

坂田:なるほどね。やっぱエネルギーなんでしょうね。戸田さんに尊敬していて、「何かやりたい」っていうエネルギーをちゃんと形にしてスキルにしたい、っていうことなんだろうな。


■ 「挫折」の捉え方

戸田:あとね、社会全般的に挫折する経験をあまり持っていない。

坂田:そうか。僕は挫折をたくさんしているはずなんですけれど、自分で挫折と思っていないです。

戸田:ああ、それはわかる。僕も、過去に挫折したことも今から見ると全部価値だからな。

ー 「挫折」って、例えばどんなことでしょう??その当時は折れたなぁと思っても、今振り返るとよかったなっていう経験は??

坂田:僕は大きく3つありますね。最初は高校1年生、2つ目が社会人1年生、3つ目がグロービス1年生。全部1年生ですね。

まず、中学校から親元を離れて高校入学とともに寮生活の高校に入ったとき。地元ではそこそこ名の知れた剣道の選手だったのに、高校生になった途端全く手が上がらなかった。

自分が頑張らないといけないんだなと思ったことと同時に、剣道をやることの生活習慣を親に支えてもらっていたってわかった。自分のメンタル部分も含めて、挫折でしたね。

剣道一本の坂田さん(前列右端)

戸田:なるほど。

坂田:社会人1年生の時は、勉強不足。剣道しかできない。今でこそ知的ゴリラ、なんて言ってくれるけど、その時はただのゴリラですよ。(笑)

戸田:(笑)

坂田:周りとの情報量の差をものすごく感じました。レポートは手書きで出してましたからね。パソコンを使えなかったから。今は作れますよ!だいぶ成長した。人間に近づいた。(笑)

戸田:(笑)

坂田:その時に努力して乗り越えた。みんなと一緒にチームになったり、自分自身の良さはどういうところにあるのか、といったことも気づいたりしました。

3つ目が、グロービス。そういう場に来るビジネスマンや、講師がどういう人なのか、ということを知った。最後には自分も話をさせてもらったり、「グロービスでサカタク」といったら何か知ってくれている人もいたりするけど、最初は全然。

卒業時スピーチ

自分自身は、環境の変化を望むと同時に挫折もあったけれど、挑戦をしていてよかったなと思いますね。

ー それまでの変化があるときのモチベーションは何ですか??

坂田:なんだろうなぁ・・・2つありますね。1つが、負ける自分が情けなかった、ということ。自分自身にもうちょっと期待していたところがある。成果を出したいという逆境力、負けず嫌いのようなものがありました。

もう1つは、姉ですね。僕、姉がいたんですよ。俺が生まれる前に、2-3歳で白血病か何かで亡くなっているんです。親がその話をするんですよね、子どもに対しても。だから、親の期待というよりも、「姉ちゃんの分もちゃんと生きないと」っていう気持ちが心の中にずっとあった気がするな。

この2つがスパイラルしていることかもしれないです。

ー 戸田さんはいかがですか??

戸田:僕は挫折がいっぱいあるから、何をしゃべったらいいのか(笑)

サカタクの話に近いけど、自分ができると思ってやってみたものの全然できない、っていうことがありすぎて。  僕も、「これぐらいできるだろう」と思って、実際にやってみて、できないことも多い。

前の会社の営業職のとき、最初は「営業は余裕」って思ったけれど全然売れなかった。その時代はすごく辛かった。

坂田:戸田さんって、”営業のエース”だったんですか?なぜ新規事業部へ??

戸田:絶対取れないだろう、って言われていた案件をとったことがあるのね。担当として割り振られた仕事だったんだけど、未取引だったの。

何をしていいか全くわからなかったけれど、とにかくいろいろなところへ行って、結果的に取ることができた。完全にお客さんのおかげなんだけど、営業やりきったなぁ、って思って。

そのノウハウを使って、もっとみんなが大きな案件を取れるような仕事をしたいと思って東京に移動した。

でも、企画職になると仕事はないし、営業みたいに外へは出られない。すごく辛かったし、焦り始めた。何かやらないとって思って、いろいろプロジェクトを作り始めて、新規事業をやり始めた。そこからかな。

坂田:環境の変化における小さな挫折があって乗り越えていった、っていうことですよね。

戸田:そうだね。それと、一番の挫折は、やっぱりCSWかな。せっかくやらせてもらったのに、与えられた3年をやりきれなかった。

社内で応援してくれる人や、一緒にやるって言ってくれた人に申し訳なかった。 仕事や人との付き合い方も、会社を辞めるタイミングですごく考えた。

坂田:僕も戸田さんの古巣からは足が遠のいたなぁ。でも、戸田さんと一緒にやるっていう人は繋がっているでしょう?やっぱりビジネスは人が作っているっていうことですよね。

戸田:会社を辞めたあとでも、「戸田さんにお願いしたい」って声をかけてくれていた人がいたのは、嬉しいことだった。CSWはやりきれなくて申し訳ないけど、それは嬉しいっていうなんだか複雑な気持ち。

前の会社には、絶対恩返しをしたいって思う。どうやってコラボできるかなって考えている。さっき言ったみたいに、当時の部下も潰しちゃったからね・・・

坂田:何がそうさせたんですか。

戸田:焦ってたんだね。すぐに結果を出さなきゃって思っていた。それこそ自分を過信していて、自分だったらすぐ結果出せるって思っていたのが全然うまくいかなくて、怒りまくってて、それで部下にあたってた。

振り返ると、僕はCSWを始めたけど、やりきっていないなって。だから、いつか復活させたいって思うくらい、やりきりたい。

坂田:なるほどなぁ。


■ これからの社会、これからのビジネス

ー そうした挫折も経ながら「志」を設けて進むお二人は、これからの社会をどうみていますか??その社会で、ビジネスはどういうものですか??

坂田:儲かるか儲からないかはいずれにしても、ビジネスである、ということはほぼマストだと思っています。

NPOとかユニセフとか、そういったものもひとつのビジネス。すべて利害関係者がいて、そこに価値を求められるものは全てビジネスだと思います。

その前提をおいたときに、社会をどう認識したいかと考える。社会というと、教育とか金融とか小売とか、「産業」で小分けするけれども、僕はあまり決められない。でもだからこそ、いろんなところで話ができる、という今のポジションがすごく生きていると思う。

誰と一緒にやるか、どういう道を進むか、ということによって自分の最大限の価値が発揮できる瞬間を大事にする。それが農業かもしれないし、ITかもしれないし美術かもしれない。それを決めるつもりはあまりない。

僕らの生活環境には課題がたくさんあるから、1つひとつちゃんと課題を発見して、解決していかないといけない。そこでは自分が当事者でいたい。

ただ、全部解決するなんておこがましいから、まずは1つでも多く携わっていけたらいいよな、と思う。

戸田:社会を良くしようとして始めたサービスの売上や利益が目的になっちゃっているから、なんだかおかしい。

サカタクが言っているように、産業は区分けできないっていうのも正しいと思う。ビジネスを通して社会全体を良くする。みんなが、「もっと社会を良くしよう」ということを目的にして動き始めたら、圧倒的に早く良くなると思う。

坂田:そうなんだよなぁ。社会全体を良くしていこうっていうと、「まちづくりしましょう」といったような動きがあるじゃないですか。でも、その言語化レベルだと、きっとずっと実現できない。

戸田:そうね!

坂田:この社会では、「誰が責任とるんですか」「誰が当事者になるんですか」ということがはっきりしない。リー・クアンユーのような、強烈なリーダーシップがあったら違うかもしれないけど、日本はそうならない。多数決で決めるから。

自分たちの志を実現するために、今何をすべきかということを言語化して、1つひとつやっていくことが、ビジネスを通じた社会貢献だと思うんですよね。

■ 二人だからこそ、やりたいこと

ー 最後に、サカタクさんは今後、戸田さんとやりたいことって何かありますか??

坂田:Googleみたいなものを作りたいですね!困ったときにGoogleで調べるように、困ったときに戸田さんや坂田に相談するっていうような仕組み。

戸田:いいね!「やりたいことがあるんだけど、誰に相談したらいいかわからない」っていう人に対してね!

坂田:Googleが細かくなっていくことが、今後自分たちが関わらないといけない「社会の数」だと思うのよね。「教育のGoogle」とか「飲食店のGoogle」とか。あと、自分や未来ってよくわからないんだけどな、という人のための「夢のGoogle」とかね。

戸田:やりたいね!

これまでもこれからも一緒に!

戸田:改めて真面目に話すと、けっこう話していないことってあるね!家族の話とか挫折の話とか。

坂田:そうですね、挫折のことっていうのも、あまり話さないからね。

戸田:うん。自分もあまり話さなかったんだけど、でも最近「成功ばかりしてきたんじゃないか」って思われているって気づいた。

よく「社会に出たら戸田さんみたいにやりたいことやれるって思っていました」って言われることもあって。いやいやいや!!違うから!って。

 最近意識しているのは、自分の成功体験だけではないことも伝えていこうっていうことなんだよね。A面B面、両方とも。

そうじゃないと、生き急ぐひとが出てくるから。勘違いして不幸になってしまうのは避けたいから、ちゃんと言わないといけない。

いつでもまっすぐに話す

坂田:そうですね。打たれることもあってやっていますよね。

さっきの話のように、人間なら好き嫌いは絶対にある。一緒に仕事する人も、好き嫌いはあると思う。好きな食べ物は何ですかっていう質問があると同じように。

でも、”好きな人ってどういう人ですか”っていう質問はブラックボックスにするじゃない。いろんな人にいい顔をしないといけない、という教育を受けている。

戸田:そうね!

坂田:でもそうはいかない相手もいる。正義が違うっていうことなんだろうな。僕らの正義はある種の”保守派”からすると悪かもしれない。

よく、「成功の反対は何もしないこと」ってよく言うじゃないですか。いやいや、違うから!何もしなくても成功しているひとってたくさんいるじゃない、って思う。それをちゃんと力学的におさえていかないと、ポジショントークになってしまう。

戸田:そうか・・・!

坂田:そう、その程度は結構大事だと思う。保守的な人たちに、「これをやらないってありえないですよ。違いますよ」って言うのもたぶん通らないんだよね。

実際、保守的な人たちだけが集まって10年稼げるビジネスもある。でも、僕らが見ているのは11年後だから、その時にちゃんと時間軸をもって話しましょうよって言えばわかるかもしれない。

戸田:確かにな!!僕が、革命的にいきなり全部変えるのではなくて、コツコツやっていこうよっていうことと同じだ。

教育も、変えたいっていう人はたくさんいるんだけど、それ自体を変える必要はない。教育者と一緒にやっていけばいいだけの話。

坂田:そうなんですよ。「〇〇しなければいけない」って誰に言われたんですか、という話になる。ちゃんと合意形成をして話をしないと、駒にしかならない。

戸田:間違いないな!自分たちはちゃんとその「先」をみてやっていきたいね!

                              (終わり)

==================================

実は、「今日はありがとうございました!」・・・・と、締めくくったあとも、話の尽きなかった二人。共に志を持ち、お互いにリスペクトしながら進んでいる様子が終始みられました。

またいつか、こうした対談をするとさらにバージョンアップした話になるのでしょうね!そんな日を、お楽しみに!!

サカタクさん、ありがとうございました!


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?