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東京都高校駅伝2023

今年も都駅伝が無事に終了しました。早実は6位と、目標の3位には届きませんでしたが、2年連続で関東駅伝への出場権を手にしました。

1区 吉倉ナヤブ直希③ 区間6位

1区は序盤から区間賞候補筆頭の尾熊(東京実)が飛び出す展開でした。その後駒大のエース菅谷、今季好調の金子(大東一)が抜け出し、ナヤブは4位争いの集団に。最終的には4位の久我山と秒差の6位で、エースとしての役割を果たしました。

集団を引っ張るナヤブ

トラックシーズンは1500mで2年連続でインターハイに出場。9月には3:46.19のPBを出しました。5000mでも14分20秒台を安定して記録しています。

スピード型ということもあり、ロードはそこまで得意ではないのかなと思ってましたが、そんなことはないようです。先日の関東駅伝6区では入学後初の区間賞を獲得しました。

ここまで全国レベルの選手が、いわゆる"強豪校"ではない早実で高校3年間を過ごした意味はどんなものなのでしょうか。私に分かることではありません。

ただ彼は来年度以降は早稲田の選手として、駅伝で活躍してくれるはずです。先輩の石塚(2020年度卒)にも劣らない、タフな選手であることは間違いないでしょう。

2区 横山拓真③ 区間8位

横山は中距離選手です。しかもめちゃくちゃ速いです。東京のレベルが高いのでIH路線は都総体止まりでしたが、800mで1:53.75と早実歴代3位の記録を持ちます。

10/15の東海大記録会。横山は800mに出場した数時間後、5000mのスタートラインにいました。スタート後は集団の中盤で流れ良く走ります。最後まで走り切りはしませんでしたが、私は「これはもしかして...」と思いました。

中距離選手ならではの背筋の伸びた走り(友人提供)

予想の通り、大一番の都駅伝に抜擢されました。北爪先生は中距離選手に長い距離を走らせることを基本しないので、彼自身の希望だったのでしょう。(長距離の付き添いをよく引き受けてくれていたので、チームへの思いは強かったはずです。)

やはり他校の長距離選手との差はあり、順位を一つ落としてしまいます。しかしタイムは9:05と耐え、人数の少ない早実で貴重な役割を担ってくれました。

3区 山田晃央② 区間6位

今年はIH路線への出場はありませんでした。復帰戦となった6月の都選抜1500mでも、序盤のうちに集団から離れていて、まだスピードが出ていない印象でした。

しかし駅伝シーズンには間に合わせます。2種目で出場した10月の関東新人では1500mで2位に入りました。都駅伝では準エース区間を任されます。

並走していた大東一の選手を引き離す

8kmも1人で走っていると途中下を向いてしまいがちですが、山田は前の選手が見えない状況でも、しっかり前を向いて走っていました。

関東駅伝での起用を見る限り、来年は1区を走る可能性が高いです。まだ他校の選手には走力で及んでいないので、1年間準備を積んでほしいと思います。

4区 浅川京平③ 区間7位

観戦でたまたま居合わせた方に今走ってる選手を聞かれ、浅川と答えたところ、「あの中距離速い子...!」と返ってきました。そうなんです。彼は1500mが速い選手なんです。

そんな彼が8km区間を走ってるだけでも、胸に来るものがあります。1年間、ブロック長として、陸上部の部長としてチームを引っ張ってきたからこそ、4区の役割を後述の鈴木や高橋に譲らなかったのだと思います。

1つ前も後ろも遠い単独走

途中差し込みが来て思うように走れなかったそうです。3回の都駅伝経験はどれも満足いくものではなかったかもしれませんが、忘れずに今後の糧としてほしいです。1年間お疲れ様。

5区 橋本真旺③ 区間10位

橋本のことは中1の頃から知っているので少し長く話そうと思います。彼が早実中陸上部に入部した時、私は高2でした。彼の代はにぎやかで、練習中にはしゃいだり、合宿で高部先生の話を聞いてる時に帽子を被ったままだったりと、ちょっとだけ問題になってました。(6年も前のことなのでこっそり言います笑)

でも走ることは好きそうでした。まだ中学生なのに最新の靴を買って、見てる方が心配するほど練習して...きっと高校になったら伸びるだろうなとずっと思ってました。

実際に高校では好不調の波がある中、3000mSCで10:11.68と、都総体標準(10:10.00)まであと2秒のところまで記録を伸ばしました。もしこの種目で都総体に出れていれば、関東総体まで進んだ山田先輩(2019年度卒)以来の快挙です。

彼の強さとして、3障向きの恵まれた体格以外にも、どこまでも追い込めるところが挙げられます。下の投稿の4枚目の写真を見ると分かります。

このきつそうな表情を、彼が中1の頃から何度も見てきました。見るたびに力をもらってました。

どうしても走りのパフォーマンスを見られがちですが、早実を応援してくれる皆さんには、都駅伝のメンバーを、そして関東のアンカーを最後に掴み取った彼の6年間のひたむきな努力を、心に留めてもらえれば幸いです。

6区 高橋奏太① 区間7位

期待のルーキーです。都1年生大会の3000mで初めて高橋の走りを見ましたが、前傾の滑らかなフォームと、途中先頭に立つ積極性が印象に残っています。

1年生なので、まだ体つきは細い(友人提供)

足下で調子は良くなかったのかも知れませんが、良い経験を積めたのではないでしょうか。14分台突入は時間の問題だと思うので、まずはトラックでの活躍に期待しましょう。

7区 鈴木貴広③ 区間10位

さて、6区終了時点で早実は関東駅伝出場ラインぎりぎりの6位にいました。7位の東京高校との差は1分6秒。鈴木には十分のタイム差でした。

高1の時はメンバー入りしながらも直前の怪我で出走できず。高2の時も苦しい走りでした。3度目の正直となる今回。2km手前で声をかけたらしっかり反応してくれたので、安心してゴール地点に向かうことができました。

6年も長距離やってたらベテランだよね(友人提供)

中学時代から好記録を持っていた彼にとって、順調な3年間ではなかったはずです。良い時と悪い時がはっきりしていて、苦労してきたと思います。

だからこそ、考えて練習を重ねてきました。自分の身体の状態、チーム状況、求められる走り。レース中もきっと考えられているだろうなと、声をかけた時に感じました。

その後の関東駅伝では3区を任されました。本人曰く、全部出し切れたそうです。100点満点だと私は思います。橋本にも浅川にも言えますが、ここまで来たら結果なんてどうでもよくて、日々の練習と、駅伝で走り切ったことが繋がっていさえすればそれで十分なんです。

陸上競技はこれで引退ということで、大昔一緒に練習していた私としては少し寂しいですが、今はとにかくお疲れ様と言いたいです。

都大路を目指さなくとも

今年のチームが去年のチームと異なる点、それは都大路(=都駅伝優勝)を目指さなくなったことです。

去年小平が率いたチームは、鈴木曰く「都大路に出たいと本気で思える」チームでした。一方で、主力が多く抜けた今年のチームでは、同じ思いを持ち続ける難しさがあったといいます。

これは、後退でしょうか。
私はそうではないと思います。

東京は激戦区です。久我山や城西は練習内容もさることながら、早実とは比べものにならないほど多くの有望な新入生が集まってきます。

早実が最後の都大路に出た17年前とは、状況が大きく異なるのです。

それでも都大路を目指し続けてきたチームとして、目標を変えることに様々な意見があるでしょう。

しかし今年のチームにとって、3位以内という目標は、1年間の努力の拠り所として、あるいは大一番でパフォーマンスを最大限発揮させる源として、一番ふさわしいものだったと思います。

そして何よりも、今年は個々の選手が自分と向き合い続けたチームでした。誰1人として思い通りの成長曲線を描けなかったからこそ、弱さを理解し、練習を重ね、去年と何ら変わらない厳しい舞台に乗り込んだのです。

これでもなお、彼らに結果を求める意味がどこにあるでしょうか。それぞれの努力と駅伝での走りが繋がっていると選手達が気づけたのなら、応援する立場である私が望むものはもうありません。

卒業して3年が経った今、私はとっくのとうに外部の人間となっています。3500文字も書けるのも、橋本や鈴木、船戸や真山がいる今年が最後です。それでもタイムや区間順位には現れない母校の選手の強さを知ってほしくて、(年を経るごとに増える)憶測も交えてこうして書いています。

読んでくれる方に届いたでしょうか。去年ほど自信はありませんが、一つ自信をもって伝えられることがあります。今年も言います、早実こそが最高のチームです!

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