曽木 達|kaigo×kaigo ツナガル代表

介護福祉士 介護支援専門員 / kaigo×kaigo ツナガル代表(非営利団体) …

曽木 達|kaigo×kaigo ツナガル代表

介護福祉士 介護支援専門員 / kaigo×kaigo ツナガル代表(非営利団体) / kaigo×kaigo ツナガルは、介護に関わる人たちを対話で繋げていく団体です。参加者全員が話して聞くイベントを開催しています。

最近の記事

「幸せ」を目指すのは、現実論なわけ

自分が所長を務める介護事業所において、2つの目的を置いている。 1.全員にとって居心地が良い場にすること 2.より良い人間関係を構築すること ようするに「みんなが幸せに過ごせるようにしよう」ということ。 こういうことを言うと、どうしても「理想論だ」とか「抽象的だ」とか思われやすい。「幸せって人によって違うよね」みたいな話で、イメージがばらついてしまうことで、規則を守ることや具体的な業務指示を守ることのほうがどうしてもフォーカスされてしまう。 でも、それでも「幸せ」を目指す

    • 介護は本当に人間関係が悪いのか

      「介護は人間関係が悪い」 今まで何度聞いたかわからないくらい聞いてきた話で、離職者の理由でも上位に入っています。 でも、そもそもなんで人間関係が悪くなるのでしょうか。 介護には性格が悪い人が多く集まってくる理由でもあるのでしょうか。 そんなわけないですよね。 そもそも人は良いところも悪いところも誰しも必ずあるもので、人間関係が上手くいっている集団というのは、一人ひとりの良いところがうまく出せている状況にある集団です。 逆に言えば「人間関係が悪い」ということは、一人ひとりの

      • 介護で「相手が嫌なことはしない」ことが大切である本当の意味

        「相手が嫌なことをしない」 これは介護の要諦ですが、この考えを聞いたとき、ほとんどの人は「人対人」での行為を思い浮かべるのではないでしょうか。 例えば言葉遣い。言葉選び。相手が不快になるような言葉を選ばない。 例えば身体介助での関わり方。不安を与えたり、痛かったりしない、丁寧な介助。 なので、言葉も行為も荒い介護職員はダメな職員と言われやすいし、それらが丁寧な職員は良い介護職員と思われやすい。 これは何も間違ってはいないし、妥当でもあると思います。 でも、人が嫌な思いをす

        • 右から左へ決める介護の末路

          介護現場では、介護を「方法」から考えてしまう習慣が本当に根強くあります。 新規利用者さんが来ると聞けば「大変な人ですか?」「認知症は?」「自立ですか?」となるし、退院してくる人がいれば「どんな状態ですか?」「排泄は?」「食事は常食?」となってしまいがち。 それを確認するのが間違えなわけではないのです。それはそれで必要な情報ですから。その情報を得て、自分たちが介助する方法から考えて生活の枠を作って、自分たちのリソースが余った分だけちょっと優しくお話ししたり、本人が好きなことを

        「幸せ」を目指すのは、現実論なわけ

          自滅介護

          施設介護において、認知症がある利用者さんが、他の利用者に迷惑をかけるケースは実際にあるけども、そういった利用者さんに対してその行為を正そうと注意やお説教をする介護職は少なくない。 が、これは本当に何のプラスもないけどマイナスはたくさんある行為だということを、介護職は自分のためにわからないといけない。 日々の仕事の中で「また迷惑をかけそうだ」という風に感じたときこそ、迷惑をかけさせないことではなく、まずその目の前の「迷惑をかけてしまいそうな利用者さん」のケアを考えるのが大事な

          上手くいってないところは、それを認めるところからがスタート

          「プロの介護職なんだからちゃんとやってよ」 「最低限のことはやってくれないと」 とか言いたがるベテランさんとかいるけども。そんな言葉でみんなやるなら苦労しないのよね。 やらないのは悪ではなくて、やらないのは損。やった方が得。 どうやってそれをわかってもらうか。 やる気がない人を、どうやってやった方が自分こそが得なんだと教えて底上げしていくかがポイントだよ。 正論は、伝わる土壌がないと伝わらないのです。 「きちんとやらないと!」でやる人はいいんだ。 でも、たくさん上手くいっ

          上手くいってないところは、それを認めるところからがスタート

          スピード自慢の介護職員さんたちは、なぜそうまで速さに拘るのか

          速く起こして速く食べさせて速く寝かせて速くオムツを替えられる。 人員不足に悩む多くの施設では、スピードがある職員は重宝されやすい。なぜなら時間がつくれるからだ。 ただ速いだけではなく、先を読み、仕事の順番を決め、無駄なくタスクを処理していく。 やっている人も、予定通りに進めば気分が良い。 ”ほら予定通り””自分は仕事ができる”と自分も気持ちが良い上に、他の職員から頼りにされるなら言うことなしだ。 ちなみに私ももともとこのタイプだった。 がしかし。 この「予定通りのタスク処

          スピード自慢の介護職員さんたちは、なぜそうまで速さに拘るのか

          現場の現実論としての自立支援と認知症ケア

          自立支援や認知症ケア。 介護の仕事で「良い」と言われるものは、多くの施設の現場職員からすると、ハードルが高く感じてしまう。 人が足りない。時間が足りない。認知症ケアなんてのんびりやってる場合じゃない。 10年以上特養の現場で働き、10人以上を同時に食介したり、30床以上を一人夜勤で見ていた経験もあるので、よくよくわかる。 当時は10分の時間をどう作り出すかがテーマだと思っていた。余裕がない現場は、本当に余裕がない。 それでも。 それでもだ。 やっぱり、自立支援も認知症ケア

          現場の現実論としての自立支援と認知症ケア

          それは職員都合の介護だよ、と注意すれば良いというわけじゃない、というお話し

          先日、施設介護の中で、利用者さんに早く寝て欲しいからと早い時間に電気を消してしまう職員さんについてのお話しを書いて、たくさんの反響をいただいたので、今日はこの話の続き。 認知症の影響などでなかなか眠らない利用者さんを眠らせるために電気を消す、という行為は成果が出ない上に、成果が出ないことで自分もイライラしてしまうマイナス行為でしかないよ、という話しを書いたのだけど。 これはあくまでも認知症の方や夜勤を題材にした例え話しで。 認知症ケアは「眠らない」という行動ではなく「なぜ

          それは職員都合の介護だよ、と注意すれば良いというわけじゃない、というお話し

          夜勤のとき早く電気を消してしまう職員の話し

          施設の介護において、例えば、利用者さんに早く寝て欲しいからとフロアの電気を早く消してしまう職員はよくいる。 ケアとは言えない、ただの雑なアクションなんだけど。 でも電気を消しても認知症の影響で寝ない人は必ずいる。つまり成果が出ない。 自分の「早く全員寝て欲しい」という願望を「電気を消す」というラクな行為で達成しようとしているわけだけど、上手くいかないから、結局自分がイライラすることになる。 でも、やっている方は「夜は寝るのが正しい(という建前で、寝てくれないと自分がめんどく

          夜勤のとき早く電気を消してしまう職員の話し

          介護職のモチベーション

          つい最近、Twitterで「介護職の人に質問です。何をモチベーションにしていますか?」という投稿を見た。 そんなのはなくて、ただ業務をこなして早く帰りたいという人もいれば、昇進という人もいた。 内発的、外発的のどちらにしても、人それぞれいろんな意見はあるよね。 私は、あらゆる仕事の基本的な動機付けは「幸せに生きる願望」だと思っている。だから、幸せに生きやすい社会をつくりたい。そのための良い仕事でありたい、その中に身を置きたい、というね。 今の時代、福祉の仕事に限らずだけ

          介護職のモチベーション

          介護事業所のマネジメントについてのお話し

          今回の記事は、厚労省の補助事業として株式会社シルバーウッドが主催している「マネジメントスタンダードプログラム for kaigo」を受講中の私が、第4日目を終えて書いた感想をこちらに転記したものです。 ご理解の上お読みください。 **************************************** MSP-k4日目終了。 昨日に続いてマネジメントの理論とグループワーク。 実際に介護現場で起こっているようなケースに対して、原因や課題解決の方法を話し合いました。

          介護事業所のマネジメントについてのお話し

          高齢者施設における新コロナウィルス対策についてのアンケート結果

          ①「高齢者施設職員に対するアンケート」4/26より、Twitterにて「高齢者施設職員に対するアンケート」を48時間に於いて実施しました。 業界内で横の連携がまだまだ少ない入所施設において、自分の職場以外の情報はなかなか入ってきづらいことかと思います。 他所の介護職はどう思ってコロナ禍の中のケアに当たっているのか、また、管理側の立場にいる方は、現場職員がどういう気持ちで日々の業務に向かっているのか、そういったことを知るために、小さなアンケートではありますが一つの参考になればと

          高齢者施設における新コロナウィルス対策についてのアンケート結果

          介護系イベントを開催したい方へ②(kaigo×kaigo ツナガルをモデルに)

          ①を読んでいただいた方、ありがとうございます。 お待たせいたしました、続きです。 ①を読んでいない方は、先にそちらを読んでからの方がわかりやすいのかなと思います。←文頭の①からリンクで飛びます。 ①では主にイベントの立ち上げ方、会場の借り方、告知や参加費など条件設定について書かせてもらいました。 今回は内容について書きたいと思います。 ただ、決して①から②へ順番に準備しないといけないわけではありません。全く内容を考えずにイベントをやろうと思う人もそんなにいないと思うので、

          介護系イベントを開催したい方へ②(kaigo×kaigo ツナガルをモデルに)

          介護系イベントを開催したい方へ①(kaigo×kaigo ツナガルをモデルに)

          kaigo×kaigo ツナガル代表の曽木です。 今回は私が代表を務めるツナガルを例に、イベント開催の手順や注意点等を書いてみます。 私自身、たいした経験があるわけでもないですが、あまり経験を重ねると最初の頃のことを忘れてしまいそうなので、いまのうちに書いておきます(笑 ①まず初めにまずツナガルは、任意団体です。任意団体とは何か?等はGoogle先生を頼ってください。 勿論個人でもイベントを開催することはできます。 ですが、私は先に団体の設立をした上でイベントを開催する

          介護系イベントを開催したい方へ①(kaigo×kaigo ツナガルをモデルに)

          「悪者を消す」ことで得る自己肯定感の危うさ

          こういうツイートは伸びないとわかってはいるんだけど(笑 4人の教師が同僚教師をいじめていた事件について、世論の反応はとても厳しく。 「いじめじゃない。傷害事件だ」 「絶対に許されるべきじゃない」 「厳罰に処されるべきだ」 等々。多くの批判的な声がネット上に飛んでいた。 ある意味当然だと思う。あまりにひどい事件だし、被害者の方には本当に同乗する。 加害者は法で相応に裁かれるだろう。 罪を憎む気持ちはもちろん私にもある。 でも、ネットでの反応を見ていると、だんだんと違う感

          「悪者を消す」ことで得る自己肯定感の危うさ