亜富球

ファンタジーとかミステリーを好む生き物です。ニンジャとかロボットも好き。

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マガジン

  • 逆噴射小説大賞2020投稿作まとめ

    逆噴射小説大賞2020投稿作品をまとめています。 Photo by Roman Mager on Unsplash

  • ゴブリン無宿シリーズ

    流浪のゴブリン剣戟小説の置き場です。 Photo by lionel abrial on Unsplash

  • 便利屋ガラン ー Galan the Shooter ー

    サイバネティックSFアクション、便利屋ガランシリーズを連載中です。

  • 逆噴射小説大賞投稿作品まとめ

    逆噴射小説大賞に投稿した自分の作品をまとめたものです。 Photo by wu yi on Unsplash

  • 逆噴射小説大賞2019投稿作品まとめ

    2019年10月8日から10月31日まで募集が行われた「逆噴射小説大賞2019」に投稿した作品群を纏めたものです。 Photo by Paweł Czerwiński on Unsplash

最近の記事

死神の鎌は誰がために

 荒く呼吸を乱しながら、石造りの回廊を青年が少女の手を引き、ひた走る。ボロボロの粗末な布地を纏った少女は裸足で、さながら逃亡奴隷と言った風情。対して、青年はところどころ血に汚れてはいるものの、鉄板を当てた革鎧に鋼の長剣、円盾といった良質な装備を身に着けている。 「おい。大丈夫か。まだ走れるよな!?」  少女はどこか不安そうに後ろを振り返る素振りを見せていたが、青年の言葉に反応し必死に頷きを返す。 「よしよし、これでかなりの距離を稼いだはずーーー!?」  だが目前に現れ

    • 白亜の反抗機-Plug in the Resist-

       機械の反乱など、有り得ない。と、昔の偉い方々は吹いて回っていたそうだ。だが、現実はと言えば、奴らはプラントごと反乱を起こしやがった。しかも、笑えねえことに、人類の生み出した最強の兵器、有人操縦型大型直立二足機人のプラントだって言うんだから。  身長3mを超えるロボットが徒党を組んで襲ってきやがる。とんだ時代に生まれっちまったもんだな、そうだろ!                 ◆ 「コイツは」  土埃でくすんだアーバングレーの迷彩服とタクティカルベストに身を包んだ三

      • コードネーム:ドン・クラィ・ベイビィ

        ピッケラ・ブッカは きょうも げんき いっぱい! さあ ぼうけん だ!おおきな いっぽを ふみだす ピッケラ・ブッカ おやおや でも あしもとにある おおきな あな に きづいてないみたい! ああ!あぶない! どしーん!! うわあ!! たいへん!ピッケラ・ブッカは あなに はまってしまいました! ビックリしたピッケラ・ブッカ は ポロポロと なみだを こぼしてしまいます さあさあと さかさまに なみだのあめが ふりました じめんの したに すんでいた こびと

        • ピンク色魔法使いは今日も溜息を吐く

           喧騒に包まれた酒場の空気が変わった。  カウンターに向かって場違いなほどの美女が歩を進めているのだから当然であろう。  腰まで流れる黒髪は鴉の濡羽を思わせる艶やかさ。髪と同色の瞳は鮮烈なまでの意志力を感じさせる鋭さを持ち、国の紋章が付いた桃色のローブはゆったりとしていたが、その下の肢体は豊かなラインを浮かび上がらせている。酒場の、特に粗野な男どもの視線を集めるには充分以上の美女である。  誰かがヒュゥッ、と掠れた口笛を吹くと一斉にそれまで以上の喧騒が戻ってくる。 「

        死神の鎌は誰がために

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        • 逆噴射小説大賞2020投稿作まとめ
          5本
        • ゴブリン無宿シリーズ
          2本
        • 便利屋ガラン ー Galan the Shooter ー
          12本
        • 逆噴射小説大賞投稿作品まとめ
          10本
        • 逆噴射小説大賞2019投稿作品まとめ
          6本

        記事

          ダイヤモンドスナイパー

           カザシは寒風吹きすさぶビルの屋上で、今朝の出来事に思いを馳せていた。                  ◇ 「すまないね、少年。怪我はなかったかい?」  早朝のランニングロードでカザシは尻もちをついた姿勢のまま固まっていた。 「は、はい。大丈夫ス」  手を借り、起き上がる。現実感が、追いついてこない。 「いや、どうしてか気づけなかった。本当に済まなかった」 「あ、あの!大矢ヒロム選手ですよね!プロ野球選手の!知ってます、俺!今夜の試合がチーム優勝と本塁打王のタ

          ダイヤモンドスナイパー

          能なし達の挽歌 ー Brainless Elegy ー#10

          【承前】 「説明もいいけど、まずは着替えだとアタシ思うんだけど?」 「ーーーいや、いきなり話の腰折ってんじゃねえよ」 「子供とはいえ、レディの肌よ?いつまでも晒すものじゃないでしょうに。ほら、ガランは後ろ向いてなさい。それが礼儀でしょ?アナタも。ちゃんとサイズ合いそうなの、見繕ってきたから安心して。アタシに任せなさい」 ほらほら、ハリーハリー、とソピアが場を仕切る。言われてみれば当然の内容でもあるし、ガランにも否やはないのだが。 「ーーー今回の仕事はどうにも。とこと

          能なし達の挽歌 ー Brainless Elegy ー#10

          ゴブリン無宿 #2

          【承前】 「やりやがったなッ!!」 「糞が!!囲め!!所詮は薄汚えゴブリン一匹だろうがッ!!」  仲間の首が飛んだ。その衝撃を一時忘れさせる程の憤怒で顔面を染め上げ、野盗達は大声で叫ぶ。それもそうだろう。こんな辺境といえども少し大きな街へと出れば、薄汚い安酒場くらいはある。そこで、ぬるい麦酒と茹でただけの豆を一皿を頼むと、それだけで銅貨五枚だ。  つまり、貴様らの首にはその程度の価値すら無い、と、目の前の痩せぎすで貧相な風体の、襤褸布を巻きつけるように腰元で合わせて紐

          ゴブリン無宿 #2

          逆噴射小説大賞2019自作振り返り

           今年もまた参加しました。  去年は、やけにテンション高く色々10作程ブッ込んでましたけど、今年は800字に増えた分、5作に絞る、というレギュレーションです。それもあって、色々考えながら落ち着いて文章を練々してました。  今年は文体は書き易いものに統一して、一人称が2つ、三人称が3つとなりました。ただ、ジャンルは比較的バラけさせてるような気がします。正直、パルプかどうか、とは深く考えずに作ってますが、まあ、そういう作風、ということで。  ちなみに作業中はBGM欲しいタイ

          逆噴射小説大賞2019自作振り返り

          ゲート・ブレイカー 第一話「破門」

          「ハチコ、戻ったぞ」 門関連犯罪対策特別捜査隊と書かれた扉を開き、小柄な女性が入ってくる。黒髪のポニーテール。勝ち気な瞳。 「ナナミ先輩、平気なんスか。さっきの現場で派手にフッ飛ばされてましたケド」 長身の男が立ち上がり、心配そうな視線と声を寄越しながらバタバタと駆け寄ってくる。不潔な訳ではないが、ボサボサとまとまりのない栗毛。眠そうに下がったタレ目。対照的な二人組である。 「アタシは軽いからな。確かにフッ飛ばされたが、打撲程度で済んだよ」 拳銃はひしゃげてオシャカ

          ゲート・ブレイカー 第一話「破門」

          能なし達の挽歌 ー Brainless Elegy ー#9

          【承前】 パリ・クラスタの北側。一時間もすればネオンが輝き出すであろう歓楽街は、未だ宵の口の微睡みの中だ。大通りから少し入った路地のすぐ右手、地下への階段の先にあるバー、”ジュノン”も開店の準備中のようであり、未だ扉は開いていない。しかし、そこの女主人にツテのあるガランは、事前にメッセージを飛ばしていたこともあり、無遠慮に踏み込んだ。 「あら、どちら様かしら?セクシィな球根頭さん?」 「ーーーいや、メッセージ飛ばしただろうがよ、ソピア。オレだ、ガランだ。アー、この頭は緊

          能なし達の挽歌 ー Brainless Elegy ー#9

          蒼穹と雲海の間で

          『この雲の下にはね、きっと楽園が広がっているんだよ』  都市搭載型超弩級飛行艦《NOA36》艦長アレハンドロ・グラーデが、八つほど年の離れた姉の言葉を思い出す時。それは常に難しい決断を迫られた時である。  その姉は、彼が15の年に実際に雲の下へと挑み、かつての、そして、それ以降の挑戦者達と同じく行方知れずとなった。五十路に差し掛かったアレハンドロは、職務の重責に圧し潰されそうな時、その楽観的な言の葉を思い出し、子供の時分の甘い感傷に一時的に逃避する。その後、苦い現実と向き

          蒼穹と雲海の間で

          城は傾けど姫は在り

           城田 姫路。  俺は、この自分の名前があまり好きではない。  母が俺のことを今でも「ヒメちゃん」と呼ぶから、というのが一つ。  それでも、俺が白皙の中性的な美男子であれば、まあ我慢できた、かもしれない。しかし、俺の容姿はといえば、野太い眉の下には腫れぼったい目、丸みを帯びた鼻に口唇も分厚い。体型に至っては、子供の時分から立派なあんこ型であり、あまりの落差に良くからかわれたものだ。  そして、最近増えた、好きでない理由は。 「あンだい。煙草、あったのかい。なら、さっ

          城は傾けど姫は在り

          アイ・レコメンドー新人研修、承ります!ー

          「ちょっと、貴女、どういうことかしら?昨日はワタクシが教官と過ごすはずでしたわよね?そも当番制を言い出したのも貴女ではなくって!?」 「そうだぞぅ、抜け駆けだー」 「抜け駆け、よくない、よ?」 「うぅ、だってーーー」 かしましい。格納庫内にオレが好んでプレイする恋愛ゲームのキャラにそっくりの声音が響く。ヤツらの言う教官とはオレの事に他ならず。声音通りの、美少女達からの”奪い合い”の対象となれば、さぞや、と妄想を膨らませたことがない、といえば嘘になる。 なる、が。

          アイ・レコメンドー新人研修、承ります!ー

          ゴブリン無宿

          「オウ、ジイさんよう、金を出しゃそれで良いんだ。俺達は、何も楽しくってアンタみてえなジジイを苛めている訳じゃないんだぜ」 薄汚い革製の胸当てを着けた髭男が、半ば錆びた幅広の剣を手に凄む。野盗であろう男の後ろには、これもまた似た風体の男達が、二人と三人。総勢六人がニヤニヤ笑いを口元に浮かべながら、貧相な風体の枯れた老爺を取り囲んでいた。 「こんな辺鄙な田舎村には、旦那様方を満足させられるような蓄えなぞございません。どうか、お許しを」 訥々と見た目同様のしわがれ声で老爺は訴

          ゴブリン無宿

          能なし達の挽歌 ー Brainless Elegy ー#8

          【承前】 「でかいトラブル?なにさ、ソレ?」 「オイラにも見せてくんなよオ」 呆然と呟いたきり停止してしまったガランを訝しみ、カバスは羽根を震わせ、モナカは蜘蛛足を伸ばして、高さを稼ぎ、ハコの中を覗き込む。 「ーーーって、ハァ!?人間!?バカじゃないの!?」 「イヤイヤ、旦那ア、流石にコイツはシャレにならんのじゃないかイ」 やや間が空いたが、すぐに二人も動揺を見せる。 「ーーーとにかく、外に出してやらねえと」 一足先に正体を取り戻したガランは、ハコの中身をそっ

          能なし達の挽歌 ー Brainless Elegy ー#8

          能なし達の挽歌 ー Brainless Elegy ー#7

          【承前】 フランス・カテゴリ、パリ・クラスタの細工職人街の一角にモナカの工房はある。モナカの普段の仕事は金属細工、彫金や金属繊維を生かした装飾品の作成等、だ。実際の所、普段、使っているボディの金属羽根も、凄まじく薄く加工された上に、細やかな彫金を施された作品の一つである。 「この辺か、案外近かったな」 背中のアタッチメントに金属函を接続したガランは、カバスをゆっくりとモナカの工房前に停めると普段よりも丁寧な動きで降車する。 「解錠してるから、入ってきてよ」 一飛先に

          能なし達の挽歌 ー Brainless Elegy ー#7