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テーマは「足るを知る」。

初めまして。僕は、ファクトリーブランド「toiro knitwear(トイロ)」の商品開発を担当している小林と申します。ヘッダ画像の右側。白い髪の40代男性です。

商品開発だけでなく、ブランディングや広報も担当していて。POP UP STOREが開催されれば、販売員として店頭にも立ちます。通販サイトの更新や発送作業もしてます。つまり、工場での生産以外のほとんどの業務を担当してます。

なぜ、一人で全部、やっているのか。この疑問については、今後、別の記事でご紹介しますが、toiroは、日本でも屈指のファクトリー「高橋ニット」の社内ベンチャー的な役割を負った、利潤とは別の目的を追求する「小さな取り組み」なのだとご理解ください。

今年も新作をリリースして大豊作です。是非、よろしくお願いします。

https://www.toiro.tv/

なぜ、ものが売れない、この時代にあって、わざわざニットを作って売っているのか。そもそも今、新しい服が必要なのか。毎年、作る必要なんてあるのか。この問いかけは、とても重要で。定期的に自分なりの、もしくは、自分だけの答えを出していくことは、服飾業に携わる上で避けて通れない思考だと思ってます。

それについて、現段階での「答え」を自分の言葉で書いてみました。長くなりますが、よかったら読んでみてください。

足るを知る。

足るを知るは富む。満足することを知っている者こそが精神的に豊かで、幸福である。そんな意味の言葉です。でも、実際のところ、こんな悟りの境地に達するのは無理なんじゃないか、とも思います。だって、欲求に際限はないわけで。

「やっぱり、あれ欲しいなあ」「おっ、これも買っておこうか」「今、安いなら、一応、買おうか」。

こういった感情の動きは、誰にでもあって。小さな子どもだけじゃなくて、どんな経験を積んだご年配の方にとっても、少なからず、そういう気持ちはあるはず。正直に生きることを、誰が責められるでしょうか。だって、欲求を満たすことって、気持ちいいじゃないですか。事実、僕らは幸せになるために生きてるんだし。

ただ、それにしたって、今は、無駄なもの、不要なものが多過ぎると思うんです。クローゼットには服が溢れて、玄関には靴が溢れて。なんて書いている僕のデスクの上には、溜まった仕事が、書類が、メモが溢れています。自分を律することが出来ないと、モノは際限なく溢れていきます。

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僕らが、あまりにモノを求め過ぎるから、便利な社会は、それに十分に応えて。あまりに大量に生産して。あまりに早く消費する。

スーパーマーケットに行くと圧倒されることはありませんか。普段は麻痺して気づかないんですけど、クリスマスや節分の日に、ふと気づく。あまりに多くの食料が置かれていて「この中で、どれだけが売れ残って。そして、捨てられるのか」って思うと、あまりの物量に圧倒されて、半ば呆れて、そして、最後には思考を閉じる。

農家が、酪農家が、配達業者が、スーパーの従業員さんが、それぞれの手を経て、店頭に並んだはずなのに。このうちの何割かは、きっと捨てられる。おそらく、多分。

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だから大量に作りたくない。

私たちtoiroは「大量生産・大量消費のゲーム」には参加しません。品質と価格のバランスを適正に保つために、余剰在庫を抱えることなく、毎シーズン完売を目指します。

そのために、通常の流通に乗せることなく、委託販売はしてません。工場直販だけで完売を果たす。この目標は、今のところ、ほぼ達成してます。だって、それほど大量には作ってませんから。

あえて、全国流通に乗せず、少ないスタッフの小さなブランドとして、安心価格で提供し続ける。それを継続することで、少しずつ、少しずつ、いろんな場所で、いろんなファッションを楽しむ人たちが(国産ニットって良いよね)(少し高いけど、それだけの価値があるし)と思ってもらうため、毎シーズン、心を込めてニットを作る。

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生産現場も知ってもらいたい。

国産ニットの工場は、今も驚くくらい手作りの工程が多く、割に合わないほど細かい作業で、熟練のニット職人たちが作ってます。

生産工場である高橋ニットの現場は「熟練のニット職人」という文字面とは、かけ離れたイメージの「定食屋のお母さん」のような女性たちが主力となって作っています。言うなれば、僕のオフクロくらいの年齢層の女性たちの手から生まれているんですけど、それでも間違いなく職人。恐ろしく正確で、丁寧。

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この仕事の対価として得たお金で、おばちゃんたちの息子さんは、高校に進学したり、部活のスパイクを買ったり、塾に行ってるんだもんなあ、と考えたら、すごくニットが身近に感じませんか。

ニットに限らず、すべての洋服は「誰かの手を経て作られた商品」です。そこには、職人たちが長年に渡って培われた「技術」、そのために捧げられた「時間」が詰め込まれています。そうやって生まれた製品が3000円や5000円のはずがないんです。生産工場から直接、出荷しても、どうしたって1万円代後半。2万円くらいが限界。

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toiroが感じてほしいもの。

私たちtoiroは、これくらいの品質で。これくらいの価格帯で。これくらいの数量を生産して。これくらいの人たちの目に触れて。これくらいの幸せを感じてもらう。

僕は、その「これくらい」の丁度いいバランスを知っているブランドを作りたいと思ってます。ほんの少しだけ、日常に彩りを添える「あなたにとっての定番のニット」を何年かに一着ずつ買い足していくようなブランド。

そうやった買った一着は、5年も10年も、愛着を持って着続けられる。そう信じているし、それに見合う「品質」を目指しています。

買ってもらわなくてもいいんです。まずは、知ってもらいたい。新潟県五泉市の工場直販ブランド「toiro(トイロ)」をお見知りおきください。

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