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【岩手の掘り起こし】バイオ炭でCO2防ぐ

 温室効果ガスの排出量を実質ゼロにする「カーボンニュートラル」に貢献しようと、岩手県久慈市山形町の谷地林業は「バイオ炭」の製造に乗り出した。
 「これだけで山の環境問題が解決するわけではないが、できる事から取り組みたい」。山あいの作業場で、谷地譲代表取締役(50)はチップ状の黒いものを手に、思いを語った。
 丸太を切り出す際に払った枝は現場に放置されがち。腐って分解されると、二酸化炭素(CO2)を放出する。炭化させることで発生を防ぐのがバイオ炭だ。
 同社は7月、生産炉を4基導入した。枝をチップにして炉内に納め、下から火をたいて酸素量を調節する。燃料用の木炭は完成まで約1カ月要するのに対し、バイオ炭は2日ほど。
 土壌に投入すると、空気や水分が保たれる効果が見込まれる。当面の生産目標は年30~40トン。実用化を目指し、地元農家と連携して効果を裏付けるデータを集めている。
 1916(大正5)年創業の同社は木炭のフランス輸出を始めるなど、伝統技術の新たな可能性を追求する。谷地代表取締役は「これまで林業と農業の間であまり連携がなかった。品質の良い農作物ができるようになれば、ウィンウィンになる」と展望を描く。(岩手日報社)

黒いチップ状のバイオ炭を手にする谷地さん。CO2の排出抑制効果が期待される=2023年10月、岩手県久慈市山形町


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