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国民の借金ではない国債を税金で払う??

1月23日の国会で岸田総理が「国債は政府の負債であり国民の借金ではありません」と、わざわざ明言しました。
しかし、続けて「国債の利払いや償還にあたっては税金等で国民の負担が必要」と言ったので、国民の借金じゃないのに国民が負担するのは何故?という素朴な疑問を抱く人が多いようです。

国債は、どんどん発行していっても問題ないのでしょうか。国債は借金ですが、借金が膨らんでいずれ国の財政が破綻するということはないのでしょうか。財務省は、このままでは基本的に破綻するという考えのようです。

その一方で、国債などいくら発行しても財政は破綻しない、破綻するというのは財務省のプロパガンダ、岸田総理は財務官僚の言いなりだ――という諸悪の根源は“ザイム真理教”にありという人も増えています。

本当にいくら国債を発行しても国家財政は破綻しないのか、これは難しい問題で、依拠する経済理論によって結論が分かれます。一種の神学論争のようなもので、しばらく、あるいは永遠に決着がつくことはないでしょう。
内国債はいくら発行しても大丈夫だから国債を発行して減税せよ、と言う政治家もいますが、本当に国の将来を考えているかは疑問です。選挙のことだけを考えている人が多いのではないでしょうか。

破綻するかどうかはさておき、国民の借金ではないのに将来の国民が利払いや償還をしなければならないのは、何故でしょうか。政府が国債の利払いや償還をするときは、新たに国債を発行するか、税金を徴収してそれで払うしかないからです。

国債は国民の資産で借金ではないからいくら発行しても大丈夫、という言説も一定の支持を得ています。しかし、国債は中央銀行と民間銀行が8割以上保有し、家計の保有は1%程度なので、国債は“一般国民の資産”とは言い難いと思います。将来的には、国民の税金で、一般国民ではない国債保有者に利払いや償還を行うことになります。

国債は永遠に借り換えていけばよいという論者もいますが、将来的に本当に何の弊害もないのか、おそらく誰にも分かりません。現在、予算に占める国債費(過去発行した国債の利払いと償還の費用など)の割合は22%ほどです。税金ではなく新たに国債を発行して国債費を賄っていくと、この割合は増えていかざるを得ません。そうすると、社会保障などの政策のための経費を減らすか、予算の総額(令和5年度予算で114兆円)をどんどん増やしていくしかなくなります。

このあたりの危機感を財務省は煽っているのでしょうが、煽り過ぎの面はあるにしても、財政危機がやってこないとも言い切れないのではないでしょうか。

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