スコッチウイスキーのスペイサイドの範囲
前の記事で、 The Scotch Whisky Regulations 2009 によるハイランドとローランドの境界についてまとめました。
スペイサイドに関しては以下のように定義されています。
このように、スペイサイドに関しては選挙区によって定義されています。(キャンベルタウンもこの定義です。)
2004年から2006年にかけて行われた第4回選挙制度見直しの報告書は下記にあり、 Appendex F に地図が描かれています。
また選挙区の GIS データは下記の "4th Review Wards 2007-2017" からダウンロードすることができます。
この選挙区データをもとにスペイサイドの範囲を図示すると次のようになります。
まず東部に関して、通常、バッキー地区のインチガワー蒸溜所、キース地区のグレンキース蒸溜所やストラスアイラ蒸溜所はスペイサイドとして取り扱われていますが、ノックドゥー蒸溜所はハイランドとして扱われていることもある蒸溜所です。実際、ノックドゥー蒸溜所のアンノックのラベルには HIGHLAND SINGLE MALT と記載されています。
スペイサイドもハイランドの一部であることから、このような表記が使われているのだと思われます。( The Scotch Whisky Regulations 2009 によりスペイサイド以外の地域の銘柄がスペイサイドと表記することは禁止されているが、その逆は問題ない)
次に南部ですが、 Badenoch and Strathspey 選挙区が意外に広く、スペイ川上流域のスペイサイド蒸溜所とダルウィニー蒸溜所も含みます。
一般的に見られるスコッチウイスキーの地図だとスペイサイドは縦長ではなく正方形に近い形状をしていることが多いかと思いますが、 Regulations 2009 の定義に従うとこのような形状となります。
いくつかの資料について記載を確認してみた結果をまとめてみると……
$$
\def\arraystretch{1.5}
\begin{array}{|l|c|c|c|} \hline
& \mathrm{\small ノックドゥー} & \mathrm{\small スペイサイド} & \mathrm{\small ダルウィニー} \\ \hline
\mathrm{\small オフィシャルボトル} & \mathrm{\small ハイランド} & \mathrm{\small 不明} & \mathrm{\small ハイランド} \\ \hline
\mathrm{\small 検定テキスト} & \mathrm{\small ハイランド} & \mathrm{\small ハイランド} & \mathrm{\small ハイランド} \\ \hline
\mathrm{\small シングルモルト大全} & \mathrm{\small ハイランド} & \mathrm{\small ハイランド} & \mathrm{\small ハイランド} \\ \hline
\mathrm{\small コンパニオン} & \mathrm{\small スペイサイド} & \mathrm{\small スペイサイド} & \mathrm{\small スペイサイド} \\ \hline
\mathrm{\small SWA} & \mathrm{\small スペイサイド} & \mathrm{\small スペイサイド} & \mathrm{\small ハイランド} \\ \hline
\mathrm{\small en.wikipedia (個別)} & \mathrm{\small スペイサイド} & \mathrm{\small スペイサイド} & \mathrm{\small スペイサイド} \\ \hline
\mathrm{\small en.wikipedia (リスト)} & \mathrm{\small スペイサイド} & \mathrm{\small スペイサイド} & \mathrm{\small ハイランド} \\ \hline
\end{array}
$$
『新版ウイスキー検定公式テキスト』(電子書籍版/底本:初版第1刷)
『[完全版]シングルモルトスコッチ大全』(初版第2刷)
『モルトウイスキー・コンパニオン』(改定第7版)
en.wikipedia
ウイスキーコニサーの上位資格だとどうなのかわかりませんが、あくまでウイスキー検定の勉強をするうえでは公式テキストに沿って覚えたほうがいいのだと思います。ただ、なんだかもやりますね。
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