見出し画像

辺境での情報の伝わりを日々学んでいる

Yuki, 昨日TV見たよ。クソ真面目な顔をしていたねぇ。

マルコム(大家)が朝ぼくにそう言った。

なんの話だろう。ぼくには身に覚えがないぞ、違うアジア人と間違えてるんじゃないかと思っていたら「ほら、教会の…」と言い出した時に思い出した、あれだ、月曜日の朝に教会でやった障害者コミュニティ設立32周年を祝う式典だ。規模こそ小さかったものの社会開発省の大臣も来ていたし、たしかにカメラも来てた。

ずっと、無視してたけどTV局もこの国ある。みんなBBCとか衛星放送しか観てないだろうと思っていたんだけれど、観てるんだなぁと感心した。

ローカルニュースはTVからっていうのはおかしい話ではない。

ぼくのイメージとして、軒先でラジオ流しっぱなしにして日向ぼっこの人が多いような気がしていたからTVは日本ほど影響力はないんじゃないかと思っていた。TV観たという話も聞いたこともなかったし。まぁよくよく考えれば夜観るっていう使い方もあるか。ちょっと見切りつけるの早かったかもしれない。

どれだけ視聴率があるのかしらないけれど、過半数の家庭でも見られているのなら大きい。だって、この国の地方の田舎の方なんて日本でいうところの孤立した集落感があるから。

ぼくは週末のバスケでそういう山岳地帯の集落に行くのだけど、ほんとすごい。とりあえずアスファルトやセメントを塗ったところを道と呼んでいる。傾斜を削って坂道を緩やかにしようという発想がない。だから基本的に車は4駆でないと地方は苦しいし、ジェットコースターのような角度で登って下りてを繰り返す。

ロジスティクス的には最悪。不便極まりない。

そういうところに住んでいる人は、自給自足に近い生活だったり、週1度とかの頻度で町へ食料の買い出しに行くそうだ。

そういう環境ってモノの移動だけの話じゃなく、人の移動も多くないということだから情報が伝わるのも遅かったり限られる。情報がやってくるのはいつだって人からなので、どうやってPR活動を効率的に行うかということに考えている。

それを叶えてくれるのがラジオやインターネットなんじゃないかと思っているんだけれど、みんながみんな持ってるわけでも、同じところにアクセスしてくれるわけじゃないからオフラインも必要で…って悩んでいる。

PRの源流って選挙活動だったと思うんだけど、この国でも選挙はもちろんある。首都の方なら大臣の顔を壁にプリントした建物なんかもある。

日本のようにポスターをいろんなところに貼ってる、なんてことはないのだけど、代わりにいろんなところに政党の略称を、例えばNDPみたいなことを落書きのように手書きで塗ってる。ペンキで。

それは決して美しいは言えないし、ブランドイメージ的にどうなの?と思ってしまうんだけれど、そういう高度な次元の話ではなく、悪名は無名に勝るの世界なので、まず知ってもらわないと覚えてもらわないと話にならんということなのだろう。

話は少し変わるけれど、今週末からカーニバルが近いということを知らせる宣伝車が各地を周り始めたらしい。

荷台に大きなスピーカーとDJを乗せ、爆音をはき散らすトラックと、

ビビットなコスチュームを身にまとった女性が荷台に乗った軽トラが、数台連なって細い道をぐんぐん入っていって山間部までやってきている。

日本の選挙カーみたいだなと思った。

来週はイベントを今回ぼくたちがバスケ教室を開いたところでやるらしい。

この日はあいにくの雨で、女の子たちは大変だったろうけれど、ぼくは感心した。

すごく泥臭いことをやっているから。

たぶんこういう地味な活動の積み重ねがカーニバルを国民的行事にまで押し上げた、盛り上げた要因だろうなと。

ぼくたち日本人をはじめ、海外の援助関係者は「この国の人はやる気を感じない、怠けすぎだ」なんて自分たちのものさしで彼らを評価しがちだけれど、こういうことは継続して行えるんだなと思った。

ということはインセンティブ設計を上手くやれば彼らも頑張るんだと思う。彼らが関心がある、継続する要因を抽出してパッケージングしてコンテンツにまとめたい。

そして、圧倒的に知名度と人気があるカーニバルでさえ、こういうPR活動を本番の1ヵ月前から結構なリソースを割いて行っているんだから、ぼくも地味なことでもコツコツやらないといけないな、近道さがしてばっかりじゃだめだ、彼らがそれを行っているということがそれがこの国で一番効果があるPR活動なんだろうと感じた。

それでもショートカットは探してしまうものなんだけれど。

この記事が参加している募集

コンテンツ会議

サポートはいつでもだれでも大歓迎です! もっと勉強して、得た知識をどんどんシェアしたいと思います。