君が…タピオカミルクティー…なのか?―粉から作ってみた―

ちょうど1カ月ほど前、タピオカミルクティーをカリブで売ろうと思うんだという記事を書いた。

カリブには、セントビンセントにはタピオカミルクティーなんていう概念がないし、タピオカを粒にしようという発想もない(たぶん)。こっちではタピオカは片栗粉的な使われ方をしている。

実際、ぼくも普段は片栗粉してタピオカ粉を買ってオムレツに入れたりしている。

タピオカミルクティー屋さんをここセントビンセントで開店するためには粒から作らないといけないわけだ。

まず試験的にサンプルを作って、視覚障害者協会の人に味わってもらってイケるかどうか判断しようと、それをもって市場調査としようと思っていたわけだけど、1人で粒を作るのは正直しんどい。

普段から料理はするタイプだけれど、決して得意ではないというのもあるし…というので二の足を踏んでいて、栄養士のAさんに手伝ってほしくて、ことあるごとに呪文のように「タピオカミルクティー…」と唱えていたのがようやく功を奏した。

というわけで、とある週末の午後、Aさん宅の広いキッチンでタピオカミルクティーを作ってみる会が開催された。

まず、こっちで手に入るブラウンシュガーと水を火にかけて、タピオカ粉を投入。

よく混ぜ合わせて、パン生地のようになったものがこちら。

これがベース。

そしてみなさんお待ちかね、ちねり作業。

昔テレビで1カ月1万円生活で濱口が小麦粉の記事をちねって米粒を作っていたのを思い出す。懐かしい。

彼は夜からちねり始めて、朝方にちねりが完了していたけれど、アホやなぁと思いながら当時ぼくは見ていたけれど、あれから十数年後に、まさか自分も同じことをやるとは思っていなかった。

包丁で切れられて、金太郎あめのようになったものを一粒一粒丁寧にまるめる。横着はしない。なぜなら丸いのがタピオカであるし、その丸みこそがタピオカがタピオカたるゆえんなのだ。

とはいえ、5粒ほどまるめたときにぼくの精神は尽きた。

3粒ほどまとめてぐるぐるしてまるめようとしたり、板を使ってうまい具合にうにゅうにゅーっとしようとしたけれど、失敗した。他の粒とくっちゃいちゃったり、粒の大きさが手動で切ってる分まちまちで全然うまくいかない。

結果として1粒1粒、無になって丸めるしかなかった。

結果、すべて丸め終わるまで3時間半ほどかかった。

貴重な週末の3時間半、汗を垂らしながら我々はひたすら生地を丸めて粒をつくっていた。

3回ほど、いったいぼくは何をやっているんだと正気に戻った。

心も何度も折れた。

1人だったら絶対やりとげることはできなかった。

Aさんには感謝したい。

丸めたタピオカの粒にタピオカ粉をふりかける。

そして茹でる。とろとろしてくるまで茹でる。

とろとろしてきたらとろとろしてきたで、不安になる。このとろみは粒が溶けてるんじゃ、無常にもぼくたちの3時間半を溶かしてるんじゃないかと一抹の不安が頭をよぎる。

レシピはYouTubeやクックパッドを参考にしているわけだけど、安易に信用し過ぎたのかもしれない、産地によってタピオカ粉に違いがでるのかもしれない、黒糖じゃなくてブラウンシュガーがいけなかったのか…。

Aさんと責任のなすりつけ合いが始まりそうな、あえて口にはしないけれど、互いの不安な視線が交じり合った。

最終的には、最後に振りかけた分がコーティングしてる説を信じた。

そして水にさらす。

色は薄いがタピオカっぽい!歓喜の瞬間。ちゃんと粒がある!

生き残っていた!ぼくたちの3時間半には意味があったんだ!

1粒味わってみたけど、よくわからない。無味。

とりあえずレシピ通り、今度はブラウンシュガーで作った黒蜜に漬け込む。

料理動画なら一晩漬けこんだものがこちらになりますとでてくるんだけれど、そんなものあるはずもなく、そんなに待てるはずもなく、20分ほど漬けたあと、いくらかをコップにいれ、あらかじめつくっておいてくれていたミルクティーを注いだ。

完成。

感動。

きゃっきゃうふふしながらどのアングルが1番インスタ映えるか選手権をして一通り楽しんだ。

そして気になるお味は…わからない。

おいしー!の一言が出てこないし聞こえてこない。

おいC通り越しておいDやんけーみたいなしょうもないことも言えない。

ミルクティーは甘めに作ってておいしい。午後の紅茶っぽく仕上がっている。

けど、タピオカミルクティーとしてみたとき、飲んだときに、まず思ったのは「あれ、こんな感じだったっけ?」

そして気づいた。

ぼく最後のタピオカミルクティー飲んだのは数年前。それもセブンイレブンのやつ。

Aさんにいたっては10年ほど前。

つまり、ぼくたちは2人ともタピオカミルクティーの正解を知らない。

こんな感じだったっけ?

これに今、東京の若い子は3時間も4時間も並んでいるのか?

ストローで飲んでないから?

じゃあ何、タピオカってのど越し?

いや違う。

タピオカの甘みかな、まだ染み込んでないからなのか。

でも染み込ませる前から結構な量の砂糖入れてるんだけどな。

でも、タピオカに甘みがもっとあったとしても、うおぉおー!おいしー!となれる気がしない。まったくイメージできない。

なんだろう。

もう、タピオカを楽しむ魔法はとけちゃったのかな。

わかんない。

だって、ぼくらが作ったタピオカミルクティーは、別にタピオカ入れる必要性を感じないんだもの。

この虚無感。

ぜったいこっちでも流行るはず!こっちの人にとっては新しい食感だから、話題になるはず!ってキラッキラしてた先月のぼく。

思ってたのと違うと感じてる今のぼく。

3時間も4時間も並ぶから価値があるのかぁ、きゃっきゃうふふ言いながら友達と待つことも含めてのカルチャーなのかな、タピオカミルクティーって。

でもトータルで4時間半くらいかかったけどな、2杯のタピオカミルクティーを作るのに。

俺は…いったい何をって思うと笑けてきた。

というかこれ…視覚障害者協会でみんなでタピオカの粒をつくれる自信がない。

くそぉ、失敗だ。


次回、台湾人は乾燥タピオカ(粒)を持っていた!編、お楽しみに!

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yuki oka

淡路島出身。営業/知財@日系メーカーを経て青年海外協力隊2018-3セントビンセント。視覚障害者協会(NPO)でマーケター兼広報。視覚障害者の啓蒙活動をメインに活動中。多文化共生と多様性がテーマ。旅行と読書が趣味。国際協力系キャリアを模索中。誰かにとっての善き物語を紡ぎたい

セントビンセント日記

カリブ海はセントビンセントでの日々のブログ。ときたま南国の風をお届け。ぼくが2年間で見聞きして考えたことをつらつらと。 ※私的なものなので話半分で、そして言葉の通り受け取らないでください。
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