タイトル後半戦

【本文公開】『バスケセンスが身につく88の発想』◆part最終回

「センスがある=天賦の才」は完全なる思い込み。誰でも実戦に活かせる「バスケセンス」は身につけることができる!

 3週にわたって連載してきたこの企画、第9回の今回が最終回となります。これまでお読みくださった皆様、ありがとうございました。
 最終回は、本書のサブタイトルにも名前のある“キング”こと「レブロン・ジェームズ」です。彼から学べる“明日から使えるセンスを高める方法”とは、どのようなものなのでしょうか。

 

【加速するスペースを作る】
——レブロン・ジェームズ


ピック&ロールによるアイソレーションの増加

 ピック&ロールは、スピードはあるが体格に劣るユーザーと、体格はいいがスピードはないスクリーナーというような組み合わせで行われるケースが多くあります。通常、マンツーマンディフェンスでは、能力に合わせたマッチアップを組むので、スピードはあるが体格に劣るユーザーには同様のプレーヤーが、体格はいいがスピードがないスクリーナーには同様のプレーヤーがマッチアップすることになります。
 このような組み合わせで行われるピック&ロールに対して、ディフェンス側がマークマンを交換する「スイッチ」で対応した場合、スピードがあるオフェンスのプレーヤーにスピードがないディフェンスのプレーヤーがつき、体格のいいオフェンスに体格で劣るディフェンスがマッチアップするミスマッチが起こります。これを利用するために、オフボールマンがボールマンから離れて、スペースを作って1on1をさせるアイソレーションを行います。ピック&ロールが盛んになり、アイソレーションをする機会が増えてきました。


加速してからの1on1

 NBA2018-19シーズンのロサンゼルス・レイカーズ対ミルウォーキー・バックスの一戦。レイカーズのスモールラインナップによりレブロン・ジェームズとブルック・ロペスのマッチアップができました。レブロンのオフェンス力とロペスのディフェンス力からするとアイソレーションが有効。レブロンがトップでボールを保持し、レイカーズのオフボールマン4人はコートの端に散らばり、レブロンが1on1をするスペースを作りました。お膳立てはすべて完了したかのように見えますが、レブロンは1on1を始めません。すると、レブロンはセンターラインあたりまで下がり、そこから一気に加速してロペスを抜き去ってフィニッシュしました。


加速するメリット

 敵のプレーヤーと対峙した状態でズレを作った場合、そこから加速してリングに向かう必要があります。ですから、ある程度の幅のズレがなければ再びディフェンスに対応されてしまいます。一方、加速した状態であれば、少しのズレさえできればディフェンスのプレーヤーがディフェンス位置を回復することは難しくなります。ファストブレイクの場面でスピードに乗って突っ込んでくるプレーヤーを止めるのが難しいのと同じこと。レブロンは、アイソレーションをより有利な状態にするために、加速するスペースを作ってから1on1を開始したのです。もし、ロペスがレブロンについてセンターライン側に上がってきたとしても、リングまでの距離が長くなるため、すぐに抜き切れなくても、リングに到達するまでにロペスを置き去りにできるわけです。



 最後まで読んでいただき、誠にありがとうございました。
 本書『バスケセンスが身につく88の発想』は、初心者を含めたすべてのバスケットボールプレーヤーやコーチ、保護者、そして観戦者(ファン)までを対象に、「制限」から解放された「自由」な発想をするためのヒントとして、世界のトップ選手が見せる“センスあふれるプレー”を解説。計88の思考&実践方法を紹介しています。
 じつはレブロン・ジェームズの“センスあふれるプレー”は、このほかに2点、取り上げています(以下の本書目次を参照)。気になる方は、ぜひ本書を手に取って読んでいただければと思います。

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実際の書籍目次

part1 【ジャンプ後のオプションを持つ】——マイケル・ジョーダン
part2 【ドリブルのリズムを変える】——比江島慎
part3 【テクニックの目的を新たに見いだす】——ジェームズ・ハーデン
part4 【パスコースを開通させる】——マジック・ジョンソン
special【イーブンナンバーを攻め切る】——ラッセル・ウエストブルック
part5 【軽く楽に放てる感覚】——ステフィン・カリー
part6 【得意なプレーを伸ばす】——ニック・ファジーカス
part7 【上半身を下半身で調整してショット】——コービー・ブライアント
part8 【新たなテクニックを創造する】——ジェイソン・ウィリアムス
最終回  【加速するスペースを作る】——レブロン・ジェームズ

購入の際は下記サイトより、ご確認ください。


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