競馬連載013

「まさに夏の総括! ってことか?」〜【第55回新潟記念】回顧〜

「先週の重賞を回顧してみた」
編集部Kによる重賞回顧。レースをあらゆる角度から読み、
独自の視点で語ってみる。次走狙いたい馬、危険な馬を指摘しつつ、
なんとなく役に立ちそうなコーナー。ときに自らの馬券の悔恨と反省も。
基本、競馬が終わった、ちょっと寂しい月曜日に掲載。


「まさに夏の総括! ってことか?」
【第55回新潟記念】回顧
2019年9月1日(日)3歳上、GⅢ、新潟芝2000m


 1着ユーキャンスマイル(金子真人HD)
   父キングカメハメハ(同上)
   母ムードインティゴ(同上)
 2着ジナンボー(金子真人HD)
   父ディープインパクト(同上)
   母アパパネ(同上)
   母父キングカメハメハ(同上)
   母母ソルティビッド(同上)

 あー、そうか、今年の夏はそうだよねといつものように終わってから理解する。
 
 2019年中央競馬の夏開催、その締めくくりがサマー2000シリーズ最終戦の新潟記念。この夏の話題といえば、ディープインパクトとキングカメハメハの死。先日、打ち合わせをした血統愛好家のライターさん、この夏はショックすぎて仕事が手につかないぐらいだったとか。
 
 この10年の競馬界を牽引した二大巨頭が相次いで命を落とした、2019年の夏はそんな夏だったとなるわけです。で、ですよ、新潟記念の1、2着がこの2頭で決まるんですから、競馬は不思議。あまりそういうところに素直になれないボクは当然ながら豪快に外しました。

 去年のブラストワンピースといい、どうもひねくれ者には冷たい新潟記念です。
 
 ユーキャンスマイルが2000mで重賞を勝つとは思いませんでした。3歳時に新潟内回りで条件戦を勝ち、菊花賞3着、万葉S2着、ダイヤモンドS1着、天皇賞(春)5着はダンスインザダークの呪い(菊花賞好走、春天凡走はダンスのお決まりパターン)だとしても、戦歴はコテコテのステイヤーですからね。新潟外回り2000mじゃ伸びきれないでしょうと。

 ところがです。金子真人オーナーの驚異的な馬運は恐ろしい。新潟記念がステイヤー向きの流れになるとは。

 前半1000m58秒6
 後半1000m58秒9

 新潟記念としては珍しい平均ペース。スローから究極の上がり勝負32秒台の脚を繰り出さなければ勝てないコースで、2018年は前後半59秒2-58秒3、後傾ラップ。馬場なのかブラックスピネルの流れなのかわかりませんが、あの直線の長いコースで前後半イーブンとなれば、問われるのは我慢強さやスタミナ。ユーキャンスマイルの上がり3ハロン33秒6は特筆すべき記録ではないが、上がり1位タイ。そういう競馬だったとしか言いようがありません。

 例年のような軽いレースであれば、天皇賞(秋)は? ですが、ユーキャンスマイルはちょっと要注意かもしれません。こういった平均的に持続力を問う流れになりやすいですから。

 反対にかわいそうだったのはカデナ。小回りの力がいる馬場で最後伸びて届かずというフラストレーションを新潟記念にぶつけるつもりが、まさかの似たようなラップ構成に。3着と充実具合を披露しましたが、スローのヨーイドンなら本領発揮だったでしょう。こちらは引き続き広いコースの上がり勝負という舞台設定で狙いたいんですが、充実期は長く続かないタイプですから、つくづく運がない敗戦でした。

 金子ブランドといわれますが、こうして自身が所有した母系のその子どもを所有し続ける、まるで我が子のように見守る馬主像は理想的ですし、なかなかできるものでもないでしょう。馬運の勝利というより、これは必然の結果でもあるわけです。
 
 ボクも金子オーナーに習い、自身が本命を打った馬を次のレースで見放すようなことをせず、ずーっと1頭の馬。1本の牝系を大切にしていきたいと思うんですがねぇ。連続で本命にしてやられるとすぐ評価を下げちゃうんですよねぇ。いやぁ我慢が足りません。

(編集部K)


ーーー

当編集部の所属する東邦出版では、毎月様々な書籍を出版中! 
競馬、プロレス、サッカー、実用書……多種多様なタイトルの詳しい内容
は下記公式tumblarよりご覧ください!


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?