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台湾の大統領のカリブ訪問とサーカス講演

台湾の蔡英文大統領がセントビンセントにやってきた。カリブ地域を順に訪問している。

アメリカ経由で外交関係にあるカリブ4か国への訪問になっているようだけど、今回の経由地のNYで外交活動が事実上認められたようだ。

台湾を中国の一部とする「1つの中国」を押す中国の意向で台湾はアメリカでの政治活動は制限されているし、されてきた。NYの国連本部も台湾パスポートでは見学できない。

そんな中での事実上の外交活動なわけで、それに対しての抗議活動も行われたようだ。

それで、今回のセントビンセントへの訪問は、密な関係を保つというのと、今度台湾にセントビンセントの大使館ができることに関連しての訪問という意味合いもあったのではないかと思う。知らんけど。あと、台湾資本で新しいホテル建設の話もでてるようでそれのひと押しもなされたのかもしれない。

そういう政治的な意味合いで、需要もそれほどなければ人材もいないのにハコモノだけどんどん増えていく構造がなんとなく察せれた。

セントビンセントは人口10万人程度のほんとに小さい国だけれど、実は海外のセントビンセントの大使館というのは結構あるらしい。(正確な数は忘れた)

すると、なんだかんだで公務員的な働き方をする人の割合は他国より高いのかもしれない。なんとなく、そんな気がしないでもない。

日中、チャールズ皇太子が来た時のように歓迎のセレモニーが行われていた。

セントビンセントでは台湾の大統領が女性という点でも注目度は高かったらしい。

台湾のボランティアチームもいろいろ駆り出されていて忙しそうに立ち回っていた。

それで、ぼくのお目当てはその台湾外交部が引き連れてきたサーカス公演。

地元の人はサーカスと聞いて「ライオン連れてきてるかな?!」なんてちょっとズレたことを言っていたけれど(動物園のないこの国ではライオンを始めとする大型動物を見たことある人はほんとにごくごく一部)、そんなものを飛行機に乗せてやってきているはずもなく、生身の人間のアクロバティックなショーだった。

ちょっと表現が難しいのだけど、エンタメに慣れていたりともすれば目が肥えているぼくら日本人にはショーのクオリティーに満足はできなかった。

肌感覚では、新春かくし芸大会。贔屓目に見て、高校生の新体操の地区予選レベル。

衣装が地味だけれど、たぶん台湾の伝統的な農村文化を表現してる一幕。

台北101を表現した(と勝手に思っている)椅子を何段もつんだ倒立。この日一番の盛り上がり。

前列、白髪の女性の手前にいるのが蔡英文大統領。間近で見れた。思ったより痩せていた。(ひょっとすると、こっちの人が大柄なのでバイアスがかかっているのかもしれない。日本で見ると普通の体型と思うのかもしれない。)

台湾ボランティアの友人が飲料を渡していて、なんというか、頼もしかった。

これもおそらく民族衣装。

ウケの良い倒立。

洋装に着替えての、この日の演目のおさらい的な。

何回か衣装を変えていたけれど、全体的に大道芸の寄せ集め感があって、演目の統一感も演出の巧みさもどういってよいのかわからないのだけど、これが、各衣装が台湾の伝統文化や少数民族を表現していて、最後の洋装が欧米文化(特にアメリカ)の影響も受けていて、多様な側面がある多文化さがあるのが台湾だというメッセージを込めているのなら、そしてそれが中国との違いでそれをアピールしているのなら意味があるのかもしれない。

ただ、ここの国の人たちがそんなハイコンテキストなことがわかるかというと、たぶん無理。ちょっと繊細すぎたな気がしないでもない。

ぼくはもっと盛大なやつを期待していたし、台湾は本気をだせばそういうショーをできるはずだけど、今回見た通りできていない、連れてきていないということは、ぼくが思っているよりも予算の制約があるのかもしれない。

たしかに中国という大国と張り合うためには、なにからなにまで同じように金を積めば良いという話ではないし、そんなことはどこもできないけれど、ぼくが思っているより台湾は苦しい、ギリギリの闘いをしているのかもしれない。台湾政府の懐事情をちょっとのぞき見たような気がした。

そんななかで、外交の効果を最大化させようと選ばれたのがパブリック・ディプロマシーなんだろうし、今回のサーカス公演なんだろうと感じた。

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