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【第4節】やりたいことをやりきる勇気

春分の日を過ぎて、サクラの開花が発表されて、いよいよ春本番かと思う日が続いていたのに、この日は朝から小雨が降って季節が逆戻りしたような日だった。

鹿児島ユナイテッドFCは2023シーズンを1勝1敗1分でスタートした。
勝ち負け分けの順番で3試合を終えて勝点は4。
必ずしも悪い成績とは言えないけれど、J3優勝・J2昇格を目指して始まったシーズンとしては正直、はがゆさも感じていた。

多くの選手が残って、監督も昨年から引き続いて指揮を執る。
だから、昨シーズン以上のサッカーが見られるはずだという期待もまだ肩透かしを食らっている気がしていた。

ただ、それでも、スタジアムに行かないという選択肢はない。
昼前には雨が止むという予報を信じて、この日も家を出た。

明治安田生命J3リーグ 第4節
2023年3月26日 13時3分キックオフ@白波スタジアム
鹿児島ユナイテッドFC VS SC相模原
2-1(1-0、1-1)
天気:曇のち雨 気温19.6℃
入場者数:4,201人

https://kufc.co.jp/matches/?gameid=2023032615

雨の日は荷物が多くなりがち

普段ならいつも座るバックスタンドの中央付近の席を確保するにはキックオフ2時間前にはスタジアムに着いていないといけない。
でも雨だとゆっくりでもいいはずだと思って、この日スタジアムに着いたのはキックオフの1時間前ぐらい。

駐車場からスタジアムに向かうときも雨は少し残っていて、入場口までは傘をさした。
天気の心配がないときはほとんど空っぽのトートバックの中にはカッパやタオル、ビニール袋を入れていた。

バックスタンドまで上るとほとんど雨はやんでいたけれど、念のためにビニール袋にバッグを入れて、座席を確保した。
雨は降ってもカッパを着れば問題なさそうに感じられる。
でも、思っていたよりも気温が低い。
2週間前はユニフォームの中に着たTシャツの袖をめくってちょうどいいぐらいだったのに、この日は上に羽織るパーカーが欲しいぐらいだった。

だから、この日のスタグルは車を降りたときには決まっていた。

鹿児島県民にはおなじみの桜島フェリーのうどん。
同じように考えた人は多かったらしく、店の前には前回の試合時はほとんどなかった列ができていた。

でも、そこは普段、片道15分のフェリーの中で提供されているうどんだけあって、待ち時間はそれほどなかった。
味ももちろん、フェリーで食べるものと同じ。
しっかりした出汁がおいしくて、一滴残さずぺろりと食べ終えた。
フェリーの中だとそうはいかないけど、ついもう一杯食べようかと思うほどおいしかった。

やっぱり先制点が欲しい

スタジアム到着が遅かった分、試合開始まではあっという間だった。
うどんを食べ終えてバックスタンドに戻るとピッチ上ではすでに両チームの選手が練習をしていた。
それもすぐに終わって、マッチスポンサーのあいさつと選手紹介があって、再び選手たちがピッチに姿を現した。

入場してくる選手たちに向かってタオルマフラーを掲げながら、願うことはただ一つ。

今日こそ先制点を挙げてほしい。

ここまでの全3試合で、鹿児島ユナイテッドは相手チームに先制を許している。
相手と力が同じでも、上だったとしても、先制されるとどうしても試合展開は後手に回ってしまう。
そうすると、望んでいた結果がつかめないことが多い。
単純な力の差だけによる結果が出ないことがサッカーの面白さでもあるのはたしかだ。

でも自分が応援するチームに勝ってほしいと願うのは当たり前のこと。
だから先制点を取って、試合の主導権を握って、そして勝ってほしい。
タオルマフラーを握る手に力がこもった。

ゴールの先に

その瞬間が訪れたのは前半33分だった。
ペナルティーエリアの少し手前から五領選手が左足を振りぬいた。
グラウンダーのシュートはスリッピーなピッチを滑る。
それが幸いしたのだろう。
ボールはゴールキーパーの手をすり抜けてゴールネットを揺らした。

待ち望んでいた先制点に喜んでから、ふと疑問に思った。
なぜ右サイドの五領選手があの位置にいたのか。
シュートを打ったのは、ペナルティーエリア正面からやや左側。
ポジションからするとほぼ逆の位置にあたる。

セットプレーの流れでサイドの選手が位置を入れ替わることは珍しくはない。
このゴールは直前に獲得したフリーキックの流れからだからそういう見方もできる。
ただ、アシストしたのは左サイドの山本選手だった。
山本選手はポジション通り左サイドにいた。
だから五領選手の位置がイレギュラーだったのは間違いない。

その理由を考えていて、チーム立ち上げのときから走力をきたえると大嶽監督が言っていたことに思い当たった。
きっと去年のやり方で走る距離を伸ばすだけではなくて、走る質みたいなものを磨くということだったんだと思った。
だから右サイドの選手が左サイドまで走っていた。

単にJ2に昇格することを目指すだけではなくて、昇格してからも闘えるチームをつくるために必要なことなんだろう。
それが初めて結実したゴールだったんだと思う。

やりたいことをやりきるというのは、言葉にしてしまえば簡単だけれど、実際は難しい。
自分の仕事に置き換えてみると、目の前の仕事さえやっつけられればいいと、妥協してしまうことは多々ある。
こうすれば明日以降につながるかもしれないと思っても、面倒くさいからと手早い解決策に逃げてしまうことがないとは言えない。

戦術的なことは詳しくないから、もしかするとまったく的外れなことを書いているのかもしれない。
ただ、少なくとも僕はこの日の鹿児島ユナイテッドの戦い方を見て、やりたいことをやりきる勇気をもらった。

問題は次週からアウェー2連戦ということだけ。
チームが波に乗るきっかけみたいな試合だっただけに、しばらくスタジアムで見られないのが残念でならない。
DAZNで観戦するのは当然のこととして、次のホーム戦ではこの日以上の戦い方を見せてくれることを期待して待っていよう。

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