見出し画像

トップと2番手の本音

「昴よ希望の星よ…」
公演を観た後から頭の中を流れている。何だか落ち込んだ時でも口ずさみたくなる一曲。
先日、宝塚大劇場にて雪組公演「蒼穹の昴」が千秋楽を迎えた。長編小説の舞台化という事で、小説を読んで観劇に挑む。文庫本で4冊もある作品をどう3時間に収めるのか。そこから興味も湧くし、また色んな登場人物のドラマがある中で何処に焦点を当てるのか…といった所も私としては見所であった。
観劇してやはり印象的だったのは、主人公文秀と2番手の春児との家族に近い友情関係である。今回の友情は雪組トップの彩風咲奈さんと2番手の朝美絢さんによって演じられた。こうした男役同士の友情を表現する作品は宝塚歌劇でも多いと思う。
「演じる」とは、「その人そのものが出る」という様に、そのタカラジェンヌの思考や価値観・好みやその日の心の状態に至るまで様々な内面が見え隠れするものだと思っているが、「友情」を表現する時、男役同士の独特な絆や火花が見える事がある。

トップと2番手というのは、どんな組でも非常に緊張感のある危うい関係性であると思う。ある上級生に「仲が悪い方が組が盛り上がる」と言われた事もあって、「それは良いのだろうか?」と微妙な気持ちになった事があるがこれは悪い意味だけではなく、要するにお互いに闘争心が埋まれるため、火花が散る事でエネルギーになり舞台が盛り上がる事という意味だと思う。若さ故…また、仲が良すぎて周りが見えず、組子との距離感が出来てしまう事もある。特に女性同士で有れば敏感に感じる所である。トップと2番手との相性は相手役を決める事と同じ位大変重要である。
しかし、仲が悪かった人に限って退団した後、仲良くなっていたりするから不思議だなあと思う事もある(笑)。「友情とは時間だ」とある上級生が言っていた。例え一時期分かり合えない時があっても、時間をかけて強く繋がる事もある。
ヤンミキとかオサアサとかマサミリとか、ペアで語られる事はファンもその組み合わせに魅力を感じているからで、2人で並んだり、ちょっとからかい合ったりしている姿にファンは楽しい想像を膨らませる様なコンビが良いのだと思う。
どんな組み合わせになるのかは「運と巡り合わせ」しか言いようがないが、そこでそういった関係になれる事は奇跡に近い出会いだと思う。

今回の、アヤアサ(?!)コンビ。お互いが芝居にのめり込み清々しい涙の友情。毒が無くてスッキリとしている。彩風さんは私が現役時代から、いつも夜遅くまで一人でお稽古をしている様な人で、早くから抜擢続きだったからか、少し遠慮がちに挨拶をして来られるような印象がある。舞台に立つと「俺様!!」になるのが魅力だなぁと思う。一人で黙々と発声し、公演の台詞や振りを繰り返してお稽古している様子はなんだか文秀の一途さと重なり合う。アーサーは言わずもがな、直ぐに人の好い所を見つけリスペクトし、真っすぐで曇りなくぶつかる人である。正に春児そのもの。そんな二人の友情物語。清々しいに決まっている。邪念なく物語の世界に運んでくれた。

ホテルにいたら突然のMS中止の発表…気落ちしてるファンの皆様。お知らせのお電話で泣いていた方もいらっしゃったとか…どんな辛い事があっても泣かないと決めた「玲玲」の笑顔が曇ることなく輝きます様に。
涙を見せないって大変な事だ…

すーさん

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?