能なし達の挽歌 ー Brainless Elegy ー#9
【承前】
パリ・クラスタの北側。一時間もすればネオンが輝き出すであろう歓楽街は、未だ宵の口の微睡みの中だ。大通りから少し入った路地のすぐ右手、地下への階段の先にあるバー、”ジュノン”も開店の準備中のようであり、未だ扉は開いていない。しかし、そこの女主人にツテのあるガランは、事前にメッセージを飛ばしていたこともあり、無遠慮に踏み込んだ。
「あら、どちら様かしら?セクシィな球根頭さん?」
「ーーーいや、メッセージ飛ばしただろうがよ、ソピア。オレだ、ガランだ。アー、この頭は緊