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次のベルリンはメキシコシティだというのを確認したかった

日本でも定期的に、今最もアツい町だとか、住みたい町みたいなのが話題になるように、世界的にもそういうトレンドがある。10年くらい前ならポートランド、それからバルセロナが良かったり、ブルックリンだったり、そしてベルリンだったり。

そういった街の何が特徴かというと、何か新しいことを始めようとする表現者に対して寛容、つまりはクリエイターフレンドリーな街。そういうクリエイターが多い街はポジティブなエネルギーがあって新しいカルチャーが生まれて、それってすごく良いよねってことだとぼくは思っている。

だから、古くは「クリエイティブ都市論」だとか、「年収は住むところで決まる」というような経済の本で議論されるような具体的にGDPなんかの数字で表れるような腰を据えて街全体が活性化していくような類のものではないと思う。産業的なものではない。あくまでもカルチャーという認識をぼくは持っている。

それで、2年くらい前にVICEだったか何かのメディアで「メキシコシティは次のベルリンです」という記事がでた。

NYやLA、ヨーロッパのクリエイティブな人たちがどんどん移住し始めているのだそうだ。

内容は全然覚えてないし、ぼくはバルセロナ以外の街にそもそも行ったことがないから当時はいまいちピンと来てなかった。移り変わりが早いですね以外の感想はなかった。

で、少し前にROMAっていうNETFLIXのメキシコを題材にした(キャストも監督もメキシコ人)映画が話題になり賞を取ったり、日本語のメディアでもメキシコシティをちょくちょく取り上げ始めている。

具体的になにがあるとかはぼくは行ったことがないからわからないけれど、美術館の数がパリと並んでトップレベルで、スケートやファッションなどの若者のカルチャーが盛り上がっているらしい。

かといって治安が良くなっているわけではない。残念ながら。

少し話が逸れるけれど、日本に住んでいるとあまり意識しないけれどめちゃくちゃ大事。だって、治安の悪い国で比較的に治安の良い地域とされてるエリアで部屋を借りるにも、できるだけ死角をつくりたくないから、柱や部屋数の少ない間取りだったりワンルームの部屋を選んだりするんだから。日本に住んでるとほとんど考えられないと思うけれど、バーグラーバーとかきちんとつけるのは前提で、それでも入ってきていたら察知できるかということまで考える。これ慣れるまで、じわじわ精神を消耗する。

あと、基本的に治安が悪いっていうのは夜なわけで、夜に出歩けない=ナイトライフを楽しめないというのは結構人生楽しくない。それまで当たり前に享受していたならなおのことね。

「治安が悪い」にも大きく2種類ある。

1つ、ギャングの抗争で治安が悪い。
これはシンプルでギャング同士の縄張り争いで銃撃戦があったりして、その流れ弾に当たる、巻き込まれる可能性があるから危ない。これはギャングの多い地域に出入りしなければ基本的に安全とまでは言わないまでも普通。セントルシアやセントビンセントではこのパターンで、なので現地の人は(ギャングから離れている限り)治安が良いと思っている。

2つ目、単に治安が悪い。
お金持ってそうな人は強盗に遭いますよパターン。このレベルは街中でカメらやスマホは出さないでください、後ろからでも前からでも盗られるのでってやつ。ぼくらが一般的にイメージする治安が悪い。

メキシコの場合は両方ある。カルテルの抗争あるし、格差がすごいから、その日暮らしの人たちが盗みをやる。生きるために。

つまりは生活しにくいはずなんですよね、先進国の人間にとっては。毎回いろんなことを警戒しないといけないって大変じゃないですか。

なので、なんでメキシコ?っていう疑問があった。コスト(物価)的に良くても、それを補って余りあるほど治安悪くないかと。

最近、ちょうどメキシコシティに任国外旅行で行った人に話を聞くとUberが安くてめちゃくちゃ便利なんだそうだ。つまりドアツードアで移動できるから、街歩きをする必要がそんなにないから危ない目に合いにくい。

それを聞いてすごい納得感があった。

若い人たちが新しいことに挑戦するってことは、失敗の可能性の方が高いわけでランニングコストは低い方が良い。

それがつまり、NYのソーホー地区で起きたように安い地域に若者が集まって何かやる→その地区が有名になる→地価が上がる→芽が出なかった/次の世代のクリエイターは別の土地へ移る…っていう流れかと。

で、メキシコって物価が安いから、例えばネットでアメリカの仕事をしてドルをもらって、ドルでメキシコシティで生活すると仕事量を減らしても豊かな生活ができるんだろうなと。

でもそれは、地元(メキシコシティ)にお金が落ちるということだから地元の人も恩恵を受けるはずだからとても良いはずで、恩恵を受けるってことは地域全体が活性化するわけで、それが「次のベルリン」と呼ばれる所以なんだろう。

それでも、日本で話題になるほど(新しいものがアメリカで火がつくとだいたい2~3年後に日本に届く)時間が経っているのに、メキシコシティの治安が改善されていないというのは、単純に欧米人のトリクルダウンマネーの供給量が少ないってことなのか、ジェントリフィケーションの悪い面がでて、地価高騰で貧困層が土地を追われ、ストリートにでてるってことなのか、どういう要因があるんだろうなと興味があって、ぼくも任国外旅行でメキシコ行くかと(中南米隊員にとってメキシコは超人気の旅行先で年末年始はメキシコで過ごす人が60人くらいになることもあるのだとか)思ったんだけど、セントビンセントから遠い。

・セントビンセント→トリニダード・トバゴ→パナマ経由でメキシコ

・セントビンセント→カナダor NY経由でメキシコ

っていう長旅で日本からメキシコに行くのと時間もお金も変わらない。

せっかく近くにいるからと思ったけど、近くて遠かった。

さすが世界の辺境セントビンセント。

任期終わって帰国してからもまだ関心があれば、行ってみようかなあ。

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