【拙訳】環境のベストデッキ「白黒吸血鬼」ガイド by Martin Juza(Channel Fireball)

 https://www.channelfireball.com/articles/a-guide-to-vampires-the-best-deck-in-standard/

 というわけでJuzaの吸血鬼デッキガイドです。先日訳した赤単よりも前に投稿されています。

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A Guide to Vampires – the Best Deck in Standard
By Martin Juza // 14 Aug, 2019

 今週のMPLはなんと75%が吸血鬼で占められ、Carlos RomaoがPearlで優勝した。
 吸血鬼は速く、パワフルで、効果的なデッキだ。単体でも強力なカードが多く採用され、《ソリン》や《聖域探究者》によってデッキの対応できる幅も広い。環境柄ベストなサイドボードにもアクセスできる。メタゲームは毎週移り変わるものの、吸血鬼デッキはNo.1の位置から揺るがないと信じている。

■デッキリスト

b/w vampires
martin juza
 
lands
7《平地/Plains》 (331)
7《沼/Swamp》 (339)
4《神無き祭殿/Godless Shrine》
4《孤立した礼拝堂/Isolated Chapel》
 
creatures
4《聖域探究者/Sanctum Seeker》
4《アダントの先兵/Adanto Vanguard》
4《漆黒軍の騎士/Knight of the Ebon Legion》
1《薄暮の勇者/Champion of Dusk》
1《薄暮軍団の盲信者/Dusk Legion Zealot》
4《軍団の副官/Legion Lieutenant》
3《空渡りの野心家/Skymarcher Aspirant》
3《敵意ある征服者/Vicious Conquistador》
2《マガーンの鏖殺者、ヴォーナ/Vona, Butcher of Magan》
 
spells
4《傲慢な血王、ソリン/Sorin, Imperious Bloodlord》
2《喪心/Cast Down》
2《軍団の最期/Legion's End》
4《軍団の上陸/Legion's Landing》
 
sideboard
4《強迫/Duress》
2《疫病牝馬/Plague Mare》
3《黒き剣のギデオン/Gideon Blackblade》
2《軍団の最期/Legion's End》
1《害悪な掌握/Noxious Grasp》
1《ベナリア史/History of Benalia》
2《屈辱/Mortify》

■カード選択

・直近では《ヴォーナ》のほうが《薄暮の勇者》よりも好みだ。僕のプランはなるべく速やかに殴り勝つことで、ロングゲームを制するようにデッキを組むつもりはない。《勇者》は《ソリン》と一緒に引いてはじめて素晴らしいカードになるけれど、4枚入れるカードというのは「いつでも引きたい」カードに限られる。デッキの土地が22枚ということも意識してくれ。《ソリン》なしでは《勇者》は手札にダブつくだけのカードになるので、もう少し軽いカードに置き換えるべきだ。
 
・とはいえ、《勇者》はエスパーコントロールに対しては大活躍する。カードアドバンテージを補充し、全体除去から戦線を立て直すのに役立つ。今後エスパーが再びTier1になった時には、スポットライトが当たるだろう。ほとんどのプレイヤーは除去として《喪心》《軍団の最期》をプレイしているし、《ソリン》は3点しか与えられないため、《ヴォーナ》はミラーマッチで輝く。赤単やネクサス系、他のアグロデッキに対してもいい役割を果たすことが出来る。
 
《聖域探究者》のフル投入は気に入っている。削り取れるライフの量が増えるし、複数枚引いてもさらに嬉しい。
 
・《漆黒軍の騎士》は非常に印象的で、ローテ後は間違いなくスタンダードで主要なカードの1枚になるだろう。他の1マナ域は凡庸だけれど、早い段階からの攻めが必要だし、《軍団の上陸》を裏返すには1マナ域は不可欠だ。《薄暮まといの空渡り》や《凶月の吸血鬼》よりは《敵意ある征服者》や《空渡りの野心家》のほうが好みだ。
 
サイドボードに《アショク》をプレイするのはよくない。スケープシフトにしか効果がなく、出したとしてもプレッシャーにならない。スケシ人気が下降線なのを考えると、複数のマッチアップで活躍するカードを採用すべきだ。
 
・マナベースは少し余裕がないけれど、《静寂の神殿》をプレイする余裕はない――マナカーブ通りの展開が非常に重要なデッキだからだ。全ての土地はアンタップインさせなければならない。
 
・ミラーマッチで《疫病牝馬》を何枚プレイすべきかは確信が持てずにいるけれど、SjowやCrokeysが使って有名になったティムールエレメンタルには劇的に刺さる。《ラノワールのエルフ》《発現する浅瀬》だけでなく、《駆け回る物焦がし》とそのトークンを一発で一網打尽にできるのはかなり有利だね。
 
《ギデオン》はエスパーコントロールに対しては最高のサイドボードだ。なにせ《時を解す者、テフェリー》でバウンスすることもできなければ、ほとんどの除去を受け付けない。3枚より少なくすることは絶対にないね。
 
赤単に対する《ベナリア史》もかなり有効だと思う。相手が除去可能な量以上のクリーチャーを供給してくれる。エスパーやグリクシスに対しても有効だけど、《ギデオン》には及ばない。ばらつきがあるように見えるかもしれないけれど、実は《漆黒軍の騎士》《軍団の副官》《聖域探求者》《ヴォーナ》《薄暮の勇者》(※原文では《Sanctum Seeker》が2回登場していましたが修正しました)はすべて騎士のクリーチャータイプを持っているため、このデッキには15体の騎士がいる計算になる。
 
・ミラーの《ヴォーナ》対策、そしてネクサス系の《荒野の再生》に対抗するため、サイドボードに《屈辱》を仕込んでいる。皆この枠は《害悪な掌握》を採用しているけど、その理由がよくわからない。《テフェリー》はクリーチャーや《ギデオン》で対処できるし、《強迫》で捨てさせることもできる。《聖域探究者》は緑系デッキに除去する手段がないため、《ニッサ》に困ることもない。そういったPWを倒すことがマッチアップでの目的ではない。《漆黒軍の騎士》を倒せないカードをミラー用サイドボードに置くのはよくないだろう。ただし、エスパー系がサイドボードに《ライラ》を採用し始めるなら話は別だ。《敬虔な命令》も吸血鬼と赤単を同時に見られるいいカードだと思う。

■プレイのコツとヒント

・《ヴォーナ》の起動型能力は「あなたのターンの間」であり「ソーサリータイミングで」とは書かれていない。つまり、攻撃に参加した後、ブロッククリーチャー指定前に能力を使用して相手のクリーチャーを倒し、戦闘で優位に立つことができる。
 
・初手の土地と1マナ域を良く見るんだ。そして、最初の2ターンの動きを良く計算しよう。たとえば、《沼》《沼》《平地》《漆黒軍の騎士》《漆黒軍の騎士》《空渡りの野心家》《ソリン》という初手なら、1T《沼》→《騎士》、2T《平地》→《騎士》《野心家》という展開が正着だ。2ターン目にダメージが大きいクリーチャーから展開するというのが正しいように見えるが、次のターンに1マナ×2の行動が取れるかどうか見極めて土地をプレイしないと失敗する。
 
遅い初手はキープしないこと。このデッキはマナカーブ通りに展開して常にプレッシャーをかけ続けることが必要になる。ロンドンマリガンを生かせば、5枚の初手で勝てることも珍しくない。吸血鬼対スケープシフトのサイドボード後に「土地4枚+《ギデオン》+《軍団の最期》」なんてハンドをキープする人も見かける。確かに《軍団の最期》はスケープシフトに効果的ではあるけれど、プレッシャーをかけるのが遅ければ、相手に立て直す時間を与えてしまう。僕だったらマリガン一択だ。
 
・ロンドンマリガンはアグロデッキにとって有利なルール変更だ。このデッキは2~3枚の土地しか必要としないからね。たとえば「土地2枚+《漆黒軍の騎士》、《アダントの先兵》、《軍団の副官》」という5枚は「土地4枚+《軍団の最期》、《聖域探究者》、《薄暮の騎士》」という7枚よりもはるかに良い。
 
・スケープシフトやネクサス戦では《夏の帳》で相手に1体2交換を与える機会を与えないようにすること。相手が緑マナを浮かせているなら《強迫》を唱えずにクリーチャーを展開しよう。打つのが遅くなっても、確実に《強迫》が解決できるタイミングを伺おう。
 
・《漆黒軍の騎士》から《アダントの先兵》と繋ぎ展開する場合、そのターンに4点のライフを支払って破壊不能をつけることで《漆黒軍の騎士》にカウンターを乗せることができる。「いずれかのプレイヤーが」ライフを4点失うことが条件であり、それは対戦相手に限らない。

■サイドボードガイド

【吸血鬼】

out
1《軍団の上陸/Legion's Landing》
1《軍団の副官/Legion Lieutenant》
1《アダントの先兵/Adanto Vanguard》
1《敵意ある征服者/Vicious Conquistador》
1《空渡りの野心家/Skymarcher Aspirant》
1《漆黒軍の騎士/Knight of the Ebon Legion》
in
2《軍団の最期/Legion's End》
2《屈辱/Mortify》
2《疫病牝馬/Plague Mare》
 
 このマッチアップは3ターン目に《ソリン》を置けるかどうかに尽きる。《ギデオン》をサイドインしないように――相手のターンのブロッカーにならず、利益を十分享受できずに退場するだろう。《騎士》《野心家》《先兵》をサイドアウトするのはあまり好ましくないが、各カードを3枚に減らすことで相手の《軍団の最期》での2対1交換を防ぐことができる。ほぼすべての吸血鬼デッキには4枚採用されているので、手札からも奪われてしまうということは、プレイする方法が全くない、ということを意味する。

【スケープシフト】

out
2《喪心/Cast Down》《喪心/Cast Down》
1《軍団の上陸/Legion's Landing》
1《薄暮軍団の盲信者/Dusk Legion Zealot》
2《マガーンの鏖殺者、ヴォーナ/Vona, Butcher of Magan》
1《薄暮の勇者/Champion of Dusk》
in
4《強迫/Duress》
2《軍団の最期/Legion's End》
1《害悪な掌握/Noxious Grasp》
 
 《ギデオン》は《樹上の草食獣》や《エルフの再生者》でチャンプブロックされてしまうのでサイドインはしない。相手にゾンビトークンが溢れかえっても《聖域探究者》の能力でワンチャン作れることは覚えておこう。

【ネクサス系】

out
2《軍団の最期/Legion's End》
2《喪心/Cast Down》
1《軍団の上陸/Legion's Landing》
1《薄暮軍団の盲信者/Dusk Legion Zealot》
1《薄暮の勇者/Champion of Dusk》
in
4《強迫/Duress》
2《屈辱/Mortify》
1《害悪な掌握/Noxious Grasp》
 
 ネクサスは《聖域探究者》がトップから駆け付けてくれるかどうかのしんどい勝負になる。毎ターン5点程度ドレインできれば《根の罠》も怖くないぞ。

【エスパー】

out
1《軍団の上陸/Legion's Landing》
2《軍団の最期/Legion's End》
2《喪心/Cast Down》
2《マガーンの鏖殺者、ヴォーナ/Vona, Butcher of Magan》
2《聖域探究者/Sanctum Seeker》
in
3《黒き剣のギデオン/Gideon Blackblade》
1《ベナリア史/History of Benalia》
4《強迫/Duress》
1《害悪な掌握/Noxious Grasp》
 
 《ギデオン》は除去されづらく、このマッチアップで一番頼れるカードだ。《強迫》は《ケイヤの怒り》や相手の重いカードを打たれる直前に打ち込もう。

【赤単】

out
4《軍団の上陸/Legion's Landing》
1《薄暮軍団の盲信者/Dusk Legion Zealot》
3《空渡りの野心家/Skymarcher Aspirant》
in
2《屈辱/Mortify》
1《ベナリア史/History of Benalia》
1《軍団の最期/Legion's End》
4《強迫/Duress》
 
 《鎖回し》や火力で簡単に落ちてしまうため、《ソリン》の-3能力は不必要に使わないようにしよう。ここでの《ソリン》の役割は、クリーチャーを育てながら忠誠度を高く保つことにある。
 理想ならサイドインする《強迫》を2~3枚に留めたいけれど、実際はタフネス1を減らすことの方が重要だ。《鎖回し》で全滅してしまうからね。《アダントの先兵》は《ソリン》と組み合わせ絆魂付き高打点クリーチャーになる、という役割があるので役に立つぞ。

【ティムールエレメンタル】

out
2《軍団の最期/Legion's End》
1《薄暮軍団の盲信者/Dusk Legion Zealot》
in
2《疫病牝馬/Plague Mare》
1《害悪な掌握/Noxious Grasp》

【ボロスフェザー】

out
2《軍団の上陸/Legion's Landing》
2《空渡りの野心家/Skymarcher Aspirant》
1《薄暮軍団の盲信者/Dusk Legion Zealot》
2《聖域探究者/Sanctum Seeker》
in
1《害悪な掌握/Noxious Grasp》
2《屈辱/Mortify》
2《軍団の最期/Legion's End》
2《強迫/Duress》

【ジャンド恐竜】

out
1《軍団の上陸/Legion's Landing》
1《薄暮軍団の盲信者/Dusk Legion Zealot》
1《聖域探究者/Sanctum Seeker》
in
2《屈辱/Mortify》
1《害悪な掌握/Noxious Grasp》
 
 《軍団の最期》は通常のリストなら8体しか対象がいないので進んで入れたいカードではないものの、その2マナ域がどちらも相手のゲームプラン上重要なので、2枚残しておくほうがいいと思う。


 
 実際のゲームプレイを見たければ、今週の僕のストリーミング放送で吸血鬼をプレイしている僕が見られるはずさ。MTGAのMCQに参加するみんな、ご武運を! あと、次のデッキガイドも楽しみに待っていてくれ!

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