【拙訳】M20環境《贖いし者、フェザー》徹底解説 by Paulo Vitor Damo da Rosa(Channel Fireball)

 https://www.channelfireball.com/home/all-about-feather-the-redeemed-in-core-set-2020-standard/

 PVことPaulo Vitor Damo da Rosaによるボロスフェザー/ナヤフェザーガイド。「ナヤフェザーはどうやってもマナベース的にキツイ」とはいいながらも紹介しています。ところでフェザーでカードを4枚引く意味はあるんだろうか。

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All About Feather, the Redeemed in Core Set 2020 Standard
By Paulo Vitor Damo da Rosa // 17 Jul, 2019

 フェザーデッキは環境にしばらく前から存在し続けているけど、いつもいい結果を残してきたとは言い難い。GPトップ8やトップ16に何度か入賞した程度で、Tier1とは到底呼べないものだったんだ。しかし、基本セット2020のリリースによって、このデッキははるかによくなり、頭ひとつ抜けたデッキになり得るところまできたんだ。この記事では、2つのフェザーデッキの構築を紹介して、双方のメリットとデメリットについて議論していこうと思う。

【ボロス・フェザー】

 まずはじめに紹介するのは純正2色の構築で、以前から見かけることも多い。「いやいやPVさん。以前からこのデッキがあったなら、なんで今更評価がよくなるんだい?」と読者諸兄は不思議に思うかもしれないね。

 まず、フェザーが活躍できるかどうかはメタゲームに左右されやすいんだ。他のクリーチャー主体のデッキに対しては、《無謀な怒り》といった軽量除去を何度も繰り返しプレイできる点は非常に有効だ。こちらのクリーチャーへの干渉手段が多いデッキや、ノンクリーチャーデッキには相性が悪い。基本的には《軍団の上陸》や《ラノワールのエルフ》のほうが、《ドミナリアの英雄、テフェリー》や《運命のきずな》デッキよりもはるかに遭遇率が高い。以前のメタゲームでは、テフェリーやネクサスだらけで、フェザーはいい選択とは言えなかった。しかしメタゲームは吸血鬼、エレメンタル、恐竜、スピリットといった部族デッキが主流になりつつある。もしこういったデッキがしのぎを削るメタゲームなのであれば、フェザーはそういったデッキを合理的なカードで打ち倒せる。

 次に、新しい2種のカードがこのデッキに革命をもたらしたんだ:《神々の思し召し》と《凱旋の神殿》だ。《神々の思し召し》は《防護の光》を少し改良したものでしかなさそうだけど、追放除去から身を守れて、ブロッカーをすり抜けることもできるようになったのは非常に大きなアップデートと言える。ゲームを通じて大きく育てた《第10管区の軍団兵》などの大型アタッカーが自軍にいるならこの効果は顕著だろう。また、損失なくブロックを行うことも可能であり(実際にこういう盤面に出会うことはある)、《フェザー》影響下では何度も繰り返し行うことができる。

 《防護の光》が勝る部分もあり、《ケイヤの怒り》に対して無力だということはあるけれど、このリスク以外では他のどの点をとっても《神々の思し召し》が勝り、こちらを選択するべきだと思う。

 《時を解す者、テフェリー》に対してはクリーチャーを救いたい際に無力ではあるものの(《テフェリー》が着地してしまうと《神々の思し召し》で対応することができなくなる)、それでも《テフェリー》がスタックにある間に《思し召し》を解決することでそのターンのバウンスを防ぐことができる。その返しで《テフェリー》を落とすことができれば、二度とバウンスは使えないんだ。

 2枚目の新戦力はあまり重要には見えないかもしれないけれど、かなり大きなアップグレードだ。M20以前のボロスフェザーのマナベースは何らかの助けを必要としている状態だった(《フェザー》の色拘束がキツくて、2枚の《ボロスのギルド門》を採用せざるを得なかった)から、そこに現れた《凱旋の神殿》はインパクト充分だ。まず、2マナ以上の呪文は固めて引いても仕方がないので、何枚も引くことを防ぐことができる。次に、もっと重要なのが、このデッキで採用しているカードは、強さがその時々のシチュエーションに左右されやすい。そのため、いつ、何を引くかをコントロールしてくれるこのカードは有用なんだ。土地、クリーチャー、そしてスペルのすべての組み合わせが必要で、このうち2種類だけでは非常に良くない。そうだね、例えば2枚の《贖いし者、フェザー》、2枚の《無謀な怒り》という組み合わせはいいけれど、どちらかが1枚ずつしかなかったら――天と地ほどの差がある。占術ができるということは2枚コンボの片割れを見つけるために非常に重要なんだ。最初の話しに戻るけど、このデッキには1マナ域がいないから、1ターン目に占術土地を置くことによる悪影響は全くない。

 これが今、僕がプレイしているリストだ。

lands 21
4《断崖の避難所/Clifftop Retreat》
4《聖なる鋳造所/Sacred Foundry》
4《凱旋の神殿/Temple of Triumph》
3《山/Mountain》
6《平地/Plains》
 
creatures 23
4《贖いし者、フェザー/Feather, the Redeemed》
1《正義の模範、オレリア/Aurelia, Exemplar of Justice》
4《戦慄衆の秘儀術師/Dreadhorde Arcanist》
4《第10管区の軍団兵/Tenth District Legionnaire》
2《トカートリの儀仗兵/Tocatli Honor Guard》
3《ブリキ通りの重鎮、クレンコ/Krenko, Tin Street Kingpin》
4《アダントの先兵/Adanto Vanguard》
1《高名な弁護士、トミク/Tomik, Distinguished Advokist》
 
spells 16
4《無謀な怒り/Reckless Rage》
2《ショック/Shock》
4《果敢な一撃/Defiant Strike》
2《サムトの疾走/Samut's Sprint》
4《神々の思し召し/Gods Willing》
 
sideboard 15
2《トカートリの儀仗兵/Tocatli Honor Guard》
2《治癒の恩寵/Healing Grace》
3《丸焼き/Fry》
2《無頼な扇動者、ティボルト/Tibalt, Rakish Instigator》
2《溶岩コイル/Lava Coil》
4《黒き剣のギデオン/Gideon Blackblade》

 どのカードも固定されているわけではなくて、枚数は流動的だけど、《無謀な怒り》を4枚より少なくすることだけはしないよ。《無謀な怒り》はこのデッキの核となる部分というだけでなく、白単のようなデッキよりこちらを使う強い理由になるんだ。このカードを4枚から減らしたいと思ったなら、もはやフェザーを使うメリットは薄れてきているわけだから、他のデッキを使った方がいいだろうね。

 同時に、《ブリキ通りの悪党、クレンコ》が《軍族の戦親分》より優先される理由もここにある。《軍族の戦親分》は除去満載のデッキ(エスパーなど)に対してはうまく働くけど、相手が充分な干渉手段を持っていないなら《クレンコ》のほうが優れている。フェザーをプレイするフィールドは、相手への干渉手段が少ないメタゲームなので、その機会を活用するべきだ。

 流動的なスロットは2マナ域だ。赤白2色の場合は、《アダントの先兵》が《戦慄衆の秘儀術師》《第10管区の軍団兵》に次ぐベストな選択だと思っているけど、明確に正しいという自信はないんだ――いくつかのリストでは1枚も採用されてないし、実際に僕も0枚のリストを試していた時期もある。他のクリーチャーデッキに対しては非常に弱いからね。

 《高名な弁護士、トミク》と《トカートリの儀仗兵》は非常に興味深い選択だ。《トミク》は2/2/3飛行というスタッツながら《世界を揺るがす者、ニッサ》の能力を止められるし、タフネス3は《無謀な怒り》の当て先にもなる。《トカートリ》はいくつかのマッチアップでは最悪だけど、いくつかのマッチアップでは劇的な活躍をする(エレメンタルとかね)。もし《発現する浅瀬》がもっと人気になってくるなら、僕は《儀仗兵》メイン増量も辞さない構えだ。たまたま《ゴブリンの鎖回し》、《敬慕されるロクソドン》、《薄暮の勇者》、探検クリーチャー、《エリマキ神秘家》というところを機能不全にすることもできるから、メインに2枚を超える採用があってもあまり驚かないよ。

 何人かプレイする中で僕が試していないのが《燃え立つ予言者》。このデッキに採用するメリットは十二分にあると思うよ(このデッキにおける占術の重要性は、まるまる一段落使って説明してきたわけだしね)。個人的には他の2マナ域を優先した方がいいかな、と思っただけだ。《預言者》で占術できるタイミングはどうしても遅すぎるし、その占術が戦場の優位を確たるものにしてくれるわけでもない。とはいえ悪い選択ではないし、メタゲームが変わってくれば《トカートリ》や《トミク》が役に立つフィールドではなくなってくるかもしれないから、プレイしてみようと思う。アグロデッキに対しては《アダントの先兵》よりずっといいし、メタゲームがアグロ中心に形成されていくならそっくり入れ替えてもいいかな。実際に、6~8枚の2マナ域を採用するフリースロットがあるから、読者のみなさんも想定する相手によって入れ替えていけばいいと思うよ。

【ナヤ・フェザー】

 次のバージョンはナヤで、僕が現在好んで回しているリストだ。緑を加えた一番の収穫は《成長の季節》だ。このカードはこのデッキにとっての素晴らしい新戦力で、クリーチャーとスペルのバランスを矯正してくれるので、ガス欠に陥ることがなくなるんだ。《フェザー》とのシナジーは素晴らしいけど、5枚目以降の《フェザー》とも呼べるカードで、このカードのおかげで攻め続けることができる。

 このデッキを使う時に《成長の季節》から入るのはもったいない。相手の3ターン目をフリーにさせてしまうだけでなく、デッキ内のスペルが非常に安く唱えられるフェザーにおいては、相手が太刀打ちできないような状況をつくりだすことができるからだ。そうだね、よくある手順としてはこうだ。


・2ターン目:《戦慄衆の秘儀術師》
 
・3ターン目:《成長の季節》+《果敢な一撃》

 《果敢な一撃》は白マナひとつで+2/+0&4ドローに化けるんだ!

 ここしばらく、他の緑のカードを色々試している。《グルールの呪文砕き》と《楽園のドルイド》は一番のお気に入りで、呪禁はパンプスペルとの相性がいいので価値が高い。とはいえ最終的には、緑をメインカラーにするのはマナベースに難があったので、タッチにとどめることにした。

 僕のお気に入りは《強撃//脅威》で、《ドムリの待ち伏せ》の代わりにプレイしている。(赤)(赤)でプレイが可能(白緑土地を2枚引いたら(緑)(緑)でもプレイ可能)だからね。インスタントである点も大きく、フェザーデッキにおいては1ターンの間に2回プレイする機会があり得る(ソーサリーだと1回だけしかプレイできない)。また、必要に応じてクリーチャーを生成する隠されたモードを使用することもできる。欠点は、カード自体の点数で見たマナコストが6マナなので《戦慄衆の秘儀術師》と相性が悪いことかな(《ドムリの待ち伏せ》は2マナなのでフラッシュバックが容易)。それぞれ一長一短だけど、今のところ《強撃//脅威》のほうを好んで使っているよ。緑マナをもっと追加できるなら《待ち伏せ》に戻すけどね。

 緑で好きなカードは他にも《争闘//壮大》がある。《秘儀術師》とシナジーする(点数で見たマナコストが4なので、《秘儀術師》を《争闘》で対象にとれば両面打ちできる)だけでなく、《クレンコ》や《第10管区の軍団兵》を大きくして突っ込ませることもできる。何よりも、メタ上には多くの飛行クリーチャーがいるので(《弾けるドレイク》《フェザー》《ケフネト》《ライラ》など)、そういった面々を簡単に処理できるのはいいことだね。

 緑をタッチするなら、2マナ域は変えよう。特筆すべきは《成長の季節》が2マナなので減らせるということだ。同時に、メインデッキに《トカートリ》を入れてしまうと《成長の季節》の前半の能力が使えなくなってしまうのでやめておこう。サイドボードには引き続き入れておいてもいい(どちらにせよ、《季節》の重要な能力は後半だからね)けど、メインデッキに入れると不利になるだろうね。

 これが最新のナヤ・フェザーのリストだ:

lands 22
4《断崖の避難所/Clifftop Retreat》
2《陽花弁の木立ち/Sunpetal Grove》
4《聖なる鋳造所/Sacred Foundry》
3《寺院の庭/Temple Garden》
2《凱旋の神殿/Temple of Triumph》
4《踏み鳴らされる地/Stomping Ground》
1《根縛りの岩山/Rootbound Crag》
2《平地/Plains》
 
creatures 16
4《贖いし者、フェザー/Feather, the Redeemed》
4《戦慄衆の秘儀術師/Dreadhorde Arcanist》
4《第10管区の軍団兵/Tenth District Legionnaire》
2《ブリキ通りの重鎮、クレンコ/Krenko, Tin Street Kingpin》
2《アダントの先兵/Adanto Vanguard》
 
spells 22
4《成長の季節/Season of Growth》
2《サムトの疾走/Samut's Sprint》
4《無謀な怒り/Reckless Rage》
2《強撃/Thrash》 // 《脅威/Threat》
4《果敢な一撃/Defiant Strike》
4《神々の思し召し/Gods Willing》
2《争闘/Collision》 // 《壮大/Colossus》
 
sideboard 15
4《トカートリの儀仗兵/Tocatli Honor Guard》
3《黒き剣のギデオン/Gideon Blackblade》
2《治癒の恩寵/Healing Grace》
2《丸焼き/Fry》
2《無頼な扇動者、ティボルト/Tibalt, Rakish Instigator》
2《溶岩コイル/Lava Coil》

 《成長の季節》によって《サムトの疾走》はかなり良いカードになる。キャントリップに変わるというだけでなく、たくさんのカードが引けるようになり、瞬間的に高い打点が叩き出せるようになるんだ。《クレンコ》との相性が抜群にいいから、2枚採用している。

 このリストの一番の問題はマナベースで、完璧に克服する方法はない。《凱旋の神殿》を4枚入れてしまうとタップインが多くなり過ぎてしまうので、フル採用はできない(チェックランドとの相性も良くないしね)。赤白バージョンより土地を多く採用しているにも関わらず、マナトラブルでゲームを落とすことも少なくない。ダメージを受け過ぎたり、色マナトラブルが起こったりする。

 マナベースに問題を抱えているにもかかわらず、そこまでする価値があるのだろうか?と疑問に思う人もいると思う。僕の意見からすると、価値はある、と言いたい。そのぐらい《成長の季節》は強力なんだ。このカードのおかげで勝てるマッチが確かにある。もし全く試したことがないというなら、ぜひ試してみてほしい。デッキのカードすべてが導火線の着火点になり得るんだ。このリストでも完璧にはほど遠いけど、ナヤの研究は進めていきたいところだね。

【終わりに】

 将来の話をすると、フェザーはローテーション前まではいいデッキだと思う。ローテーション後は《無謀な怒り》というこのデッキの一番の強みがなくなってしまうけど、デッキの屋台骨を失ってもまだデッキは存続するとは思う。《強撃//脅威》で置き換えた場合にはさすがにパワー不足は否めないけど、新しいセットでその損失を補填してくれる何かが得られる可能性はある。

 では、また近いうちに。

PV

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