130.第5章「映画とテレビでトップをめざせ!不良性感度と勧善懲悪」
第14節「東映子供向けドラマ 昭和ライダーシリーズ 後編」
2.第2期MBS「仮面ライダー」シリーズ(東映東京制作所・東映映像制作)
東映東京制作所(制作所)の特撮ドラマ『宇宙鉄人キョーダイン』(1976/4/2~1977/3/11 全48話)、『大鉄人17』(1977/3/18~11/11 全35話)と続いて放映されたMBS系金曜19時枠は、その後アニメ番組が放映されます。
『仮面ライダーストロンガー』から3年間のブランクを経た1979年10月、待望の「仮面ライダー」シリーズがこの枠で復活しました。
⑥ 『仮面ライダー (スカイライダー)』(1979/10/5~1980/10/10 全54話)
「仮面ライダー」シリーズ第6作のタイトルは原点回帰し、ロゴは変わりましたが再び『仮面ライダー』。第1作と紛らわしいのでこの作品のタイトルは『仮面ライダー(新)』とか『仮面ライダー(スカイライダー)』などと表記されます。
新秘密結社ネオショッカーに改造された主役の筑波洋役には一般公募形式のオーディションを開催し、当時大学生だった新人の村上弘明が選ばれました。
プロデューサー平山亨、メインライター伊上勝、メイン監督山田稔、殺陣は大野剣友会・岡田勝、ライダーのスーツアクターは同じく大野剣友会・中屋敷鉄也、ナレーションは中江真司とお馴染みの陣容で、閉鎖した生田スタジオに代わって東映東京撮影所(東撮)を拠点に制作が始まります。
途中からプロデューサー阿部征司も加わりました。
8人目の仮面ライダーはスカイライダー、空を飛べます。
大首領が支配する秘密結社ネオショッカーの日本支部初代大幹部ゼネラルモンスター役は堀田真三が演じました。
第17話からはゼネラルモンスターに代わる日本支部第2代大幹部として中庸助演じる魔神提督が登場します。
強力な敵に対抗するため、第28話からは7人の先輩ライダーの特訓でパワーアップし強化スカイライダーに成長しました。
人気が盛り上がってきたこともあり放映は全54話と1年を越え、平均視聴率も関西14.2%、関東13.2%と健闘します。
ただ、人気が出てきた村上弘明のスケジュールが調整できず、終了後の翌週10月5日から新ライダーが登場しました。
⑦ 『仮面ライダースーパー1』(1980/10/17~1981/9/26 全48話)
「仮面ライダー」シリーズ第7作は『仮面ライダースーパー1』というタイトルで、前作に引き続き1980年10月17日からMBS・TBS系土曜19時枠にて始まります。
制作陣は前作に引き続きお馴染みのメンバー。9人目の仮面ライダースーパー1に変身する沖一也役の高杉俊价(しゅんすけ)はオーディションで選ばれた元陸上自衛隊のレンジャー部隊員でこの作品にて本格デビューしました。
スーパー1は、汐路章演じる帝王テラーマクロが君臨する闇の王国ドグマ、奥沢正人が演じた極東司令官のメガール将軍を相手に戦い、第22話でメガール将軍、第23話でテラーマクロを倒します。
ドグマ壊滅後には加地健太郎 演じる悪魔元帥と配下の4幹部が支配する新たな敵ジンドグマが出現しました。
1981年4月改編時の第24話から、MBSでは土曜17時枠、TBSは土曜7時枠と関西と関東で放映曜日と時間が変わりました。
これまで関西19.6%、関東13.3%と好調だった視聴率がここから下がり、その結果、第2期MBS「仮面ライダー」シリーズはこの作品にて終了します。
3.スペシャル版「仮面ライダー」(東映テレビ・プロダクション制作)
⑧ 『仮面ライダーZX(ゼクロス)』(1984/1/3)
『仮面ライダースーパー1』でテレビシリーズが終了すると、ファンたちの「仮面ライダー」復活を願う熱い声援と支援活動がすぐに興り、それに応え平山亨が動きました。
1982年、講談社『テレビマガジン』『たのしい幼稚園』、徳間書店『テレビランド』、秋田書店『冒険王』など各誌の協力を得て、8月号から合同連載記事企画として雑誌連載が始まり、石森章太郎協力のもと10人目の新ライダー『仮面ライダーZX(ゼクロス)』が誕生します。
そして1984年1月3日、10号ライダーZXに変身する村雨良役を菅田俊が演じ、バダン総統率いる最強の暗黒組織バダンと戦った「10号誕生!仮面ライダー全員集合!!」が、ついにMBSの正月特番としてテレビ放映されました。
ショッカー大幹部地獄大使の従弟でバダン帝国の最高幹部である暗闇大使は再び潮健児が演じます。
10人目のライダーであるZXは、ファンが主導した仮面ライダーでした。
1987年2月末、これまで『キイハンター』や「仮面ライダー」シリーズなど数多くのヒット番組を生み出してきた東映東京制作所、1988年2月末には東映映像が解散します。
4.第3期MBS「仮面ライダー」シリーズ(東映テレビ・プロダクション制作)
1987年、前回の『仮面ライダースーパー1』放映から6年ぶりに『仮面ライダー』が帰ってきました。
⑨ 『仮面ライダーブラック』(1987/10/4~1988/10/9 全51話)
10月4日からMBS系日曜朝10時枠にて始まった『仮面ライダーブラック』。
暗黒結社ゴルゴムによって世紀王ブラックサンとして改造された南光太郎が、11人目のライダー、仮面ライダーブラックに変身しゴルゴムと戦います。
光太郎役はオーディションで選ばれた倉田てつをが演じ、準入賞の堀内孝人が同じく改造された光太郎の親友秋月信彦役でブラックの宿敵世紀王シャドームーンとなって対峙しました。
ゴルゴムの創成王の下にはダロム、バラオム、ビシュヌの三神官が仕えています。
平山亨が石ノ森章太郎と原点回帰をめざして始めた企画でしたが、平山が定年嘱託となっていたこともあり、メタルヒーローシリーズのプロデューサー吉川進が担当します。
吉川の指揮の下、スタッフも大幅にチェンジし、アクションはこれまでの大野剣友会からジャパン・アクション・クラブ(JAC)に変わりました。
『仮面ライダーブラック』の好調を受け、MBSの同じ枠で続編が続きます。
⑩ 『仮面ライダーブラックRX』(1988/10/23~1989/9/24 全47話)
前作でゴルゴムを壊滅した倉田てつを演じる南光太郎の前に、怪魔界の支配者クライシス王国クライシス皇帝が現れました。
光太郎は12番目の仮面ライダーブラックRXに進化し、新たなる敵を迎え撃ちます。
クライシス帝国地球攻撃兵団の最高司令官ジャーク将軍は、部下に四大隊長を従えて指揮する強敵でした。
四大隊長が次々と送り込む怪魔戦士に対しRXは、第15話からロボライダー、第17話ではバイオライダーと、ライダーでは初めてフォームチェンジして対抗しました。
RXは最後にクライシス皇帝を倒し、怪魔界は消滅、地球の危機は救われます。
番組放映途中の1989年1月、時代は昭和から平成に変わりました。
そしてこの第10作『仮面ライダーブラックRX』を持って、1971年から始まったMBS『仮面ライダー』シリーズは終了します。
6.東映・バンダイ『仮面ライダー』3作(東映東京撮影所制作)
テレビシリーズが終了したことで、東映はバンダイと共同で、ビデオ、映画作品として3作の『仮面ライダー』を製作しました。
① 東映ビデオ・バンダイ『真 仮面ライダー 序章』(1992/2/20 ビデオ発売)
東映ビデオとバンダイは仮面ライダー20周年記念作品としてオリジナルビデオ作品『真 仮面ライダー 序章』を製作。1992年(平成4年)2月にリリースしました。
この作品はビデオとして販売するため、子供に向けて作ってきたこれまでのテレビ作品とは違い、仮面ライダーで育った大人をターゲットに企画しました。
風祭真役の石川功久(かつひさ)が変身する13番目のライダーは仮面ライダーシン。軍事産業を主とする多国籍複合企業体・財団日本支部・ISS(Institute of Super Science)が生み出す改造兵士(サイボーグ・ソルジャー)を相手に戦います。
② 東映・バンダイ『仮面ライダーZO』(1993/4/17 劇場公開)
続いて東映とバンダイは、翌1993年(平成5年)『仮面ライダー
ZO』を製作、「東映スーパーヒーローフェア」の一作として4月17日から劇場公開しました。
キャラクターデザイナーの雨宮慶太が監督したこの映画は、シリーズ初の劇場用オリジナル作品であり、今作でも仮面ライダー誕生20周年記念作品としています。
麻生勝役の土門廣が変身する14番目の仮面ライダーZOは、望月博士が作り出したネオ生命体の第1号実験体であり、ネオ生命体の完全体であるドラスと戦いました。
③ 東映・バンダイ『仮面ライダーJ』(1994/4/16 劇場公開)
東映とバンダイは、続けて翌1994年の「東映スーパーヒーローフェア」でも同じく雨宮圭太監督で新たな仮面ライダー映画『仮面ライダーJ』を製作、4月16日から公開します。
仮面ライダーJは、瀬川耕司役の 望月祐多が変身し、宇宙怪物集団フォッグとその女帝フォッグ・マザーが生み出した怪人たちと戦います。
前年1993年7月発売の円谷プロダクション・東映共同製作オリジナルビデオ『ウルトラマンVS仮面ライダー』(雨宮圭太監督)で仮面ライダー1号が巨大化して好評を博したこともあり、15番目の仮面ライダーJも巨大化しました。
この作品で東映・バンダイによる劇場版『仮面ライダー』も終了します。
1998年1月に石ノ森章太郎が60歳という若さで逝去したため、『仮面ライダーJ』が石ノ森が直接かかわった最後の『仮面ライダー』作品となりました。
石ノ森は、東映にて『サイボーグ009』『仮面ライダー』『秘密戦隊ゴレンジャー』『がんばれ‼ロボコン』他、数多くの人気作品を生み出し、東映を支えてきたキャラクター作品の大多数がもともと石ノ森作品と言っても過言ではありません。
その中でも1971年から始まった『仮面ライダー』シリーズは、多くのファンに支えられ、1994年までに昭和ライダーと呼ばれる15体の仮面ライダーが誕生しました。
そして、世紀が代わった2000年1月、平成ライダーと呼ばれる新世代の『仮面ライダー』シリーズが始まります。
石ノ森が残したキャラクターは現在の東映の礎であり、石ノ森は東映の大恩人でした。
あっという間に桜の季節となりました。
4月から年度も替わり、新たなスタートの方も多いことでしょう。東映太秦映画村も長年撮影してきたオープンセットに別れを告げ、リニューアル工事に入りました。
これからは新たなオープンセットで新たな時代劇を作ってまいります。
リニューアル期間中も東映太秦映画村は4月13日(土)から通常とおり営業いたします。皆様ぜひお越しください。スタッフ一同、心よりお待ちしております。
お知らせ
これまで火曜日11時30分にアップしてまいりましたこのブログも、次回から木曜日13時のアップに変更させていただきます。
今後ともよろしくお願い申し上げます。