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パイオニア環境分析のつもり(5/21~25)廻る、巡る、そのメタへ

■はじめに

 こんばんは。無理やりこじつけたタイトルの元ネタが分かる方とはきっといい酒が飲めると思います。(参考:この記事を書いているのは夜)

 結果から先に述べますが、前回記事でジェスカイファイアーズがTier1になりましたが、三日天下に終わりました。今回はコンボが台頭、そしてコンボメタのアグロが息を吹き返しました。ミッドレンジ・コンボ・コントロール・アグロがしのぎを削るメタ循環期に入っています。詳しく内容を見ていこうと思います。

※アーキタイプ表記について※
 詳しくは後述しますが、相棒採用の有無が分かるように、一部アーキタイプで相棒の名前を入れました。
(相棒あり)Yorion Inverter / Yorion Fires
(相棒なし)Dimir Inverter / Jeskai Fires

▼Pioneer Super Qualifier 05/21

7-X
Azorius Control(優勝)
Boros Aggro(準優勝)
Yorion Inverter
Yorion Inverter
Jeskai Fires
Lotus Breach
 
6-X
Azorius Control
Orzhov Aura
Boros Aggro
Boros Heroic(TOP8)
Boros Heroic
Boros Heroic
Boros Heroic
Dimir Inverter
Yorion Inverter
Yorion Inverter
Simic Gyruda
Simic Gyruda
Ensoul
Yorion Fires
Grixis Control
Niv-to-Light(TOP8)
Lotus Breach

▼Pioneer Super Qualifier 05/23

8-X
Simic Gyruda(優勝)
 
7-X
Dimir Inverter(準優勝)
Jeskai Fires
Dimir Inverter
Dimir Inverter
Yorion Fires
Azorius Control
 
6-X
Azorius Control
Azorius Control
Boros Aggro(TOP8)
Boros Aggro
Boros Aggro
Boros Aggro
Dimir Inverter
Dimir Inverter
Dimir Inverter
Dimir Inverter
Simic Gyruda
Ensoul
Ensoul
Yorion Fires
Yorion Fires
Sultai Delirium
Lotus Breach

▼Pioneer Challenge 05/24

7-X
Ensoul(優勝)
 
6-X
Azorius Control
Boros Aggro
Simic Gyruda(準優勝)
Jeskai Fires
Niv-to-Light
 
5-X
Azorius Control(TOP8)
Azorius Control
Boros Aggro
Boros Aggro
Boros Aggro
Dimir Inverter
Dimir Inverter
Simic Gyruda
Ensoul
Esper Control(TOP8)
Sultai Delirium
Niv-to-Light
Lotus Breach

▼Pioneer Challenge 05/25

7-X
Esper Control(優勝)
 
6-X
Azorius Control(準優勝)
Azorius Control
Boros Aggro
Boros Aggro
 
5-X
Boros Aggro(TOP8)
Boros Aggro(TOP8)
Boros Aggro
Boros Aggro
Boros Aggro
Dimir Inverter
Dimir Inverter
Ensoul(TOP8)
Ensoul
Lotus Breach
Lotus Breach
Lotus Breach

■メタゲームブレイクダウン

 というわけでいつものメタ分布です。

画像1

 コンボ勢がヨーリオン(主にファイアーズ)を駆逐、ルールスとの三つ巴の争いになりました。《ヨーリオン》に対抗する術はひとつ、速度勝負です。コンボ達成の早いロータスブリーチやシミックジャイルーダに加え、ディミーアインバーターもコンボ特化型として復活(後述)。アグロ勢の元気が落ちている間に勝利をかっさらいました。なお、コンボ隆盛を受けて、集計期間後半は再び《大歓楽の幻霊》擁するボロスアグロの率が伸びています。

 というわけで、一気に「速度勝負」のメタゲームが戻ってきました。

■注目の出来事:ディミーアインバーター、60枚型に戻る

 しばらく80枚構築だったディミーアインバーターですが、再び60枚型が主流になりました。最初にディミーアインバーターに《ヨーリオン》を採用したkanister氏のコメントです(5/21付、彼のTwitterより)。

(意訳)今(のメタ)ならコンボ一直線の方がいいので、60枚構築に戻して戦う方が多くなった。60枚型とヨーリオン型はそもそもゲームプランが違って、コンボ中心の攻めのほうが今は効果的なんだ――ジェスカイファイアーズなんかは、ヨーリオン型相手なら《ギデオン》を探すのに十分な時間があると感じている、そう思う。
(意訳)アグロデッキに対しては、5ターンキルができれば理想的で、それ狙いなら60枚構築の方が確率は高い。問題は、アグロデッキにも色々あるから、全般的に効果のあるカードをデッキ内に用意するのが難しいこと。《野望の試練》+《ヨーリオン》なら、どのアグロにも裏目はないんだけどね。どっちがいいやら。

 もう一度メタゲーム分布の画像に戻ってみてください。どちらが主流になったかは数字が語っています。kanister氏の影響力の高さが伺えますね。

■余談・トレンド:パイオニアの相棒フェイク(?)

 スタンダードでは「赤単ヨーリオン」や「白単オボシュ」なるデッキが公式で紹介されました。パイオニアでも、筆者がデッキリストを見かけた中では

・ロータスブリーチ +ルールス
 ※《死の国からの脱出》をリキャスト可能。ただし、《砂時計の侍臣》が採用できない
 
・ボロスアグロ 相棒なし
 
・アゾリウスコントロール +ルールス
 ※《願いのフェイ》でフィニッシャーを呼び出す戦略。各種エンチャントがメインに採用不可
 
・アゾリウスコントロール 相棒なし

 なんていうのもありました。BO3なのでどこまで効果的か分かりませんが、参考までに。

※デッキリストをご覧になりたい方は、ぜひコメントで教えてください。

■注目デッキ:ルールス魂込め

CHEFEN (12TH PLACE)
PIONEER SUPER QUALIFIER 12155945 ON 05/20/2020
 
creature (22)
4《羽ばたき飛行機械/Ornithopter》
4《ジンジャーブルート/Gingerbrute》
2《ギラプールの希望/Hope of Ghirapur》
4《模範的な造り手/Toolcraft Exemplar》
2《屑鉄場のたかり屋/Scrapheap Scrounger》
4《石とぐろの海蛇/Stonecoil Serpent》
2《搭載歩行機械/Hangarback Walker》
 
instant (4)
4《爆片破/Shrapnel Blast》
 
artifact (8)
4《幽霊火の刃/Ghostfire Blade》
4《バネ葉の太鼓/Springleaf Drum》
 
enchantment (6)
2《きらきらするすべて/All That Glitters》
4《アーティファクトの魂込め/Ensoul Artifact》
 
land (20)
1《霊気拠点/Aether Hub》
4《ダークスティールの城塞/Darksteel Citadel》
3《神聖なる泉/Hallowed Fountain》
4《マナの合流点/Mana Confluence》
2《変わり谷/Mutavault》
1《平地/Plains》
1《聖なる鋳造所/Sacred Foundry》

4《産業の塔/Spire of Industry》
 
sideboard (15)
1《夢の巣のルールス/Lurrus of the Dream-Den》
1《一心同体/Fight as One》
3《ガラスの棺/Glass Casket》
3《希望の光/Light of Hope》
1《影槍/Shadowspear》
3《魂標ランタン/Soul-Guide Lantern》
3《頑固な否認/Stubborn Denial》
SMDSTER (1ST PLACE)
PIONEER CHALLENGE 12159780 ON 05/23/2020
 
creature (22)
4《ボーマットの急使/Bomat Courier》
4《ジンジャーブルート/Gingerbrute》
2《ギラプールの希望/Hope of Ghirapur》
4《石とぐろの海蛇/Stonecoil Serpent》
4《スレイベンの検査官/Thraben Inspector》
4《模範的な造り手/Toolcraft Exemplar》

 
instant (3)
3《頑固な否認/Stubborn Denial》
 
artifact (4)
4《幽霊火の刃/Ghostfire Blade》
 
enchantment (8)
4《きらきらするすべて/All That Glitters》
4《アーティファクトの魂込め/Ensoul Artifact》
 
land (23)
4《ダークスティールの城塞/Darksteel Citadel》
4《神聖なる泉/Hallowed Fountain》
4《マナの合流点/Mana Confluence》
4《変わり谷/Mutavault》
2《平地/Plains》
4《産業の塔/Spire of Industry》
1《尖塔断の運河/Spirebluff Canal》
 
sideboard (15)
1《夢の巣のルールス/Lurrus of the Dream-Den》
1《頑固な否認/Stubborn Denial》
3《軽蔑的な一撃/Disdainful Stroke》
2《異端の輝き/Glare of Heresy》
3《ガラスの棺/Glass Casket》
3《疎外/Isolate》
2《トーモッドの墓所/Tormod's Crypt》

CURTISAXEL (15TH PLACE)
PIONEER SUPER QUALIFIER 12159745 ON 05/22/2020
 
creature (27)
4《ボーマットの急使/Bomat Courier》
4《ジンジャーブルート/Gingerbrute》
2《ギラプールの希望/Hope of Ghirapur》
4《アクロスの英雄、キテオン/Kytheon, Hero of Akros》
4《石とぐろの海蛇/Stonecoil Serpent》
2《高名な弁護士、トミク/Tomik, Distinguished Advokist》
4《模範的な造り手/Toolcraft Exemplar》
3《鐘突きのズルゴ/Zurgo Bellstriker》

 
instant (5)
1《金属の叱責/Metallic Rebuke》
4《爆片破/Shrapnel Blast》
 
artifact (5)
4《モックス・アンバー/Mox Amber》
1《影槍/Shadowspear》
 
enchantment (4)
4《アーティファクトの魂込め/Ensoul Artifact》
 
land (19)
4《神聖なる泉/Hallowed Fountain》
4《感動的な眺望所/Inspiring Vantage》
3《マナの合流点/Mana Confluence》
1《平地/Plains》
4《聖なる鋳造所/Sacred Foundry》

3《産業の塔/Spire of Industry》

sideboard (15)
1《夢の巣のルールス/Lurrus of the Dream-Den》
1《影槍/Shadowspear》
2《軽蔑的な一撃/Disdainful Stroke》
1《ガラスの棺/Glass Casket》
3《疎外/Isolate》
1《カーリ・ゼヴの巧技/Kari Zev's Expertise》
2《神秘の論争/Mystical Dispute》
2《魂標ランタン/Soul-Guide Lantern》
2《乱撃斬/Wild Slash》

 速度勝負のメタになると必ず登場するのが、《アーティファクトの魂込め》デッキ《夢の巣のルールス》で《魂込め》をリキャストできるようになり、地味に強化されています。
 ただし、元々イゼットカラーのデッキが主流なので、《ルールス》を使用するためには色を足す必要がありました。幸い、アーティファクトが多くマナベースに負担がかかりづらい上、《産業の塔》という専用の5色土地が使えるため、色のタッチは他のデッキより容易です。

 各種ハンデスや《無許可の分解》が使えるため、黒を入れるデッキは以前から散見されましたが、最近主流なのは白をタッチして《きらきらするすべて》と《模範的な造り手》を採用したる青白ベースのデッキです。速度もそうですが、面展開によって《野望の試練》耐性も高くなり、ターンあたりの打点が高くなりました。

 白マナの比率を高めて、アドバンテージ源にもなる《スレイベンの検査官》や、ロータスブリーチに有効な《高名な弁護士、トミク》を採用する例もあります。

 5/24優勝デッキのようにロングゲームを見越して土地を多めに採用するデッキもあれば、《バネ葉の太鼓》や《モックス・アンバー》で速いターンのオールインを目指す親和のようなデッキも見られます。もともとマジックフェスト名古屋でも活躍したアーキタイプということもあり、根強いファンは少なくないはず。今後注目したいアーキタイプのひとつです。

■注目デッキ:エスパーコントロール

_VFS_ (1ST PLACE)
PIONEER CHALLENGE 12159784 ON 05/24/2020
 
planeswalker (12)
2《悪夢の詩神、アショク/Ashiok, Nightmare Muse》
4《覆いを割く者、ナーセット/Narset, Parter of Veils》
2《ドミナリアの英雄、テフェリー/Teferi, Hero of Dominaria》
4《時を解す者、テフェリー/Teferi, Time Raveler》
 
sorcery (12)
4《至高の評決/Supreme Verdict》
4《思考消去/Thought Erasure》
4《思考囲い/Thoughtseize》

 
instant (8)
4《ドビンの拒否権/Dovin's Veto》
4《致命的な一押し/Fatal Push》
 
enchantment (14)
2《ジェイスの誓い/Oath of Jace》
4《ケイヤの誓い/Oath of Kaya》
4《海の神のお告げ/Omen of the Sea》
4《野望の試練/Trial of Ambition》
 
land (35)
4《水没した地下墓地/Drowned Catacomb》
4《寓話の小道/Fabled Passage》
2《ガイアー岬の療養所/Geier Reach Sanitarium》
4《氷河の城砦/Glacial Fortress》
4《神無き祭殿/Godless Shrine》
4《神聖なる泉/Hallowed Fountain》
2《島/Island》
4《孤立した礼拝堂/Isolated Chapel》
1《平地/Plains》
2《沼/Swamp》
4《湿った墓/Watery Grave》
 
sideboard (15)
1《空を放浪するもの、ヨーリオン/Yorion, Sky Nomad》
2《本質の散乱/Essence Scatter》
4《神秘の論争/Mystical Dispute》
4《否認/Negate》
2《安らかなる眠り/Rest in Peace》
2《サメ台風/Shark Typhoon》

 コンボを止めるには打ち消し、ということで純正のコントロールデッキも増えてきました。アゾリウスコントロールが主流ですが、コンボ相手への干渉のため、エスパーカラーのコントロールも見られるようになりました。ハンデスの他、環境最強除去《致命的な一押し》を使えるのは大きなメリットで、またこの色ならではのカード《ケイヤの誓い》を使用できるのも嬉しいところ。

 現在はアグロとコンボ、そしてヨーリオン系デッキ全般と想定敵が多いため、《ジェイスの誓い》を使用して不要カードの入れ替えを行っています。《思考消去》の諜報も同様の使い方になりますが、それだけでは足りないと見たのか、マナベースに負担をかけてでも《ガイアー岬の療養所》まで採用しています。繰り返し使える他、《ナーセット》との相性も抜群です。
 アゾリウスコントロールはこの枠を《ヴァントレス城》に頼りますが、序盤に引き込んだ不要カードの処理ができる点で異なります。

 ただし、弧3色のため《トライオーム》が使用できず、タップインや事故の要因になり得る《アーベンデイル城》《ヴァントレス城》の採用も厳しくなります。ショックランドやM10ランドをフル活用するしかありません。いずれにしても、序盤のもたつきはアグロ相手に痛手となります。アゾリウスとエスパー、どちらがよいかは今後のメタ次第になるでしょうか。

■終わりに

 ジェスカイファイアーズ一強から一変、コンボ、アグロ、コントロールが入り乱れる環境に逆戻りしました。今までのデッキもイノベーションが生まれて変化や強化を経験しており、皆さんが以前使っていたデッキもメタゲームに割り込むことができるかもしれません。例は少ないですがObosh Black(黒単オボシュ)なども見られます。
 以前のデッキを引っ張り出して、《ルールス》《ヨーリオン》に限らず、どの相棒が採用できるか考えてみるのもいいかも。……と思っていましたが、、、

■5/27 18:00追記:

 とかなんとか言っている間にこんなことが。

 パイオニア自体の禁止改定はないようですが、「相棒メカニズムについて対応を行う」ということで、今のままでの相棒採用は難しくなる可能性があります。今後の動向を注視しましょう。

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