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「宇宙ポリコレバスターズ!」第2話

星浦ルカは家出をして、編集プロダクションに就職した。
しかし職場は宇宙船の中。
新人ライターとして、文章の作法や宇宙の倫理に向き合うことになる。

あらすじ

 出航早々、新入社員であるルカの仕事は始まっていた。

 株式会社フリークエントリー。様々な文章を制作するライティング業が主な業務である。企画も行っていて、番組や雑誌、リアルイベントにも携わっている。お呼びとあれば、自ら司会やコンパニオンも務めることがある。つまるところ、何でも屋である。

 フリークエントリーは小型宇宙艇ラクーアクアリーを保有していて、船の中を作業場としていた。今のご時世、銀河ネットを使えば、ライティングの成果物はいつでもどこでも納品できる。しかし、イベント系は実際現場にいかなくてはならない。ライター業はどこでもできるから、どこでもやってしまえ、という発想である。

 船で仕事と言ったらロマンがあるが、ラクーアクアリーはそんなに大きくも豪華でもない。1ファミリーが宇宙を長期旅行できる用途で建造された小さい船である。船体は小さく、生活スペースはあまり広くなかった。

 主な区画は貨物倉庫を除くと、操縦室、ダイニングルーム、作業室、各員の個室である。

 ルカは今その作業室にいてライティングをしていた。髪はまだざんばらのままだが、綺麗な服に着替えている。

 「ルカ、ちょっと来て」

「はい。何かまずかったですか……?」

  ルカは自分の書いた記事を社長である文乃にチェックしてもらっていたが、初めての仕事とあってあまり自信がなく、緊張した面持ちで文乃の横に立った。

 「こんなこと書いちゃダメでしょ」

  小型のモニターを指して文乃が言う。

 「これこれ、『諸葛亮(しょかつりょう)が司馬懿(しばい)を辱めるために女の服を贈った』って何さ?」

「え? 文章がおかしいですか?」

「そうじゃなくて、書いた内容」

「三國志の有名な逸話なんです。紹介したほうがいいかなと思って。ちゃんと調べたんですけど変でした……?」

  ルカの初仕事は地球の偉人を紹介する記事。古代中国の名軍師・諸葛亮を紹介するものだった。

 いわゆる「三国志」である。中国が魏・呉・蜀の3国に分かれて争っていたころ、蜀の諸葛亮と魏の司馬懿が何度も激しい戦いを繰り広げた。互いに心理を読み合った頭脳戦は非常に人気があり、後世に『三国志演義』という戯曲にまとめられた。

 この大銀河時代、文化や歴史のまったく違ういろんな星の人たちが交流するようになって、それぞれの星の偉人を紹介し合うというブームが起きていた。文化交流が目的だったのだが、ただのお国自慢になりがちである。誰しも自分たちのほうが優れていると主張したいのだ。

 今回は地球の偉人として、諸葛亮の記事を書いてほしいという依頼だった。ルカは地球出身の地球育ちということもあり、その仕事に抜擢された。実際、地球史の授業で勉強したし、個人的に『三国志演義』も読んだことがある。

 「この五丈原の戦いってのは、諸葛亮と司馬懿、ライバル同士の最終決戦なんだよね? そこで諸葛亮がなかなか戦おうとしない司馬懿を挑発したシーンでしょ? それは別にいいよ。そういうことがあったんでしょ。問題は『女の服』のほう」

「それも実際に贈ったみたいです。『三国志演義』という物語の中の話ではあるんですけど」

「そうじゃなくて、女の服を贈ったら失礼でしょ」

「はあ……」

  ルカは文乃の言う意味がよく分からなかった。

 女の服を男に贈ったら失礼か。それはもちろんそうだ。だから、諸葛亮は壮年の男性である司馬懿に女の服を贈って挑発したのだ。

 「だから、戦おうとせず引きこもってるのは女みたいだな、という挑発が成立するんだと思うんですけど……」

「それ! それがダメ!」

「へ?」

「戦おうとしないのが女みたい? どうして? 女だって戦っていいじゃん。女を馬鹿にしてない?」

「そ、そうですけど……。これ、実際にある物語の話ですよ?」

  司馬懿はその挑発に乗らなかった。しかし、諸将は馬鹿にされたことを許せず、怒りが収まらなかった。結局、士気低下を恐れた司馬懿は、諸葛亮の思惑通りに出陣することになる。

 つまり、挑発された以上は、男として受けざるを得なかったのである。

 「でも失礼じゃん。わざわざ女の服って書く必要ある?」

「え……」

  ルカは難癖をつけられているようで腹が立ってきた。

 「そう本に書いてあったから、そんな記事にしたんです。面白いエピソードですし、殴り合いだけが戦いじゃないっていう感じ出てますよね。この時代の雰囲気が出てて、すごくいいじゃないですか。何かまずいんですか? 普通の服しちゃったら意味通じないですし、歴史を変にねじ曲げてしまうことになりませんか?」

  ルカのテンションが上がっていく。自分の主張は何も間違っていない自信があるし、多くの人も賛同してくれると思った。

 しかし文乃の反応は違った。

 「はあ……」

  大きなため息をついた。

 その表情は失望。そして、ルカの顔から一気に血の気が引いていく。

 (あ……。やっちゃった……)

  新人が社長に楯突いてしまった。

 ルカは感情的になってしまった自分が嫌になる。そして、このままクビになったらどうしようという恐怖も出てくる。

   「分かるよ。そういう逸話があったんだよね。その通りに書いてくれたんだよね。……でも、それをそのまま記事にしていいかは別の話なの」

「はい……」

「これは銀河ネットで、全銀河に公開され、いろんな星の人が読むことになるの。これを読んだときどう思うか想像してみて。地球人って男女差別するんだなってことにならない?」

「そ、そうですね……」

  男女差別。地球でも大昔から永遠のテーマとして問題になっていた。基本的には男性が女性を侮るというのがよろしくなく、女性も男性と同じように扱うべきだという。

 今ではだいぶ改善されたが、地球人が宇宙に進出した際、他の星の人と交流する上でトラブルが生じるようになっていた。

 「ポリティカル・コレクトネス。社会的正しさとか、社会的妥当性って言うんだけど、通称ポリコレね。こういう記事読んだら不愉快になる人はいるし、地球人が悪く思われるのは嫌だって、クライアントは思うものなの。わたしたちはプロのライターだから、そういうのにはきちんと配慮しなきゃいけないんだ」

  文乃の言う通りだった。

 知らなかったとはいえ、配慮がなかったと思わざるを得ない。これが素人とプロの意識の差なんだと、ルカは思い知ることになる。

 文乃の趣味で書き直しを命じているわけではなく、トラブルを避けたいクライアントの要望に応えるためだったことも理解できた。

 「男が女の服を着るのが恥ずかしいと思う意識から、そんな挑発が成立するわけだけど、もう古いよね。男が女の服を着ちゃいけないってことはないでしょ? そんな法律はないし、どんな服を着ようがその人の勝手」

「はい、そうだと思います」

「大昔、プロスポーツであったらしいんだけど、入団したばかりの新人の服を隠して、代わりに女の服を入れるっていじめがあったんだ。いじめというより、変な歓迎の形なのかな。でも、それは男女差別ってことになって禁止になったんだ」

「なるほど……。それでからかっちゃいけないですね」

  かつて女装するのが恥ずかしいという文化があったが、もはや昔の話である。自由主義の流行で、人が何を着ようと自由で、それに文句はつけてはいけないことになっていった。

 また、その流れでユニセックスの服はある程度普及したが、やはり体型の違いから、男性用、女性用と分かれてデザインされていることが多い。また、好みの問題もあって、なかなか男女で同じ服を着ることにはならなかった。男女を一緒くたにはできないのである。

 「ようするに、男でも女でも、好きな服を着ればオーケーってことだよ。それで他人が馬鹿にしちゃいけない」

「その通りですね! 勉強になりました!」

「それはよかった。人に自分の書いた文章に文句つけられると、イラっとするかもしれないけど、なんとか堪えてね。いい文章を書くのが仕事だから」

「あ、はい……」

  ルカは恥ずかしくなる。

 (まだまだ子供だ……。精進しなきゃ)

  自分のやりたいことをさせてもらえず、ただわめくだけの子供のようだったと反省する。

 「じゃあ、記事直してね」

「でもさー、おっさんがミニスカートはいてたらキモくない?」

  一件落着と思ったとき、横から口を挟んだのはエルフのビアンギだった。

  

 

「そりゃ、どんな服着ようがその人の勝手だと思うけど、見てる側が嫌ってこともあるよね。あたしは『うわっ』って思っちゃう。もちろん、その人に言ったりしないけど」

「え、でも……」

  ルカは言い返そうとしたが、ビアンギの言っていることも間違っていないと思い、どう返していいのか分からなくなる。

 「あたしの星にさ、オークって種族がいるの知ってる?」

「ええ、まあ」

  この銀河にはエルフがいればオークもいる。地球上でどちらも伝承として伝わるのみだったが、他の星では実在していた。

 「今時、大きな声で言えないけど、オークって存在自体が超キモいんだよね。不細工だし、野蛮だし、獰猛だし、鬼畜だし、くさいし。生理的に受け付けない」

  エルフとオークは何千年、何万年と争ってきたらしい。長期間にわたって刻まれた憎しみは深く、大銀河時代に入って銀河統合政府の仲裁を受けるまで、血みどろの戦いを続けてきたのだ。

 見た目は何の因果か、均整の取れた美しさを持つエルフとは真逆で、すべてがアンバランスになっているのがオークである。神のいたずらなのだろうか、両者を争わせてどちらが真理なのか決めさせているのではないかと、つまらない学説もあるくらいだ。

 「あいつらがミニスカートはいてたら、その場で斬り捨てたくなるね」

「ビアンギさん、言い過ぎじゃ……」

  エルフとオークの歴史はルカも知っていたが、実際にここまでのヘイトがあるとは思わなかった。

 彼らの星は「ファンタジー星」と呼ばれている。これは地球人がつけた名だ。エルフとオーク、それぞれに星の名前を持っていたが、どちらの名前にすべきか決まらず、地球人が仲裁に入ったのである。

 ビアンギは斬り捨てると言ったが、エルフは男女ともに剣技の訓練を受けている。身体能力はオークに劣るが、地球人よりも優れていることが多い。

 「だってあいつら、ほぼ全裸なんだよ? 羞恥心がまったくなくて、いつも汚いもん露出して歩いてるの許せる? それが女装? 見てらんないよ」

  ビアンギは心底嫌そうな顔をする。それだけオークとは仲が悪いのだ。いや、仲が悪いという言葉では済まないだろう。不倶戴天、生まれる以前から決して相容れない存在と言えよう。

 地球人のルカからすると、なかなかそのニュアンスが伝わってこない。単純にヘイトをぶつけているようにしか思えないのだ。もっとオブラートに包めないものか。

 「オークにも女性はいるんですよね?」

「いない。昔はいたらしいけど、公式の記録に残っている限りは男しかいない」

「え? じゃあ、どうやって子供産んでるんですか?」

「ちょっと待った! その話はまた今度ね!」

  ルカは単純に疑問を言ったつもりだったが、顔を赤くした文乃が間に入って制止する。

 それはエルフがオークを恨み、同じ知的生命体だと思いたくない大きな原因となっている。今では法律で禁止されているため減ってきているが、簡単に解決する問題ではなかった。

 「……まあ、この銀河にはいろんな人がいるんだから、できる限り服も配慮してほしいってこと。最近はオークも服を着るようになったけど、女装してたらさすがにね」

  と、ビアンギは譲歩する形で話を締めた。

 「うん。ビアンギの言うように、見るほうの権利も最近では重要視されてるね。程度はあるけれど……。それと、この銀河には服を着ない人も5パーセントくらいいて、それを無理に着る側に合わせろとは言えないの。手足が2本ずつじゃない宇宙人、宇宙生物もいるし、性別が男女だけじゃない場合も多いしね」

「そっかあ……。思いもしませんでした……」

「地球育ちならしょうがないよ。地球にはほとんど地球人しかいないから。でも、この銀河には地球人しかいないと考えちゃうのが、地球人の悪いくせだから気を付けないと」

「はい……。見慣れない格好をしている宇宙人がいても、変に思ったり言ったりしちゃダメですよね……」

  服と言えば、2本の足、2本の腕に合うものと思い込んでいる。しかし、宇宙人は腕が何十本も持っていることもあるし、全身が毛で覆われている種族もいる。

 これまで地球人ベースで考えていたが、この銀河には数え切れない宇宙人や種族がいて、彼らにも配慮しないといけない。ルカは気が遠くなりそうだった。

 

 

「それでどう直せばいいんでしょう?」

「『諸葛亮が司馬懿に女の服を贈った。司馬懿は喜んで奥さんに与えた』ってのはどう? 現代的でしょ。奥さん思いなのはウケがいいし」

  ルカの問いにビアンギが答えた。

 「え、だいぶ変わってません? それじゃ、ただのプレゼントになっちゃいますよね」

「じゃあ、『諸葛亮が司馬懿に女の服を贈った。司馬懿は喜んで司馬懿に女の服を贈り返した』は? 二人とも服もらって嬉しかったって」

「プレゼント交換!? すごくいいライバル関係になってます!」

「いい話じゃない。これでいこうよ」

「全然歴史のロマン感じられないです!」

  あまりに文脈を無視した改善案。ルカはむかっとしてしまう。

 「文乃、この子ちょっとワガママすぎない? 仕事向いてないんじゃない?」

「えー!?」

  言い返してやろうと思っていたが、逆に自分が悪いようにされてしまった。

 「まあまあまあ。時にはビアンギみたいな自由な発想が必要ってことね。今回は、うーん……。ルカはどうしたい? 何かいい案はない?」

「えっと。そうですね……」

  いろんな人に配慮しないといけない事情は分かった。でも歴史上の人物を取り扱っている以上、できるだけその雰囲気出すことがライターの使命ではないかと思う。仕事として取り扱うのだから敬意を払いたい。

 「『諸葛亮が辱めるために司馬懿にケーキを贈った』とかどうでしょう!? 戦争じゃなくてパーティでもやってろ、と言われたみたいで怒るんじゃないでしょうか。でも、ケーキならもらって普通に嬉しいですし!」

  それがルカの考え抜いた末のアイデアだった。

 「あはは、古代中国にケーキはないよ。でも、それいいんじゃない? ニュアンスは合ってると思う。くくく……」

  文乃は笑いを堪えきれず、吹き出しながら言う。

 せっかく考えてくれたことだから否定しないようにしているが、心の中では採用できないなと思っている。

 これにはルカも真っ赤になってしまう。個人的にはちょっと自信があったのだ。改めて考えてみれば、ビアンギと言っていたことと大して変わらないのかもしれない。元の逸話と変わりすぎている。

 司馬懿も服を贈られてこんな気持ちだったのかもしれない。諸葛亮との決戦を避けることが良策だと思っていたが、それを相手に馬鹿にされてしまった。

 (なんかつらい……。真っ向から否定されたわけじゃないのに……)

  初めて書いた文章で、文乃に指摘を受けたときはむっとしてしまったが、今回はつらい、という気持ちだった。前者は逸話をそのまま書いただけだったので、正しいものを書いて何が悪いんだと憤慨してしまった。けれど後者はちょっと違う。逸話から離れて自分の考えたストーリーだった。

 (自分の考えたことに何か言われるって、こんなにつらいんだ……)

  恥ずかしさよりも劣等感がどんどん強くなっていくの感じた。

 「もういいです……。服のところカットしますね……」

「ごめんごめん。おかしくてさ……」

  文乃は笑いで呼吸困難になりかけている。

 社長が他の社員の前で新人を笑うのはパワハラだ。文乃は何とか持ち直して言う。

 「ルカはできるだけちゃんと書きたいんだよね?」

「それはそうですけど……」

「じゃあ、今回は注釈を入れさせてもらおう。ルカの言う通り、歴史認識を曲げてしまうのもまた問題なんだ。歴史を取り扱う以上、我々には正しく伝える義務がある。無責任に変なことを書いちゃいけないね。だから、どういう時代背景があって諸葛亮がそんなことをしたのかちゃんと解説しよう」

「それでいいんですか……?」

  なんだかごく当たり前の解決方に思えてしまう。

 それができるなら、さっさと言ってほしい。こうして感情揺さぶられる羽目になったのはなんだったんだろう。

 「できるかは分からない。原稿の文字数には制限があるから、クライアントがヨシと言ってくれなければ、最初から全部やり直しになる」

「そっか。注意書きを入れたら、他のこと書けなくなっちゃいますよね……」

「そういうこと。文字数原稿がないものでも、文章が長ければそれだけ読んでくれなくなるから、伝えたいことを絞って、できる限り短い文章にするんだ。それがプロの仕事だね」

  伝えたいことを絞る。もちろんそれは考えていた。たくさんあるエピソードをすべて紹介するわけにはいかないから、面白いものや特徴的なものをピックアップしている。でも、それが伝えたいことだったかは疑問である。

 諸葛亮の人柄を表現するのに、そのエピソードは“必須”だったのか? ただ面白がって入れただけではないのか?

 ここでも自分の子供っぽさを恥じずにはいられない。

 「とりあえず、注釈書いといて。あとはこっちでやっとく」

「いろいろすみません……」

「いいんだよ。今日仕事初めたばっかじゃん。気にしない気にしない」

「はい……」

  ルカはとぼとぼと自分の席に戻る。

 注釈を書こうとしてキーボードを触るが、モニターがゆがんで見えなかった。涙が溢れてきてにじむ。もう少しでこぼれそうだ。

 (私……何も知らないんだ……。何もできないんだ……)

  親に反抗して家出をした。自分のことは自分でできるし、自分のやりたいことをしたいと思った。そしてこの船に住み込みで働くことになったが、何もできていなかった。親が言うように、自分は保護されるべき子供でしかなかった。

 「ナイスガッツ!」

  そう言ってビアンギがコーヒーをルカの机に置いた。

 「あっ……」

  仕事に失敗して涙を流しそうになっているのを隠そうとするが、どうしようもない。

 「自分の書きたいことを曲げないのも、ライターの仕事。仕事っていうか、プライドかな?」

「えっ」

「仕事してるとクライアントの意向で、思い通りにならないこといっぱいあるけど、無理してでも自分の考えを通そうとする意識は大事。クライアントの言いなりに書くだけなら、AIでいいじゃない。でも、ルカにはちゃんとした意志がある」

  ルカの目から涙がこぼれ、ビアンギの細い指がそのあとをなぞった。

 いつの間にかビアンギは机の上に、ルカの正面に割り込むような位置にいる。美形のビアンギにそんなことをされるとドキッとしてしまう。

 「ビアンギさん……」

「頑張れ、新人!」

  ビアンギは軽く手を振って、作業室から出て行った。

 「ルカ、もう一個直して。『雌雄を決する』ってやめない? 雄と雌、どっちが優れてるかって危ないかも」

  作業室に文乃の声が響いた。

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