競馬連載027

「エタリオウ改善計画」

「先週の重賞を回顧してみた」
編集部Kによる重賞回顧。レースをあらゆる角度から読み、
独自の視点で語ってみる。次走狙いたい馬、危険な馬を指摘しつつ、
なんとなく役に立ちそうなコーナー。ときに自らの馬券の悔恨と反省も。
基本、競馬が終わった、ちょっと寂しい月曜日に掲載。


【第54回京都大賞典】回顧
2019年10月6日(日)3歳上、GⅡ、京都芝2400m


 京都大賞典の17頭立ては珍しい。30年遡ってもこれだけの頭数で施行されたことはなく、もっとも多かったのは2017年スマートレイアーが勝った2017年の15頭で、今年はそれを上回る17頭立てで行われた。
 
 京都大賞典が少頭数になりがちな原因は最上位クラスが出走するのでチャンスが少ないと判断されるからで、その意味においても今年は最上位クラスは不在だったといえる。
 1番人気グローリーヴェイズは天皇賞(春)でフィエールマンの2着だったが、GⅠ実績はそれぐらいで、重賞タイトルは真冬の日経新春杯のみでまだまだこれからという馬。
 対抗格のエタリオウはご存知、最強の1勝馬。2歳10月に未勝利を勝って以来1着がない。GⅠ2着1回、GⅡ2着3回と歯がゆい。

 レースはダンビュライトが残り800mからペースをあげる現在の日本競馬のトレンドともいえるロングスパートを仕掛け、それにインで対応したドレッドノータスが抜け出し、ダンビュライトを捕らえて勝利。その3列後ろにいたグローリーヴェイズは勝負所のくだり坂で押しくら饅頭状態になって伸びを欠いた。ダンビュライトとドレッドノータスの攻める姿勢が人気薄激走を呼び込んだわけだが、やはりエタリオウが気になってしまう。

 もういい加減、勝たなければローテーションが組めなくなってしまう。そんなことよりとにかく歯がゆくてしょうがない。
 3歳春の青葉賞でスムーズさを欠きながら、最後までしぶとく脚を伸ばして2着を確保したときにその大器の片鱗を披露した馬がここまで未勝利なのかなぜなんだ。

 それも父ステイゴールドと聞かされれば納得するだろうか。確かにまさにそっくりな戦績。おまけにどうも先に抜け出すとソラを使う癖までそっくり。ステイゴールド党はいまエタリオウから目が離せない。

 ステイゴールドにならうのであれば、エタリオウをどう改善すればいいのだろうか。クセ馬請負人の横山典弘騎手にはすでにスイッチした。乗り替わった途端に先行策をとるなど技を披露する典弘騎手もこの2戦は待機策を選択。今回も正直、まだ勝負に加われないと判断したかのようだった。馬の状態に応じて戦法を選ぶ騎手だけに今後、どこでどういう作戦に出るのか気になるところだ。

 ただ、抜け出すとソラを使うエタリオウで先行策はかなり難しそうだ。ではどうすればいいんだ。このままでは主な勝ち鞍2歳未勝利というありがたくない称号のままになってしまう。ステイゴールドは武豊騎手が乗って目黒記念を勝ったし、引退レースの香港ヴァーズでGⅠタイトルを手にしたのも同じだった。武豊騎手を乗せればいいのか。いやそうじゃない。やっぱりこの血統は環境なんだ。環境によって馬が変わる。ステイゴールドはとにかく海外競馬に強かった。聞くところによると、海外に行くと調教しやすくなったらしい。
 
 そうだ、ブラストワンピースもフィエールマンもキセキもいいけど、エタリオウこそ遠征に出してみたらどうだろうか。でも待て、主な勝ち鞍2歳未勝利ではたして海外GⅠレースに出走できるんだろうか。やっぱりGⅠタイトルは海外でというなら、余計のこと国内重賞タイトルは手にしなきゃいけないんじゃないか。

 ああ悩ましいぞ、エタリオウ。
 この秋の憂鬱、エタリオウの京都大賞典はそれをさらに深める結果となってしまった。

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